新しい哲学かな?
魔素呼吸によって、何故か増産されちゃってる俺の血。
そんで、増産された端から次々とアンナへと俺の血が制限なく輸血され続ければ、
「ちょっ、ちょっと──!? 貴方の血の量、一体どうなっているの!?」
そりゃぁ、輸血している方もビックリして当然な訳ですよ。
ってか、エっロい太ももしてんなオイ……
動きが加わると、ものスゲーな……
そして、えらく真剣な顔で、秘密の花園をガン見しながら覗きまくっている、仰向けな俺と目が合ってしまった女性は、
「ヒィっ──!?」
それはそれは、もう……
取り敢えず、真剣な俺の顔がメチャクチャ怖かったんだろうなぁ……
「ギャアぁぁぁあああっ──!!」
俺と目が合った女性の咄嗟の判断?反射的対応?は、まるで、不意にGと出会した時のアレな心境や反応と同じ感じで、
「──なん、なのよっ!! コイ、ツっ!!」
「アダっ──!? イダっ──!? ちょっ──!? ヤメっ──!?」
俺の顔を親の仇と言わんばかりに必死に踏みまくるのはやめて欲しい。
アンナと繋いでる手が離せなくて、避けようにもマジで動けない。
結果──
「ハァハァハァハァハァハァハァハァ──!! 治療の邪魔をしないでください!!」
「………………っス」
──仰向けで、顔を横に向けた状態で、
「でも…… 首が、もげそう、なんで、取り敢えず、足を退けてもらって、よいっすか……?」
顔を一切動かせない様に踏みつけられまくってる、なう。
しかも、クッソ硬くて重い、金属製のアンクルブーツを履いている状態でね。
「集中できないから話しかけないで!!」
「………………っス」
俺の扱いが酷すぎて草。
生足でだろうが、靴でだろうが、こんな扱いが至高のご褒美と感じられる日は、俺には絶対に来ないと思うな。
マジで。
………………
…………
……
…
そんなこんなでアンナの応急処置が終わった感じ。
やっとの事で、俺の顔も足の裏から開放された。
顔が足の裏から開放されたってどう言うこっちゃ?
新しい哲学かな?
ってか、軽く小一時間程踏まれ続けてたから、
「ご協力ありがとうございます。 これで手の傷は塞がりました」
「アザス……」
寝違い状態で正面を向けなさすぎる。
「ってか、首も、パパっとなんとかしてもらえませんか?」
「大丈夫。 その内治る筈です」
「………………」
大丈夫じゃねぇんでやがりますけど?
ってか、その内って、何月何日、何時何分ですかね?
しかも『治る筈』って、疑問に疑問で返すってどう言う事?
確かにぃ、無許可でスカートの中を覗いてた事は悪く思いますけどぉ、悪いのは俺だけじゃないと思うんですよねぇ~。
取り敢えず、無事なアンナの顔を見て安心してると、
「ってか、イケメン…… ジダ、はどうなったんですか? はぐれた感じなんスけど?」
フと思い出したから聞いてみる。
「ジダはリリマナと一緒に戻ってきたらしいですよ?」
「お、イケメン、生きてたの?」
「その言葉に物凄く悪意を感じますけど…… 聞いた話しでは、リリマナも酷く負傷していたらしく、他の方が応急処置をした後に、メガラニカに運ばれたらしいです。 ジダも一緒について行ったとか」
「っスか……」
あの時、ボロボロなアンナを見てあまり周りを気にしてられてなかったけど、ジダもリリマナも無事だったらしい。
ってか、何処に居たんだろうな?
そして、これからアンナもメガラニカの医療施設に移送して、ちゃんとした治療とかするらしいから、応急処置してくれた女性の一人(スカートの中を覗いていた人)と一緒に、アンナをお姫様抱っこしながら門に向かう。
「貴方が負傷者を運ばなくても……」
「いえ! アンナは俺のお嫁さんですから!」
「そう、なんです、ね……」
横にいる女性は、今にも嘔吐しそうな酷い顔で俺を見ている。
なにその、ものすっごく嫌そうな顔……?
顎が梅干しみたいにシワシワになってますよ……?
そんな女性の濁った目は、『嘘つくな、この変態が!』って盛大に物語っていた。
………………
…………
……
…
そんなこんなでメガラニカの医療施設なう。
壁中に魔法陣的なヤツが描かれまくっている、なんか知らんけど色々と凄そうな部屋で寝かされているアンナ。
ソレを、ガラス?の向こう側から見ている俺。
そこに、
「建御雷神……」
イケメンがやって来た。
そして、
「お前、あそこにアンナを置いて行ったな?」
一瞬にして俺の沸点が爆上がった。
「………………」
バツが悪そうな顔で俯くジダ。
「アンナが、あそこで、一人ボッチで、どうなってたと思う?」
無意識に、未だにコリッコリな首を横に傾けて骨を鳴らす。
「スマン…… 俺が、不甲斐ない、ばかりに……」
「そんなお前は無傷ってか?」
「──!?」
俯いていたジダの顔がバって上がり、
「………………」
色々な感情が混ざった、酷く辛そうな顔で俺を見る。
「俺達は、様子を見に行くだけって事だったけど、なんで先走ったし?」
「………………」
「止める役のお前が、なんでアンナと一緒に暴走したし?」
「………………」
ジダの顔がまた俯いた。
「スマン…… アレだけ偉そうな事をお前に言っておいて、俺は……」
「ですよねぇ? そんなお前は土壇場でナニしてくれちゃってんですかねぇ?」
「………………」
俺の言葉にジダは悔しそうにメチャクチャ両拳を握りしめていて、
「………………」
拳から血が滴り落ちた。
「──!?」
そんなジダの拳にマジビックリ。
以前、俺も同じ感じのアレな感じでやってみたけど、血が出る気配は全くなかった。
ってか、普通無理だろ?
しかし、それが今、リアルで拳を握って血が出るアレを見てしまって、少しドキドキ。
俺の中の興味を示す天秤は、ジダが暴走したとか、アンナ一人で戦っていたとかよりも、【握りしめた拳から滴り落ちた血!】に思いっきり傾いている。
マジでどうやんだアレ?
やっぱり、アレやる時は、爪をある程度伸ばしていた方が良いのかな?
それか、演出用に、手の中に暗器とか握ってる感じなのかな?
完全に俺の興味を根こそぎ持っていった、拳を強く握って血が出るって言うメカニズムを考えながら、自分の深爪しまくっている指と、床の血に交互に視線を向ける。
そして、
「血ぃ…… 出てるぞ……」
知りたい病を我慢できずに、
「どうやんだ、ソレ……?」
思わず聞いてしまった。
「……え?」
そんな俺を見て、まるで、未知なる未確認生物と初めて遭遇した様な顔をしたジダ。
「「………………」」
そして、クッソ変な雰囲気になって、重い沈黙がクッソ気まずい。
「いや、その…… 血が出てるなぁ、って……」
「あ、あぁ……」
俺の指摘にジダが床に垂れている血に視線を向け、
「拭くものを持って来る……」
これ以上血が溢れない様になのか、両手の平を合わせて、いそいそと何処かに行ってしまった。
「………………」
まさかの寸止めで新たな真理を紐解けずに、葛藤と悶々が俺を襲う。
マジで気になりすぐるぅぅぅううう!!!
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