表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/168

魔法少女をナメるなでござる!

どうやったかは知らないけど、赤装束なヤツがいきなり俺たちの背後に現れて、いきなり桜田が吹っ飛んで行ったと思ったら、訳の分からない事を言いながら掲げた西洋剣を俺へと向けて振り下ろしやがった。



「のぉぉぉぉおおおおおお!?」



俺はギリギリのところで右へと飛び退き、ゴロゴロと芝生の上を転がる。



「ほう。  ノービスのクセに中々の反応速度だな。  あの魔女と言い貴様と言い、どうやら俺は当たりを引いた様だ」



そう言う赤装束はニヤリとニヒルに口角を吊り上げる。



「退屈でつまらないノービス狩りの筈だったが、少しは楽しくなりそうだ」



赤装束は振り下ろして地面にまで突き刺さっている剣を抜きながら、芝生に片膝立ちの俺を愉しげに見下ろす。



「さぁ、矮小な力で必死に生き踠いて見せろ」



赤装束は抜き取った剣を腰の鞘へと収め、ゆっくりと俺へと歩み寄って来た。



「な、なんなんだよお前ら!  テロリストかなんかかよ!」


「フン。  たかが供物である貴様には何一つ教える事などない。  だが、俺の一撃を躱した褒美として死に方は選ばせてやる」



なんだよコイツ!?


絶対アタマおかしいぞ!?



「さぁ選べ。  供物として家畜の様に無様に死ぬか、それとも、絶対的な力へと立ち向かって勇敢に死ぬか」


「死ぬ以外を選ぶに決まってんだろっ!」


「ないな」



さっきと同じ様に赤装束の男の姿が消えたと思ったら、



「お、がぁぁ──!?」



いきなり目の前に現れて、同時に腹に膝蹴りを突き立てられた。


例えようの無い痛さにお腹を押さえて両膝立ちになる俺。


さっき飲んだ抹茶ラテが喉の奥から迫り上がって来て、強制的に抹茶の味を思い出させられた。



「フン。  さっきのはまぐれ、か……?  所詮は唯のノービスか」



続けて俺の左こめかみに横殴りで拳が振るわれ、



「がぁっ──!」



勢いよく俺の身体が地面に倒れる。



「つまらん。  さっさと貴様を殺して、先程の魔女と楽しませてもらおう。  あれくらいではくたばってない筈だからな」



殴られた勢いで口の中を切ったのか、下を向く俺の口から唾液と一緒にネバついた血が滴れる。



痛ぇ〜……


なんだよコレ……?


なんなんだよこの状況は……?


なんで俺がこんな目に遭ってんだよ……?



ポタポタと滴る血を眺めながらこのイカれた状況を呪う。



「無価値なノービスはさっさと死ね」



巫山戯るな……



「死んで我が主の贄となれ」



殺される理由を知らずに理不尽に死んでたまるか……



視界の端に写る赤装束が鞘から剣をゆっくりと抜く。


そして俺の首へと刃の位置を合わせた後に右手を振り上げた瞬間、




『ライトニング☆レイン!!』




ド──!


──ゴドォォォォォォォォオン!!



「──がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ──!?」



赤装束が振り上げている剣へと向かって一条の青い稲妻が落ちた。



「ぐぅぅぅぅぅう──!!」



男は咄嗟に剣から手を離し、雷が落ちた場所から逃れる様に背後へと飛び退く。



「魔法少女を、ナメるなでござる!」



俺の視界の先には、顔を歪めて歯をくいしばり、血だらけの左腕を押さえているボロボロな姿の桜田。



「紅葉氏ぃぃぃ!  逃げるでござる!  僕が時間を稼ぐでござる!」


「桜、だ……」


「早く立つでござる!  あのサイコ野郎はまだ仕留めきれてないでござるよ!」



桜田が顔を向けている方向には、右半身が黒く焼け爛れている赤装束が射殺す勢いで桜田をギロリって睨みつけている。



「オマ……  え……  その腕、は……」


「ボッキボキでござる!  ぶっちゃけ、今すぐ泣きたいくらい痛いでござる!」



よく見ると、桜田の腕からは皮膚を突き破って骨が飛び出ていて、そこから沢山の血が流れていた。



「とんでもない馬鹿力で蹴られたでござるよ!  僕の魔法を避けたり、雷を食らっても生きているとか、アイツ、かなりおかしいでござる!」


「うぐぅ……  クソ……  まだ脳が揺れてやがる……」



俺はフラつく足取りで立ち上がり、桜田を睨む赤装束へと顔を向け、



「桜田!!  お前も一緒に、逃げるぞ!!」



会話をしながらチラリと横にいる桜田を見るが、桜田も俺と同じ様に顔と視線は赤装束へと向けていて、その綺麗な顔は苦痛で酷く歪んでいた。



「紅葉、氏。  早く、逃げるで、ござ──」



ドサァ──



「おい!?  桜田っ!?」



ってか、桜田が急に倒れた。



「桜田ぁあっ!?」



そんでもって、いきなり倒れた桜田の身体がモザイクに包まれて、



「オイっ!!」



そして、元の豚な桜田へと姿を変えた。



「桜田ぁぁぁあ!!」


「クククククク──  そいつは魔女ではなく、物の怪の類いだったか」



赤装束は、興味深そうにモザイクに包まれて元の姿へと戻って倒れている桜田へと視線を向けた後、半身を引き摺りながら焦げた剣が落ちている場所へと向かって歩を進める。


そして無傷な左手で剣を手に取り、



「さぞ良い供物になるだろうなぁ」



桜田から俺へと視線を向ける。



「これくらいのダメージなどノービスと倒れている相手には無いも同然。  さぁ、この半身の代償は払って貰うぞ」



お読みいただきありがとうございます。


モチベになるので、☆とか、ブクマとかお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ