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さて、次はどうしてくれようかしら

俺の右手のキラッキラを見て固まった2人。


久しぶりのキラッキラの発現で何かがゴッソリ持って行かれたのが気持ち悪いから、





シュコォォォォ──





コッソリ、左手の魔素呼吸で即時回収、回復。



スッキリ!


リフレッシュ!



って事で一応聞いてみる。



「コレって魔力だよね?」


「あ、あぁ……  ってか、マジか……」


「って事は!?  ジダが言う、やっすいスクロールを使えば、俺も魔法が使える様になるって事!?」


「あ、あぁ……  多分、な……」


「モミジ……  キミって……」



いや、ホント、マジで。


魔法が使えるかもしれないワクワク感が止まらない。


今すぐ、その魔法が使えるスクロールを使って魔法を使ってみたい。



さっきまで、アホみたいに湧いて出て来た虚無の群れの殲滅で疲れたけど、



「よし!  さっさと終わらせて、魔法のスクロールを買いに行くぞ!」



バグと言う闇に希望の光が芽生えて、俺の心はルンルン気分。



希望があるって最っ高だねっ!!



………………


…………


……









ジダに補給してもらった水をガブ飲みし、再度お腹タプタプになりながら、リリマナ探しの続き。


さっきまで俺が虚無を駆逐しまくっていたせいか、



「何もねぇな……」



イケメンが暇そうに軽くボヤく。



「バッカ!?  何かあってたまるか!!  何かあったら、また、俺だけが働かされるんだぞ!?  巫山戯んな!!」



暇だからって言って、マジでクソみたいなフラグを立てるのは止めて欲しい。


ってか、さっきのわんさか来た虚無の事があったから、俺は周りに細い線を撒き散らしながら歩いている。


さっきの殲滅戦で、あらかたトゲトゲの扱いには慣れたけど、次からはもう少し楽してピチュンさせたいってのが本音。



さて、次はどうしてくれようかしら。



と、俺が物騒な思考を巡らせていると、



「コレって!?」


「間違いない!  リリマナだ!」



遠くで上がっている土煙と、



「戦争かよ……」



ドカンドカンと腹の奥に響く、爆発音。



「モミジ!  外に出して!」


「俺達が先行してリリマナの援護に入る!」



さっさと此処から出せと言わんばかりに、メッシュドームに手を触れて張り付く2人。


って事で、



「解除──」



左手に食わせてドームを解除。



「オマエはさっきの戦いでチカラを使いすぎたはずだ!  チカラが回復するまでは、俺達に任せろ!」


「モミジ、先に行くね!」


「え?  ちょっ──!?」



ってな感じで、メッシュドームを解除するや否や、



「──置いてかないでぇぇぇえええ!!  1人は嫌ぁぁぁあああ!!」



こんなん絶対に追いつけるかってくらいのクッソ速いスピードで、土煙の方に向かってピョンピョン飛びながら走り去って行った2人。


そして、



「………………」



廃墟に1人取り残されたなう。


走り去る2人に向かって伸ばした手を引き戻し、



「俺に死ねってか……」



すぐに新しいメッシュドームを展開させて、安全圏に引き篭もる。


そんでもって、取り敢えず、土煙が上がっている方向に向かって足を進める。


ジダに、チカラを使いすぎただろうから休んで回復させろ的な事を言われたけど、そこに関しては全く何も感じない。


寧ろ、タクトを振る真似をして、調子に乗ってアホみたいに振りまくっていた腕が疲れたくらい。



まぁ、そこは仕方がないよね。


勢いや雰囲気って大事だしね。



ってか、土煙が上がっている方向から、沢山の雷が落ちた。



「うわっ!?」



そんで、稲光から数秒遅れて、連続して腹に響く音が聞こえてきた。


アンナが到着して、派手にブッパしているらしい。


元々戦っていたのは神格者のリリマナって人で、それに、もう1人の神格者のアンナが加わった感じだから、多分、余裕なんじゃね?


でも、ジダが虚無の階位?レベル?がどうのこうの言っていたけど……



って、アレ?


雷のブッパが激しくなってる?


これってもしかして……?


アンナ……





ヤバいんじゃね……?





もしかしてって考えた瞬間、何か嫌な予感に襲われた。


重くてドロっとした、息苦しくなる様な、膜の様な何かに全身を包まれたみたいな感覚。


頸が引っ張られる様にチリチリして、嫌に俺の気持ちを焦らせる。


その焦りの気持ち悪さを払拭する様に、アンナの笑顔を思い出してなんとか心を鎮めようとするけど、



「クソっ……」



逆に山がバラバラで噛み合わないスカスカなギアが回っているみたいで、感覚と感情と気持ちが全く噛み合おうとしない。


んでもって、噛み合わないそれらを無理に合わせようと、悪態を吐きながら勝手に足が動いて走りだす。


さっきのジダが暇でおっ立てやがったフラグが脳裏にチラつく。


勝手にフラグを立てて、回収できずにジダだけ自爆すれば御の字だけど、それに誰かを巻き込むのは違うだろう。


ましてや、ジダと一緒に行ったのは、本日、俺のワイフになったばかりの、新妻で愛しのアンナ。


そう考えただけで、ありきたりで、ドテンプレなクソフラグをおっ立てたジダに腹が立つ。


走る脚にチカラが籠る。


もっと速くと感情だけが先走り、思考と肉体に齟齬が出て、思った様に動けない自分に腹が立つ。


それならばと、



「はよっ!  もっと速く!!」



左手で漆黒の棒を発現させて先っぽにしがみ付き、逆の先を地面にブっ刺して、何処ぞの猿の如意棒宜しく、勢いよく伸ばして移動速度をブチ上げる。


角度を付けて伸ばしちゃったもんだから、そのまま斜めに空中に向かって伸びていき、



「フワッフワぁぁぁああああ!!!」



軽い浮遊感でケツの穴がキュゥってなる。


んでもって、高い所から見えた土煙が上がっている場所。


俺の中では3対1で戦っていたと思ってたけど、



「アンナっ!?」



現状は1対1で、何故か【アンナ VS 虚無】の状態。


アンナが雷を纏って素早く動いているけど、動いているってよりかは、



「巫山戯っ──!!」



なす術もなく、何度も吹き飛ばされまくっているって方が正解。



そして、昂る俺の感情。


次の棒を発現させて、乗り移って更に加速。


フワッフワとか、ケツの穴がギュぅとかは、勝手に頭の隅っこに追いやられて既に忘れた。


身体が、思考が、気持ちが、勝手に、俺が出来うる、速く移動できる手段を選んでいく。


気付いたら手にはライフル銃が発現されていて、




ドヒュゥゥ──!!




黒棒を空中で手放し、アンナが居る方へと向かって、銛の様なモノを発射。


音速で発射された銛に続く、漆黒の細い線。


地上へ着弾と同時にユルっユルだった線がピンって張られ、巻き取る様に黒線を一気に減少させて、ソレとアンナとの間に割り込んで着地。



「モミ、ジ……」


「………………」



もの凄くボロボロになっているアンナ。


血だらけで、右腕が折れ、左脚の肉がエグれ、顔の右側が腫れ上がり……


内臓もやられているのか、かろうじて動いているみたいな左手で、右の脇腹を押さえている。



「アン、ナ……」



そんなボロボロなアンナの姿を見て、色々な感情が噴き出て来て、軽く泣きそうになった。


この感覚には覚えがある。


子供の頃に雫と喧嘩して、感情が昂った時のアレな感じ。


けど──



「ごめん。  待たせた……」



メッシュドームでアンナを覆う。



──子供の時とは違って今ハッキリと分かるのは、



「100回殺す」



抑えきれない怒りのみ。



何処ぞの初号機みたいなヒョロっヒョロな体格の、ギザっギザな口を大きく開けて、キモくニタついてこっちを見ているソレ。


同時に、背後にいるアンナのボロボロになった姿を思い出し、





──ィィィィィィィンンンン……





一瞬にして全ての音が耳鳴りによって掻き消された。


周りから音が消えたと同時に広がる視界。


視界が広がったと同時に、ソレに向かって一気に詰め寄る。



『〜〜〜〜〜〜』



ソレが何か囀っているけど、音が、空気がボアボアしてて聞きとれない。


ってか、元々聞く気はゼロだからどうでもいい。


そんで、いつの間にか両手に握られていた刃で突き、薙ぎ、逆袈裟で振り上げて斬りつける。



『〜〜〜〜〜〜』



何かを囀りながら後ろに飛んで躱わすソレに向かって、銃口でなぞる様に動きを追いかけてトリガーを引く。




スコン──




指に伝わるのは、相っ変わらずスッカスカな感触。


けど、俺の感情とでもリンクしてるのか、今まで見たことがないアホみたいな衝撃波と一緒に飛び出る漆黒の弾丸。


そんでもって、射線から逃げた筈なのに爆散したソレの左腕。


間髪入れずにトリガーを引いて連射。



「──っチ」



しかし、今ので何かを学んだらしく、大きく飛び退いて射線から逃れて弾丸を躱わすソレ。


ソレを追う様に銃口を動かして連射を続けながら、



「誰が逃げて良いって言ったよ?」



左足の裏にチカラを籠める。



瞬間──




『〜〜〜〜〜〜!?』




──地面から飛び出して来た無数の棘。


虚を突かれたソレは、一瞬で全身串刺しになって、身動きが取れずに視線だけを俺に向ける。


ってか、こんなもんじゃコイツは済まされない。


数本の棘を増減させて串刺しのままその場に縛り付け、



手にしている銃剣を変形させて、巨大な棘付きハエ叩きの様にして、チカラ任せに思いっきり振り下ろす。



『〜〜〜〜〜〜!!!』



上下からトゲトゲマシマシのサンドイッチ。


そして、前後左右からの追い棘刺しでアイアンメイデン。


からの──



「俺とアンナの視界から消えろ」



──四方から漆黒のボールで包み込み、



『〜〜〜〜〜〜!!!!』




ボールのサイズを段々と小さくしていって、



『〜〜〜〜〜〜!!!!!!』





パツン──





この世からリアルピチュンさせてやる。


縮小しまくったビー玉サイズの漆黒の玉が俺の足元に転がる。


ソレを銃剣の刃先で刺して魔力を回収。


周りに視線を向けるけど、近くに虚無らしきヤツは見当たらない。


張り詰めていた心を冷却するかの様に、




「ふぅぅぅぅ~~」



勝手に大きなため息が出てきた。


と同時に、



ィィィィィィィンンンン…………



耳に、感情に音が戻って来た。



お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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