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俺は生涯、ミステリアスに生きていくんだ!

またしてもバグった俺。


正確には、ハコが残した書き物らしきアレを左手がモグモグした後から、バグが進行したっぽい感じ。


ってか、左手も大概だけど、右手も結構酷い……


ってか、俺から、キラキラ魔力が無くなった……


左も右もダークマター。


何故か勝手にキラキラ魔力が生贄にされて、完全にダークサイドに堕ちてしまった俺。



こんなんじゃ、もう、お嫁に行けない!



って思ったけど、アンナと結婚してて良かったって心底安堵した。



ってか、コレをどうアンナに説明しろと……



右手のコレを見て、離婚宣言とかされた日にゃぁ、俺はマジで生涯引き篭もる自信がある。


そんな俺のバグった右手の性能はと言うと、



「え?  ウソでしょ……?」



アレだけ一撃必殺的な凄そうな魔法を覚えまくっていたのに、



「弱化してね?  コレ……?」



使えるのは、言語理解と、サコキネシス的な感じのアレ。


手を使わずに物を動かしたり浮かせたりするだけの、


所謂──


──念力。



爆炎魔法+暴風魔法+雷撃魔法+ もの凄い魔法etc… = 念力



「馬鹿かっ!?  どんな足し算すればこうなるし!?  寧ろ引き算なのコレ!?」



“魔法使いになろう” とか書いてあったクセに、とことんまで俺を魔法使いにさせる気ゼロなダークマター。


気分は正に、10万円かけてポイントを貯めたのに、交換できた物が100円分以下な感じで、



「コレは……」


「魔力が消えはしたが、線が増えたと言う事は喜ばしい事なのでは……?」


「いや、しかし……  費用対効果と言うか、なんと言うか……」


「だが、コレであれば、魔法の方が良いのでは?」



魔法使いなお偉いさん達は、マジでスッキリしていないご様子。


ってか、既に似た様な事ができなくもない訳で、この中の誰よりも俺が1番スッキリしていない。


ってか、キラキラが消えてダークマターになって、しかも手に落書きが増えたし。


しかも、落書きは何処からどう見ても目で、しかも、眼球が動くとか……



しかも、しかも、



「念力で操れるのが俺の魔力だけって……」



右手は俺から発現された魔力とか魔力の塊以外は動かせないし、操れない。



マジでポンコツ。



試しにバニーさんを浮かび上がらせようと試みたけど、無理だった。


因みに、俺の魔力で発現させたタイルっぽいヤツの上に乗ったバニーさんは浮かせられた。


ってかコレは、操った魔力の塊の上にバニーさんが居ただけの構図であって、基本的に俺の魔力や魔力で発現させたモノ以外に干渉できないっぽい。



利用方法限定されすぎ!?


尖りすぎやろコレ!?


もうちょっと、バッファとか、融通があってくれても宜しいのではございませんこと!?



ってな感じで、ある程度、新たな能力の検証も終わり、俺の実験会がお開きになったのは、日を跨ごうとした深夜な時間帯。



「はぁ〜……  色々と重すぎるるわコレ……」



目覚めたアンナにどう説明すれば良いものか、マジで悩む。


バグが進行したせいで、悲しくて、歓楽街で豪遊とか行く気にもなれない。


ソレに、



『お主の理は、ワシにも全く分からん。  皆目検討がつかんわ』




魔法界の重鎮のおジジもサジを投げるくらい、未だに俺のチカラの理は謎のまま。


ってか、今回の出来事で、謎が更に深まった感さえある。


ってか、もう……


どうでも良いや……


俺は生涯、ミステリアスに生きていくんだ!


………………


…………


……











そんなこんなで病院に戻ったなう。


アンナの病室の前には、付き添いを代わってくれていたジダがいて、



アレ?



その横に見知らぬ女性が一緒に居た。



「遅かったな。  んで、魔法はどうだった?」


「いや、まぁ……  その……」


「ん?  もしかして豪遊してたか?」


「してねぇし!  色々ありすぎて豪遊とかできる心境じゃなかったわ!  ってか、逆に豪遊しときゃ良かったわ!!」



いや、マジ、ホントコレ。


魔法が使いたいとか夢見ないで、豪遊して色々とスッキリしときゃ良かった!


逆に今から豪遊して全てを忘れたいでごわす!



あの、商業施設でのゲリライベントをどう説明したものかと悩んでいると、



「あの……」



ジダの横に居る女性が割って入ってきた。



「ん?  どちら様で?」


「あぁ、そうだった。  コイツがリリマナだ」


「あぁー。  あの時の、アレでアレな人……」


「ちゃんと分かる様に話せ。  お前が何を言いたいのか理解に苦しむわ」



ウッセー!  


黙れイケメン!!


俺だって、なんて言えば良いか分かんなかったんだよ!!



「あー、って事は、もう良くなった感じですか?」


「はい!  この度は!  貴方のおかげで無事生きて帰って来れました!  ありがとうございます!!」


「あ……」



リリマナが膝に鼻をぶつけるんじゃないかってくらいの角度で頭を下げた。



「いえ……  俺は、ただ、アンナを助けただけで……」


「ソレでも!  ソレでも、こうして兄と生きて一緒にいられるのは、貴方のお陰です!」


「………………」



ん?


兄?



リリマナの言葉に、ジダとリリマナの顔を何度も交互に見てしまった。



「マジ?  え?  兄妹?」


「あぁ。  そうだよ。  俺からも、まず先にちゃんと礼を言うべきだったな。  本当に、ありがとう」



ジダが深く頭を下げた。



「だからぁ。  俺はアンナを助けただけだし、寧ろ、お前らを置いて先に帰った酷いヤツぞ?  だから、お礼とか良いから。  逆に謝れ言われたら、俺、謝るけど?」


「いや、ソレは……  健御雷神の負傷を考えれば、お前があの時、そう行動したのには文句を言えない。  お前と健御雷神の関係も知っているし、寧ろ、俺とリリマナを逃すために、1人で残って戦った健御雷神を助けてくれて、本当に感謝しかない。  そして、俺は何もチカラになれず、健御雷神を1人にしてしまい、本当にすまなかった……」



ジダとリリマナが再度頭を下げる。



「お前の気が済むなら、俺はお前に殴られても文句は言わない」


「え?」



そう言うジダは顔を上げ、思いっきり奥歯を噛み締めながら俺と視線を合わせる。



「いやだよ!?  なんで俺がお前を殴んなきゃなんないんだよ!?  そんな趣味とか微塵もないし!!」


「では、代わりに、私を殴ってください!」


「ふぁぁあ──!?」


「ちょっ!?  リリマナ!?」



何故か、顔を赤らめながら一歩前に出て来たリリマナ。



ビックリしすぎて変な声出たわ!



「いえ、寧ろ、殴ってください!」


「寧ろってナニ!?  あんたの寧ろが何を指しているのか、全くもって意味が分かんないんですけど!?」


「すまんモミジ……  コイツはちょっと、アレなんだ……」



アレってナニ!?


いや、なんとなく分かったけどさ!?



「アレがナニカは置いておいて、取り敢えず、殴るとかないから!  ってか、アンナは?」



この場の居た堪れない空気を払拭するために、ガラスの向こうで眠っているアンナに視線を向ける。



「健御雷神は、明日には検査も治癒も終わるらしい」


「そう……  よかったわ……」



気分の問題だと思うけど、ジダの言葉に安堵して、変に重くのしかかっていた肩の荷がどっか行った感じがする。



生きてて良かった……



「お前が外に行っている間にも、一回、魔法陣を止めた時に目を覚まして起き上がっていたし、医者も負傷による後遺症はないって言っていた……」



とジダは言うものの、



「じゃぁ、なんでそんな顔してるし?」



ジダの顔に喜びが見られない。



「医者が言うには……  健御雷神の血に少し異常が見られるらしい……」


「血?  異常?」


「あぁ……  なんでも、僅かだが、虚無の要素が混ざっているとかで……  それが、今後、健御雷神の身体にどういった影響を及ぼすのか定かでは無いとか……  経過観察するしかないとかで……」


「マジ、か……」



ジダの言葉を聞いて、俺の脳裏に東京タワーの地下で見た肉団子ヤローの姿と、クリリンの妹がチラつく。



「それで、医者は、現地で健御雷神に血を提供したオマエの血も調べたいって事らしいんだが」


「へ?」


「まぁ、念の為って事だな?」


「そそそそそ、そうなんだー」



何故か急に変な汗がドバドバでてきて、呂律が回らなくなる。


以前、ウP主に、俺のダークマターは虚無と同じ的な事を言われた事と、玉藻のデスベロチューで不老不死になってしまっているから、



「と言う事で、明日の朝、オマエの血の検査の為に医者が迎えに来るから、大人しく此処で待っとけだとよ」


「……っス」



ぶっちゃけ、あまり検査とかされたくない。


ってか、一悶着ありそうな予感しかしない。


そんなこんなでジダ達が帰っていき、



「ハァ~……  どうしよう……」



健やかな顔で横になっているアンナの顔をボーって眺めながら頭を抱える。



お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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