表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/163

出たぁぁぁぁぁぁ!

── レッスン1 ──

体内の魔力を感じてみよう!



いきなりだな……


1ページ目から全力疾走とか、かなり気合が入りまくっている魔導書だな……




自動翻訳が優秀すぎるのか、はたまた原文からこうなのか、どっちなのか全く分からないが、面白いくらいヤバい。


って事で読み進める為にスワイプして次のページをペロリんちょ。




ナニナニ?──



俺はマルウェア云々どうたらこうたらな事をすっかり忘れてしまい、この魔導書(本当かどうか怪しいが)を読み進めていく事に。





── 先ずは体内の魔力を感じてみよう! ──


『魔力器官はおヘソから下に2cmくらいのところにあるよ!』





素敵すぎる程に雑かよ。


ヘソの2cm下のどの部分がその魔力器官だよ……


ツッコミどころが多すぎて逆に斬新すぎるわ。



なぐり描きにも見える様な、幼稚さが感じられる様にも見える、絵心が全く感じられない挿絵も雑すぎる。


内容と挿絵が噛み合わなすぎて、対象年齢の設定なんて明らかに何も考えられていないのだろう。


この魔導書(本当かどうか怪しいが)によると、魔力はヘソの下にある特殊な器官で溜める事が出来るらしい。



そんな器官初めて聞いたわ。


現代医学をナメるなよ。



この魔力を溜める器官はどんな生物でも持っているらしく(生物によって場所は違うが)、そこに魔力を溜めて身体へと魔力を循環させ、魔力を各種事象と結びつける事で魔法の発現が可能になるらしい。



事象って何だよ。



って事でスマホを使ってググってみると、



─────

【事象】

観察しうる形をとって現れる事柄。できごと。

─────



まったく解んねぇ……




って事で取り敢えず読み進める。




『いきなり魔力器官なんて言われても分からないよね?』



知るかっ!wwww


こっちが聞きてぇわ!!wwww



『それじゃぁ、魔力器官があるおヘソの下2cmの部分に手をあててみよう!』



ここまでやっちまったんだ。


どうせ暇だしやってみるか。



俺はペンケースから定規を取り出して、律儀にキッチリ、キッカリとヘソの下2cmを測ってそこに手をあてる。



なんて言うか、場所的にはヘソと膀胱の中間くらい?



『手をあてたらそのまま軽くお腹を押してみよう!』



押してみる。



『お腹を押したらソコに気持ちが集中できたかな?』



そりゃぁ、手で押せば圧がかかるから、集中って言うか、押されている部分に何となく気持ちが行くわな。



『次は押している箇所に気持ちを集中し続けよう!』



もしかして、長期的にやり続ける系かコレ……



空いている右手で画面をスワイプ。



『魔力器官を押している手に集中し続けていると、お腹が日向ぼっこしているみたいにポカポカしてくるよ!』



お腹を押している手の温もりは感じても、肝心のお腹は全くポカポカしない。


ついつい力が入ったのか、寧ろギュゥって圧迫されている感覚。



『さぁ!  お腹がポカポカするまで頑張って集中集中!』



やってられるか!!wwww


長期戦覚悟のヤツじゃねぇかコレ!wwww



馬鹿馬鹿しすぎてマジで笑えてくる。


って事で、一応、腹を押さえつつも無視して次のページへ。



『なかなかお腹がポカポカしなくて困っているソコのキミ!  やっぱり、いきなり集中し続けるのは難しいよねぇ』



え?


ウソ?wwww


もしかして他の方法がある系?wwww



『そんな時は魔力器官の上に「の」の字を書いて、書き終わったら書き順とは逆に書き戻してを100回繰り返してみよう!  コレですぐにキミのお腹がポカポカするよ!』



裏技キましタぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!wwww



クソっ!www


読み進めるにつれて何故か楽しくなってきたぞ!www




って事で、俺は周りをキョロキョロして誰にも見られていない事を確認した後に、ヘソの下に「の」の字を書いては書き戻してを100回する。


すると、



「お?」



なんとまぁ……


俺のお腹がポカポカしてくるじゃあ〜りませんか。



なんて言うか、本当に日向ぼっこのポカポカの様な、程よい温度のお湯に浸かっている時のポカポカの様な、なんとも言えない心地の良い落ち着く感じのポカポカを感じる事ができた。




『さぁ、これでお腹のポカポカを感じる事ができたかな?  このポカポカがキミの魔力なのさ!』



マっジかよ!?wwww


こんなんが魔力なんかよ!?wwww


魔力感じるのチョロすぎだろ!?wwww




楽しくなってきている俺は、そのまま魔導書(多分)を読み進める。





── 魔力を魔力器官外へと移動させてみよう! ──





おぉっとぉぉぉぉお!


ちょっと応用っぽいのキタぞ!



『魔力は魔力器官から出し入れさせて体内で循環させるのが基本なのさ!』



体 内 循 環!wwww



『先ずは魔力器官にあるポカポカを他の場所に広げてあげよう!』



いきなり無茶言うなよ!wwww


どうやって広げんだよ!wwww



『簡単簡単!  ここでも「の」の字が大活躍!  ポカポカ感じるところから広げたい箇所に向かって「の」の字をグルグル行ったり来たり!  モジャモジャ毛虫を書いてみよう!』



きゃぁぁぁ───!


超・簡・単!wwww



『簡単簡単できるかな?  どこまでポカポカを広げられるかな?  コツはグルグル時計回りだよ!  魔力器官から行ってきますで左足へ!  そのまま左足の内側を通って魔力器官へ戻りま〜す!  次は右足の先へと参りま〜す!  右足の次はいよいよ右手に突入だ!  肩を通って頭のてっぺん!  最後に左手に到着したら、魔力器官に元気よくただいま!』



園児向けの絵本かよwwww


挿絵に描かれている人っぽいヤツ、グルグル線が描かれまくって全身が毛モジャ状態じゃねぇかwwww


コレ書いたヤツのペルソナが全く見えねぇわwwww


どんなヤツ向けの本だよwwww



と言いつつもノリノリでやってしまっている暇な俺。


勿論、一度、周囲の目を確認する事は忘れない。


ヘソ下の魔力器官から「の」の字で何度も何度も挿絵の通りにグルグルと行ったり来たりをさせていると、マジで全身がポカポカし始めた。


「の」の字を書いては戻してを繰り返し、軽い運動をしたせいで身体が温まってきたんだろうと思ったけど、手で触れた身体は全く温まってなくて汗ひとつかいていない。


しかも、「の」の字を全身に書きまくったせいか知らんけど、ポカポカしている何かがヘソ下くらいの箇所を中心にしてユラユラと体内をゆっくりと巡っている感覚を感じてしまった。



なんて言うか、全身を誰かが軽く指でなぞっている感じ?



まさかな……



と思いながらも続きが気になってしまっている俺は次へと読み進める。



『キミはポカポカ魔力を何処まで広げる事が出来たかな?  手かな?  脚かな?  頭かな?  身体全部ポカポカしたキミは天才だよ!  魔力を扱う素質がアリアリだよ!』



「は……?」



ウソだろ?


これって、身体中がポカポカするもんじゃねぇのかよ?



素質アリアリの理由が知りたい俺は、その理由が書かれている筈だと思いながら画面を次へとスワイプ。



『魔力を魔力器官外に広げる事ができたら、次は魔力を出したり溜めたりしよう!』



オイ!?


まてまてまてまてっ!?


全身がポカポカの理由はどこ行った!?


そこを詳しく!



更にスワイプ。





── レッスン2 ──

魔力を体外に出してみよう!





雑かよ!


詳細言えよ!


展開早すぎるだろ!



ページを飛ばしてしまったのではと思い前ページに戻るも、ページを飛ばしている様子が全くなく、局部的や全身がポカポカする理由についての説明や詳細は全く書かれていない。



めっちゃ気になりすぎるぞ……



俺の中で気になる病が発生し、頭も気持ちもモヤモヤで埋め尽くされる。


どう言う理由か気になるけど、次のステップの『魔力を体外に出してみよう!』もかなり気になる。


ぶっちゃけ、魔法とか魔力とかって半信半疑であんまり信じていないんだけど、頭?心?の奥底で、魔法を使ってみたいって言う不思議体験を待ち望んでいる、現実世界にレジスタンス的な考えを持っている非現実に飢えた自分がいる。


さっきは玩具好きの桜田を馬鹿にしてたけど、



「ふふ──」



俺も人のことは言えないなと自分を軽く鼻で笑う。



いくつになっても厨二ってのは、どうやっても贖えない永遠の病いなんだろうな……



等と自分に都合が良い様に適当に思いながら、



取り敢えず、先行くか……



って事で不治の病いには贖えないから、ページをスワイプさせてレッスン2へと突入!



『体内にある魔力は、体内の魔力器官で作られた酸素みたいなものだよ!  体内の魔力を体外に出すのは、息を吐くのと同じ感じだよ!』



「………………」



吐けるかぁぁぁあああ!


そもそも、魔力を出すって何だよ!


魔法じゃねぇのかよ!?



スワイプ。



『さぁ!  魔力を体外に出す準備だよ!  指先で手の平に「の」の字を書いたり書き戻したりをしよう!  早くもなく、遅くもなく、自分のペースでしっかりと「の」の字を書いて、しっかりとポカポカを感じるのがコツだよ』



「………………」



取り敢えず、書いてある事をやってみる。



『手の平が他の箇所よりもポカポカマシマシになったら準備完了だよ!』



50回程「の」の字を書いたり書き戻したりを続けてたら、マジで手の平のポカポカがマシマシになってきやがった。


内側からじっとりと滲み出るような感じで、他の箇所よりも少し熱く感じる。


汗が出る時は体表や皮膚にはこれと言って何も感じたりしないけど、魔力?ポカポカ?は、何故かしっかりと出てきているのが感じられた。



「なんでだ……」



スワイプ。



『手の平がポカポカマシマシしてるかな?  次は手の平のポカポカからシャボン玉を作るみたいに、ゆっくりと軽く息を吐く様に魔力を外に向かって押し出してみよう!』



「………………」


……無茶言うなよ。  



「……手の平で息を吐くって、どうやんだよ?」


「紅葉氏。  静かにするでござる」


「………………」



思わず声に出してツっ込んでしまい、桜田にアホを見る様な視線を向けられる。



「すまんです……」




って言うか、マジで一体どうやって手で息を吐けっつうんだよ!


右手を地球外生命体に寄生されていれば簡単かもしれないけどさぁ!


某有名な大御所咬ませ犬の大技、操○弾みたいな感じにすれば良いのか?


って言うか、こんなんで魔力出せたら、今頃、誰も彼もが魔法使いになれてんだろうがwwww



って事で、面白半分で左手で右手首を掴みながら右手の平を上に向け、いかにもな感じで「んふ〜」って鼻息を出しながら右手の平にゆっくりと力を込めてみる。





「はわわわわわわわ──!?  ででででで──!?」




──出たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?


お読みいただきありがとうございます


モチベになるので評価とかブクマお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ