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どんだけぇぇぇえええ!?

ものすごいダッシュでデュクシーさんが店から出て行った。


そんで、1人、店に取り残された俺なう。


って言うかこの店は、こんなザルな防犯体制な感じで良いのだろうか?


もし俺が悪し心の持ち主だったら、ここにあるスクロールやらなんやらを根こそぎ奪って逃げ去るお?


でも、ここで待ってろ言われた良い子な俺は、検査ブースから、カウンターの横にあったソファーに移動して、適当にダラダラ寛ぐ。



あー……


髪の毛伸びてきたなー……


そろそろ、切りたいなー……



時間潰しにスマホが使えないから、完全に暇を持て余している。


って事で、とりあえず、やりたい事を色々と考えてみる。


ぶっちゃけ、そろそろ一度地上に帰らねば。


アンナの体調が良くなったら、一回、一緒に地上に帰ろう。


そんでもって、豚と馬鹿とイケメンに、我が花嫁のアンナを自慢しまくってやる。


玉藻は……


うん……


多分、大丈夫だろう……?


不老不死のデスベロチューをされた時、ものすっごい勢いで俺から距離を取りまくってたし、別に付き合っている訳でもなかったし、俺とアンナの関係をとやかく言われる筋合いは全くない。


まぁ、メンヘラストーカー的な事とかされた場合は、最悪、浮遊都市に逃げればいいしね。


って言うか、スマホの充電は必須で、ゲーム機も家から取って来たい。


ここにはサブカル要素が無さすぎて、マジで地味すぎる。


アイドルやらのコンサートとかがあれば退屈しのぎにはなるかもだけど、起こるイベントが虚無退治をメインとした戦いベースとか、殺伐としたRPGとかラノベの世界な勇者様すぎて死ねる。


マジモノの戦闘民族じゃねぇか。


もし俺がそんな世界で無双できたとしても、戦い以外で無双したいわ。



ってな感じで、暇つぶしに色々と考えていたら、



「お待たせしました!!」


「………………」



ものすっごい汗だくで何処かから帰ってきたデュクシーさん。


放置されてから、もう少しで1時間になるってタイミング。



「じゅ、準備が整いましたので!  こちらへどうぞ!!」


「は、はぁ?」



そう言われて、何故か、店から外に連れ出された。


って言うか、



「え……?  全ての店が閉まってる……?」



何故か、さっきまで開いていた魔法フロアの店が悉く閉まっていた。



「ソレは勿論!!  モミジ様の奇跡を目撃する為です!!  浮遊都市全ての魔法業界あげての出し惜しみのない協力ですので、思う存分やっちゃってください!!」


「………………」



いや……


思う存分やれって……


ナニを……


俺に何をしろと……?



何も考えずに入った最初の店から広がった変な波紋。


しかも、俺の知らない内に、ってか、この短時間の内に、浮遊都市全ての魔法業界が動いてしまっているっぽい。



魔法業界フットワーク軽すぎ!?



そして、臨時休業になっている店に文句を言いまくる、沢山のお客さん達。



「………………」



その横を通りすぎながら、コレは俺のせいじゃないと、自分に言い聞かせて顔を伏せる。



なんでこうなったし……



そして、フロアの最奥にある、いかにもスタッフオンリーなドアを潜ると、



「え?」



クッソ広い、無機質な部屋。



え?


ナニ此処?



四方全てが四角いタイル張りで、なんて言うか、水が無い、巨大なプールみたいな感じ。


そんな無機質極まりない広すぎる空間に、



「おぉ……  彼が、魔力持ちの神格者様……」


「しかも、4本線らしいぞ……」


「魔力の量が尋常ではないとか……」



沢山の人、人、人、人……



ってか、どんだけ人いんのコレ!?



まるで、どこぞのアイドルのゲリラライブとかシークレットコンサート状態。


この人達は、完全に俺目当てで、俺が此処に姿を現すと、ザワつきが徐々に大きくなっていく。


そして、特等席みたいな、豪華な席に座っている、クッソ偉そうで威厳たっぷりなジジババ達にジロジロ見られまくり。


からの~──



「………………」



──怖すぎて鳥肌立ちまくり。



思わず腕を擦ってしまう程、ネットリとした視線にマジ恐怖……



そんな、俺がチラチラ見ていた豪華絢爛な席に優雅に手を向けて、



「モミジ様。  彼方におられる方々は、魔法界の重鎮であり、魔法省のトップの方々です」


「え?」



あまり聞きたくない情報を寄越してきたデュクシー。



「そして、その横におられる方々は、魔法関連会社を経営しております、会長や、CEOの方々です」


「なんで?」



いや、マジで。


なんでそんなド偉そうな人達が来てやがんのでございますか?


どんだけ暇なの?



「ってか、デュクシーさんが店から出て行ってから、1時間くらいしか経ってないですよね?  なのにコレって……  どうなってんの?」



いや、マジソレ。


小一時間でどうやってこんなにわんさか集まって来たしコイツら!?


何してんの一体!?


どんだけ暇なの!?



「ソレはもう、魔法業界の緊急連絡網によって迅速に情報が伝わり、情報を得たそれぞれがモミジ様の奇跡を見るために急遽業務を停止し、お伝えした此処の座標へと転移魔法陣を起動させ、こうして急ぎお集まりになられた次第でございます」



どんだけぇぇぇえええ!?


色々とフルに総動員されてるってどんだけぇぇぇえええ!?



色々とヤベー奴らにジロジロと見られまくって、緊張やらなんやらで、お腹がゴロゴロし始めた。


そんでもって、喉の奥から込み上げてくる酸味のきいた熱いアレ。


胃薬飲んだくらいじゃ絶対に治らないし、治ってもくれないであろう、凄まじい緊張感。



沢山の視線が痛すぎる!!


ってか、期待が重すぎる!!



「そして、こちらが──」



デュクシーさんができる女っぽく指をパチンって鳴らすと、



「──今回、魔法業界から提供されます、魔法書やスクロールの数々となります」


「うわぁ……」



頭上に半透明のでっかいディスプレイみたいなのが現れて、



「多すぎやろ……」



沢山の本やらスクロールやらの写真?が写しだされた。


ってか、デュクシーさんの言葉と一緒に現れたリストに、多くの人達が『オォォォ──!!』って、歓声を上げた。



「リストは左から順に、写真、内容、提供者、を記しております」



急遽集まったって割には、利権やらなんやらがクッソ雁字搦めでグッチャグチャ、ドッロドロしてそうな恐怖のリスト。



こんなのから選んじまった日には、絶対に面倒臭くなる事、間違いなし。



「さぁ、モミジ様!!  こちらのリストより最初の魔法をお選びください!」



何故か、動きとかしゃべりにエンタメ性が出まくっていて、クッソノっリノリなデュクシーさん。


同時に、シーンって一斉に無言になった沢山の人達。



空気重っ!?


期待値重っ!?



そんな、激重な空気の中、上空の大画面とは違って、デュクシーさんが手元にリストを発現させる。



「ささっ。  先ずはどれからお試し致しますか?」


「………………」



いや……


どれからって言われても……


全く字が読めねぇぇぇえええ!!



字が全く読めなさすぎるわ、写真は写真で全部がもの凄そうな価値がありそうな絵面だわで、



「………………」



ぶっちゃけ、どれも当たりで、どれもハズレ、にしか見えない。


って事で、



「すんません……  字が読めなさすぎて、なにがなんだか分からないです……」



素直に思いのままをブチまける。



「こ、コレは!?  大変失礼致しました!!  ご配慮が行き届いておらず、申し訳ございませんでしたぁぁぁあああ!!」


「──!?」



そしたら、デュクシーさんがクッソ思いっきり頭を下げて謝罪。



大勢の前でコレでもかと頭を下げまくるデュクシーさん。


このいきなりな光景を見てザワつくオーディエンス達。


完全に、俺がヤベーヤツみたいな絵面。



「ちょぉぉぉっ──!?  やめてぇぇぇえええ!?  ソレやめてぇぇぇえええ!?  マジで頭を上げてぇぇぇえええ!!  視線が刺さりまくって痛いからぁぁぁあああ!!」



慌てまくる俺を他所に、深々と頭を下げ続けるデュクシーさん。



どんな新たな虐めだよコレっ!?


俺に社会的に死ねってか!?


不老不死だから、精神的に死ねってか!?



「いや、ホント、マジで、顔を上げてくださいぃぃぃいいい!!」



不用なボディータッチはアレだと思い、横や下からデュクシーさんの顔を覗き込みまくる。


そうしてやっと顔を上げてくれたデュクシーさん。



「いや、ホント、もう、マジで!  先ずはアレがいいです!  言語が理解できる魔法とか、飲水を出せるヤツみたいな、簡単なのでお願いします!!」



そして今度は、



「ちょ──!?  モミジさん!?」



逆に俺が頭を下げる。


ってか、こんなに大勢の人に見られまくっている中で顔を上げていたくない。



こんなん無理!  


公開処刑じゃん!!



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