格ゲーの必殺技みたいな絵面すぎて驚愕
おジジが腕をゆっくりと動かして構えをとった。
ってか、構えた瞬間、おジジの腕を中心?軸?にして、円形の魔法陣が現れた。
右腕に一つ。
軸に刺さった歯車みたいに、おジジの腕を軸にして白い魔法陣がゆっくりと回り始める。
ゆっくりと回る魔法陣の色が白から青に変わっていく。
と同時に、同じく腕を中心に、新たに2つ目の魔法陣が1つ目の魔法陣と間隔を開けて並ぶ様に現れた。
そんでもって、最初に現れたのと同じ様に、ゆっくりと回り始めて、
「長年探し続け、渇望し、夢見ていたモノが、この様な形で手に入るとは……」
今度は白から黄に変わった。
そして、右腕と同じ様に、左腕にも魔法陣が発現。
左腕には赤と緑の魔法陣。
両腕で青、黄、赤、緑の4つの魔法陣。
色の統一感がなくて草。
ってか、周りが薄暗いってのと、魔法陣が無駄に蛍光色だから、サイリウムを両腕に巻いたパリピよりもド派手まくりで、オタ芸をすればさぞ目立ちまくるの確実。
ってか、そんな両腕を見て、めっさおジジの顔が笑ってる。
『………………』
欲しかったおもちゃを手に入れた子供みたいに、目をキラキラって輝かせながら笑ろてる。
そんな笑ろてるおジジに向って、
「死ねやジジイぃぃぃいいい!!」
「魔法使いがなんぼのもんじゃぁい!!」
マギアで発現させた剣を振り下ろす、ファッションリーダーの手下達。
そんな振り下ろされた剣に向かって、無造作に2つの魔法陣が回る右腕を向けたおジジ。
そんで、
「なっ──!?」
「温いわ!」
掌で難なく剣をキャッチ。
からの~──、
「──!?」
──刀身破壊。
おジジに握られたソレは、もう、ボッキボキな感じじゃなくて、正に粉々のサラッサラ。
そんな不思議現象を見て動きを止める手下達。
おジジの腕にさっきまで現れていた魔法陣がそうさせたのか、まるで、『やってやりましたよ!!』って言っているかの様に、剣を捕まえていた手に、今度は青と黄色の魔法陣の文字がびっしりと張り付いていて、文字が腕と手を忙しなくワシャワシャ動き回っている。
左腕にも赤と緑の文字がびっしり張り付いていて、何かの蟲みたいにウゾウゾ動き回っていて、
「フン!!」
そんなキモイ拳で、
「おごぉぉぉ──」
手下に腹パンしたおジジ。
左拳で殴られた衝撃で強制的に空気を吐き出され、身体をくの字に曲げた手下。
『………………』
ってか、俺の目の錯覚って思いたい。
おジジが腹パンした瞬間、紅い衝撃波が手下の背中から突き抜けて、
「火ぃぃぃいいいい──!?」
殴られたヤツの身体が内側から発火したって言うオマケ付き。
『おジジ……』
目の前で起こった、何処ぞの格ゲーの必殺技みたいな絵面に驚愕。
ってか、歴戦の猛者と言わんばかりに、キビキビ動けているおジジに驚愕。
そんなおジジに手下の皆さんも俺と同じく驚愕。
こんなヤベー状況下で、敵味方関係なく不意に現れた、『コイツはヤベー……』って言う共通認識。
触れただけでマギア製の武器を粉々にし、殴っただけで人間を消し炭(エフェクト付き)にしているおジジの両手。
なんて言うか、必殺技級のヤベーのを両腕に宿していて、ソレの結果を見て、
「新技術! 上々ではないか!」
クッソ笑ろてるヤベーヤツ。
厨二が大好きな、左腕が疼くって例のアレどころじゃない破壊力と目立ち具合。
これには流石にファッション集団もドン引きしていて、二の足が出ずにさっきまでの勢いが止まる。
止まったんだけど……
「シゃぇぇぇえええ!!」
ガンギマりなスーツ集団はおかまいなし。
人間離れしたアホみたいな動きでおジジに向かって飛び掛かっていく。
けど──
「動きが単調じゃぁぁぁ!!」
──必殺技じみた拳でもって、悉くを一撃の元に沈めていくおジジ。
一撃って……
いやもう、なんて言うか、マジで千切っては投げ千切っては投げを素でやりやがっておりまする。
しかも、
「フハハハハハハハ──!!」
めっさ笑ろてるって言うね……
「──良い!! 良いぞ!!」
『『………………』』
そんなおジジの楽しそうな笑い声に、
『モミジ……』
『………………』
俺に身を寄せている我が嫁は、身体をプルプルと振るわせ、眉間に皺を寄せながら、俺の服を強く握りしめている。
いやー。
分かるよー。
その気持ち、ホント分かるよー。
怖いよねー。
あんな見た目で笑いまくりなおじいちゃんとか、ホント怖いよねー。
そして、
か細い声で一言──
『ガラクシャ様と一緒に戦えないのが悔しいよ…』
「そっちかいっ!!」
我が嫁のズレた感覚に思わず大声でツッコンでしまった。
「ほう…… 他にも居たのですか?」
「はぅあ──!?」
ってか、見つかった。
ってか、やっちまった……
俺の声の出処は完全にインテリマンにロックオンされ、
「こっち来んなしぃぃぃぃいいいい!?」
案の定、ダークエルフがこっちに来た。
「最悪っ!! ホンっト!! マジ最悪っ!!」
取り敢えず、アンナと一緒に発現させたメッシュボールの中に急いで籠り、
「俺に殺意を向けたお前らが悪いんだからなっ!!」
俺達の頭上へと飛び上がって来たダークエルフに向かってハンドガンをブッパする。
ドバヒュン──!
パンッ──!!
ドガンっ──!!
放たれたソニックブームを纏った弾丸によって、あっさりと上半身が綺麗サッパリ無くなったダークエルフ。
「な!?」
「は!?」
「え!?」
ついでに貫通した弾によって天井が轟音を上げて抉れ、
ビチャビチャビチャ──
次いで、降り注ぐ、大量の血の雨。
「………………」
んでもって、
「…………最悪」
「………………」
頭上からモロに血の雨を被ってしまった俺とアンナ。
ビッショビショ……
色々と最悪過ぎて、色々と停止状態。
俺を始め、思考停止状態によって訪れた静寂。
そんな中、
「ワシも負けてられんのぉ!!」
敵味方関係なく、俺の1発で思考も行動も停止した奴らに向かって、
「ぬぉりゃぁぁぁあああ!!」
エフェクト付きのワンパンでもって、次々と無防備になった奴らの意識を刈り取っていく死神おジジ。
そんな死神によって、分も経たずにすぐさま制圧された今の状況。
「さぁ、貴様が知る全てを吐いてもらうぞ?」
暴れまくったおジジの足元には、
「貴様ら、何者、だ……?」
手足を潰され、壁に背を預けてダラリと座る、死に体なインテリマン。
インテリマンが持っていたアタッシュケースと、ファッションリーダーが持っていたボストンバッグは、
「結構入ってんぞコレ!?」
何故か血塗れの俺が持っている。
ってか持たされている。
ってか、札束がわんさか!!
アタッシュケースにはたったの4粒しか入っていなくて、
「ボリすぎじゃねコレ!?」
黒いクスリの金額と価値観に驚愕しまくり。
そんな驚いている俺を見て、
「キヒィ──」
隠そうともせずに、ネバつく笑みを浮かべるインテリマン。




