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芸術は爆発だ!!

「マジ無理っ!!」



ナニコレ!?


ホント勘弁してください!!



いきなり現れたキモすぎな虚無を瞬殺した後、



「モミジ!  背後!!」


「オイ!  右からも来てるぞ!!」



何処からともなく、ウヨウヨ、ワラワラとわんさか出てきた沢山の虚無。



Gかな?


1匹いたら100匹居ると思え的な、Gと同じアレなのかな?



そして、


俺は──


今──



「多すぎ!!  マジで多すぎるからぁぁぁあああ!!」



──メッシュドームの中で1人大忙しなう。


向かって来る虚無に向けて、あっちに穴を開けてはコッチに撃って、こっちに穴を開けてはソッチに撃ってと、3次元モグラ叩きをしている状態。


ってか、自分で穴を開けて自分で撃っているから、完全に出来レースでゲーム性皆無。


あるのは、キモさと、嫌悪感のみ。


マジでクソゲー。


自分で穴を開けては撃って塞いでを繰り返しまくるとか、マジでクッソ面倒くさすぎる。


そんな忙しない俺を見ながら、



「オイ!  前から来たぞ!!」


「モミジ!!  上に張り付いてるよ!!」


「──!?」



無茶振りに等しい指示しか出さない2人。



ってか、お前らも少しは手伝いやがれですよ!?


なんでも良いから、出来きそうな事、頑張ってみてくださいませよ!?



こんなんマジでチマチマ1人でやってられなさすぎて、



「マジでこんなん1人でチマチマやってられるか!!」


「オマっ!?  なんでいきなり座ってんだよ!?  早く撃てって!!」


「モミジ!  いきなりどうしたの!?  具合が悪いの!?」



しゃがんで地面に左手の平を思いっきりベッタリ着ける。


そんで、いきなり迎撃を止めてしゃがんだ俺に狼狽える2人。


ジダがクッソ言いまくっているけど、マジで知らん。



だったらオマエがやれし!



こんな大量の虚無を1匹ずつ処理するとか、俺はそこまで暇じゃないし、明鏡止水な我慢強さも忍耐力も持ち合わせていない。


こうなりゃ、ブッパでヒャッハーしてやる。


って事で、発現させるイメージは、細い血管みたいな、蜘蛛の巣みたいな感じ。


相手にバレない様に、撃ち漏らしが無い様に、1回でちゃんと殺しきれる様に、沢山の細い魔力の線を足下に張り巡らせ、



「イケメン、ウッセー!!  ってかホント!  マジでさっさと消えてくれさい!!」



ドームの周りの地面から、



「さっさと死ゃねぇェェェえええ!!」



2mくらいの高さがある、沢山のトゲトゲを発現させる。



「うおっ──!?」


「ひェっ──!?」



以前、埠頭で雫と桜田にやれって言われたアレ。


シュンって出して、シュンって戻せ言われたアレ。


以前は、



んなん出来るかボケぇっ!!


人をなんだと思ってんだっ!?



って、全くもって微塵もできる気がしなかったけど、何故か今ならできる気がしたからやってみた。


ってか、いちいち捲し立てる、指示だけイケメンがウザすぎ。


俺が思うに、コレは、愛のチカラと、ウザさの限界によって齎された、奇跡が実を結んだコラボレーション。



やれば出来んじゃん俺!?



やってみてできたのを良い事に、



ホント、今までマジでウザかったです!!


なので、クソ虚無は此処で殲滅しやがれでお願いしゃっス!!



と心に決めて、棘を引っ込めては瞬時に出してを繰り返す。



急いでさっさと死にさらせ!!



出ては引っ込む沢山のトゲトゲ。


見ようによっては、音と殺戮のイルミネーション。


ってか段々楽しくなってきたから、オーケストラの指揮者をイメージしながら、脳内再生された音楽に合わせて棘を出し入れ。


それだったらって事で、



「コイツ、マジ、かよ……!?」


「ふぁあぁぁぁ………!?」



左手から漆黒の線を伸ばして立ち上がり、如何にも指揮者な感じに手を振って、前後左右へとソレっぽく躍動しながらアーティスティックに刺し殺す。



芸術は爆発だ!!



………………


…………


……












そんなこんなで数十分。


ジダのウザイ指示をも黙らせる程、ストレスによってアーティストな俺の感性が覚醒し、わんさか集まってきた虚無を一掃したなう。


黒い線で操るトゲトゲだけでは飽き足らず、後半は、右手に銃を発現させて、衝撃波でアートに色合いをつけてやったった。


そしてメッシュドームの中では、前後左右に躍動しながらブッパしまくる俺を避ける様に動き回る2人。



いやぁ〜。


実に有意義な時間だった。


動いて大量にかいた汗も、どこか清々しく感じる。



「この汗も含めて、アートだな!」



遠足は、お家に帰るまでが遠足的なアレと同じノリ。


アート中にかいた汗もアートなのだよ!


しかし、



「終わった、か……」


「やっと、終わった……」



身体中でアートを表現した清々しい気分の俺とは逆に、



「ホントに死ぬトコだった……」


「衝撃波の連射が立て続けに来た時は、ホント危なかったよ……」


「………………」



死屍累々に燃え尽きている2人。



「モミジの……  いや、コレが、4本線の、神格者……」


「建御雷神……  オマエの雷が優しく思えるぞ……」


「ボクとモミジじゃ、質も量もケタ違いだよ……」


「「………………」」


「………………」



オイオイ……


ってか、



「ナニもしてないのに、なんでこんなに疲れてんのかなキミ達は?  何もしてないのに俺より汗だくとか、おかしいよね?」



なんで俺のより汗だくだし?



「いや……  オマ……」


「えぇっと……  ソレは……」


「………………」



俺を見ながら何かを言い淀む2人。


何かを言おうとするも続けて言葉が出てこないらしく、



「「「………………」」」



クッソ重い沈黙が続く。



「……ってか何か言えし!?  早く続き言えし!?」





取り敢えず、集まって来た虚無は片っ端から殲滅させた。


そんで、今は静かになった廃墟。


ぶっちゃけ、疲れたからお家に帰りたい。


水筒の水もないから喉がカラッカラで死ねる。


って事で、



「すみませんが、お水を分けて頂けますでしょうか……」



空の水筒を両手で持って、何故か疲弊している2人に向かって逆さの水筒を見せてみる。


所謂、俺の水はもう無いから水をくれアピール。



「「………………」」



そんな俺を2人が信じられない者を見る目で見つめる。



「ハァ〜〜〜……」



ジダに至っては、モノすっごい溜め息のオマケ付き。



「ポンコツなのか、大物なのか、ホント分かんねぇな、コイツわ……」


「………………」



ポンコツ言うなし。


大物じゃなくてモブだし。



座っていたジダが重い腰を上げる感じで立ち上がり、



「貸せ」


「あっ……」



俺の水筒をひったくる様に取り上げた。



「………………」



そんで、徐に人差し指を吸い口に向かって曲げて向け、



「あ……  水……?」



人差し指から水を出して俺の水筒へとチョロチョロ注ぐ。



「もしかして……  その、水を出してるのって……」


「あぁ。  魔法だ。  オマエらと違って線が無い俺は、虚無と戦う為には、こうやって少しでも使える魔法とスキルを覚えるしかねぇんだよ」



バツが悪そうに表情を歪めるイケメン。


けど、



「魔法……  スッゲー……」



俺が夢にまで見た便利な魔法を使っているジダが、マジでカッコいい。


そう。


俺は、こう言う、生活に便利な魔法に憧れていたのだ。


桜田や雫みたいに、敵をブッパでヒャッハーできる魔法より、普段の生活を便利で快適にしてくれる魔法の方が好き。


ってか、モブな俺はそれで満足。



「こんなの、やっすいスクロール使えば誰だって覚えられるだろうが?」


「スクロール!?  マジ、か!?」



ジダの一言に勇気と希望が思いっきり湧き出る。


しかし、



「モミジ……  残念だけど、神格者は、魔法を使う為の魔力は扱えないんだよ……」


「……そう、だった……」



アンナによって残酷な現実に戻される。



「まぁ、神格者のオマエにはオマエの領分があるって事で、こんなのは、理の下位互換な魔力しか使えない俺達に任せておけば良いんだよ」



しかししかし、



「でも、もし魔力が扱えたら、俺でも魔法が使えるって事?」


「うん。  “魔力” が扱えたらね」


「………………」



じゃぁ、魔力が扱えたら俺も魔法が使えるのか……


って事は……



って事で、久しぶりに右手からキラッキラの魔力のモヤモヤを発現させてみる。



「おぅふ……」



そんで、久しぶりに襲われた、身体の中のナニかをゴッソリ持って行かれた様な、気怠い感じの脱力感。



「コレって、魔力だよね?」


「マ“──!?」


「オ”──!?」



そんな、俺が発現させたキラッキラを見て、同時に固まった2人。


そして、水筒の吸い口から思いっきり外れた所に向いているジダの指から出ている水。



あぁ……


水が勿体無い……



お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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