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違う弊害が発生中

朝早くから激しく何度もドアが叩かれる。


五月蝿すぎて寝てられやしない。


こっちは二日酔いで頭が痛いって言うのに、マジでナニしてくれてるんですかね、コンチクショー……



煩すぎて嫌でも目が覚める。


横で寝ているアンナも、昨日はリリマナに呑まされまくったせいでグロッキー。


ってか、



『既婚者は、呑んで旦那に醜態を晒しても余裕っしょ!  ってか、もしかしてー、アンナさん、丸くなったー?  モミジさんの前で醜態晒して嫌われるのが怖いとかー?』



リリマナに煽られまくって、



『良く言ったリリマナ。  リリマナが吐くまで呑むから覚悟して。  逆に、吐きまくるリリマナの姿をご近所に晒してやる』



俺より呑んでいた。


ってか、リリマナもアンナも、幾度となくゲロルシュタイナーを人前で晒しまくっていた。


ソレでも呑み続けた彼女達。


何がそうさせているかは知らんけど、マジでカオスだった。



ってか、こんなに五月蝿いのに、ピクリとも反応しないあたり、俺より二日酔いが酷そうだ。


ピクリとも動かないアンナを尻目に、頭痛を抑え、イヤイヤながらも煩く音を立てているドアを開ける。



「新聞も宗教も間に合ってますよー」



そんで、殆ど閉じた状態の目で騒音をばら撒いている主と対面。



「オマっ!?  寝てたのか!?」



ってかジダだった。



「セントラルのターミナルに10時集合って、昨日言っただろうが!!  時間になっても現れないから、こうして来てみれば、起きてすらいなかったとか!?」


「………………。  あ……」



ジダに言われて思い出した。



そう言えばおジジんトコに行く予定だったわ……



って事で、



「急いでシャワー浴びて来るから少々お待ちを……」



慌ててフロに駆け込む。



………………


…………


……










「オマエら、飲み過ぎなんだよ!  寝る前にポーション飲んで、酔いを覚ましてから寝ろって言ったよな!!」


「……っㇲ。  さっき飲みましたんで、もう大丈夫っㇲ」


「リリマナのヤツも昨晩は気絶するように寝やがったから、朝に無理やり起こしてポーション飲ませてやったぞ」


「……っㇲか」



寝る前にポーションを飲むの、完全に忘れてた……



しこたま呑んだ後は、起きて二日酔いの状態を経験してポーションを飲んでスッキリするより、寝る前にポーションを飲んでスッキリして朝を迎えるってのが、空中都市での常識。


まぁ、思考が働かなるくらいまで呑みまくって、ポーションの事をスッカリ忘れてしまうと、



「ポーション飲んだけど、まだ、少し頭が痛い……」



今の俺みたいになってしまうのである。



「ポーションでアルコールを解毒できても、脳の血管は暫く収縮してるからな。  もう一本飲めばソレも治る」



って事で、あまり良い味って言えないポーションを2本も続けて飲んだせいで、



「吐きそう……」



違う弊害が発生中。



呑んだ日は寝る前にポーションを飲むって考えたヤツ、マジで天才すぎ。




そんなこんなでセントラルのターミナルに到着なう。



セントラルに来たのは2回目だけど、相変わらず、



「大都会、だな……?」



訳が分からん近未来。



高いビルが所狭しと聳え立ち、ビルとビルが連絡路や通路で繋がっていて、まるで、巨大なあみだくじみたいな街。


ぶっちゃけ、都市全体が迷路とか要塞にも思える。


そんな、空中都市の中心になっている都市の名は──



「これが、セントラル都市。  ムー……  ね……」



── "ムー"。



俺のいた地上では有名すぎる、オカルト好きが大好物な伝説の大陸。


そして、空中都市の中で一番古く、他の空中都市を作り上げた、テクノロジーの塊。



太古より色々な世界に姿を現して、文明を収集し保存し発展させる、移動都市。


だから俺の世界では幻扱いされてたり、一夜にして滅んで跡形もなくなっただとか言われてた訳だ。


この前来た時はキレまくってて、どうやって上層部があるビルにたどり着いたのかとか、マジで覚えていない。


ってか、アンナを追って適当に飛んで探したって事は覚えてる。


ってか、こんなトコ、正規の手順でビルに向かったとしても、複雑すぎて覚えきれん。


マジで、初見殺しな都市である。



だからなのか、



「そんじゃ、ガラクシャ様の所に飛ぶぞ」


「え?」



セントラル到着と同時にジダがターミナルのカウンターに行って、なにやらごちゃごちゃ手続きして、



「4番ゲートだとよ」


「………………」



ターミナルで双方のアポの確認ができたら、建物内行き用の小さなゲートを使って、ターミナルから直接そこに転移できる。


って事で、転移したら、



「おぉう……」



何処かの見知らぬ建物の中。



「技術の無駄遣い?」


「まぁ、ソレを言うな。  こんなに建物が複雑に入り組んだ都市なんだ。  毎年発行されている地図があっても、だれも素直に目的の場所までたどり着けないらしいぞ?」  


「地図の意味よ……」



会議室の窓の外の景色は高く、何処かのビルの上層階に居る事は分かるけど、



「ってか、此処は何処でどの辺りに居るんだよ?」


「そんなの、俺が知るか」



此処がどのビルで、どの辺りに居るのかさっぱり分からん。



ぶっちゃけ、此処がムーじゃない可能性すらもあるぞコレ……



なんか、今いる場所に不安になってると、


ヴォンって感じで、



『モミジ、着いたか?』



いきなりおジジの立体映像が目の前に現れた。



「あー。  来たですよー」


『それじゃぁ、ワシも今すぐそっちに向かうから少々待っておれ』


「………………」



おジジがそう言うなり、立体映像が消え、



「「……………」」



俺とジダはお互いに顔を見合わせる。



「オマエ、もう少し言葉使いをだな……」



そして俺に呆れるジダ。



「今更無理。  ってか、なんか、おジジは親戚のおじいちゃんみたいな感じがして、とりあえず無理」


「どんな理由だよ……」



とジダと話していたら、



「よっほ」


「「………………」」



気の抜けた声と共に、おジジが部屋に転移して来た。



「待たせてすまんすまん。  ちょっと色々と立て込んでおったわい。  モミジ、飴いるか?」



そんでもって、転移して来るなり、ポケットから飴を取り出したおジジ。



「いや、いらない。  ほらな?  こんな気さくなじいちゃんなんだぜ?」


「………………」



俺とおジジのファーストコンタクトを見て頬を引き攣らせるジダ。


そんなジダに、



「ジダよ。  ご苦労であった。  帰りにターミナルで依頼報酬を受け取るがよい」


「か、畏まりました……」



暗に、もうオマエに用はないから出て行け的な事を告げるおジジ。



「ホレ。  オマエはもう帰れ帰れ」


「オマっ──!?」



そんで、何か言いたそうに、メッチャクチャ俺を睨みながらドアから出て行くジダ。



「ホッホッホッホッ──  元気してたか?」


「元気っちゃ元気だけど、娯楽が無さすぎて死ねる。  どうにかしてくれマジで」


「ホッホッホッホッ──  そうかそうか」



完全に、孫と祖父なユルイ会話。



お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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