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今日のモブは少し強気

馬鹿を見る目で見られている俺。


流石に俺でも、そのモノ凄い馬鹿を見た様な視線は分かるぞ?


だって、



「馬鹿か、お前?」



イケメンは視線と言葉がセットだったから、流石にコレで分からない訳がない。



「モミジ……  ソレは、ちょっと……」



何故かアンナは酷く申し訳無さそう?な顔で俺を諌めるけど、



「ってかその人、死んだかどうか、まだ分かんねぇんだろ?  ソレに、その人が虚無と戦って、どれくらいの時間が経ってるんだ?  俺たちの対応が早ければ早い程、生存確率は高いんじゃないか?」



俺は至って真剣。


だって、単に、確認出来ないから確認しに行くってだけで、虚無と戦うとか一言も言ってないし。  



「いや、お前……  いきなり何を言って……  と言うか誰だお前……?  どこから湧いて出た?」


「………………」



そして、今、初めてイケメンに俺の存在が認識された瞬間。



いや……


俺、さっきから此処に居たし……


ずっと、アンナの横に居たし……


湧いて出た言うなし……



「いや、さっきからずっと此処に居たわ。  話も全部聞いてたわ」



でも、今日のモブは少し強気。


愛しの嫁の前だから、少しイキり気味にギアアップ。


コレで俺のターンエンド。



「と言うか、平然と俺達の話に加わっているが、そもそも、お前は何者だ?  お前みたいな一般市民がこんな所で何をしている?」



イケメンは、手ぶらでラフ過ぎる普段着な格好の姿の俺を睨みつけながら、質問責めでターンエンド。



「………………」



いや、ホントソレな。


言ってる事がごもっともすぎる。


俺も此処で何してるのかマジで分かんねぇのよ実際。



俺はイケメンの効果的なカウンターに何も出来ずにターンエンド。


さっきまで強気だったのに、



「………………」



正論を言われて負け気味で意気消沈。


しかし、



「ちょっとジダ、待って!  この人は……」



そんな負け気味な俺に、アンナがすかさずフォロー。


伏せていた奥の手が、時間差発動してターンエンド。



さぁ、アンナよ!


この、見るからにリア充そうなイケメンへと、最愛の旦那様を紹介するのだ!



「この人は……  その……」



けど、何故か発動に時間がかかっている様子。



え?


なんで言い淀んでるし!?


もしかして恥ずかしいの!?


旦那の俺の初めての紹介が恥ずかしいのですか!?



「ぁあ?  どうしたんだ?  そんで、コイツは一体なんなんだ?」


「あの……  この人は、その……」



さっきまでの気丈な態度とは違い、乙女チックに両手を胸の前で合わせてモニョモニョさせて、モジモジしまくる可愛いアンナ。



その仕草は可愛いけど!


俺的にはいつまでも恥じらうアンナを見ていたいけど!


でも、このままではイケメンに負けてしまう!!


頑張れアンナ!!


恥ずかしがらずにそのイケメンに言っておやりなさい!!


俺がアンナのなんなのかを!!



「ボクの旦那様、だ……」


「は?」



そして、アンナから発せられた会心の一撃。



よし!


よく言った!!


偉いぞアンナ!!



恥じらうアンナが頑張って会心の一撃を発したんだけど、



「ふぁぁ──!」



発した当のアンナは、ソレはもう、恥ずかしさがMAXなのか、耳まで顔を真赤にさせ、何故か軽く涙目になってしまっている。


そんな可愛いアンナを尻目に、



「そうです!  私が!  アンナの!  旦那様!  ですっ!」



モデル立ちになり、華麗に両手を広げ、勝ちを自慢する様にイケメンに俺を見せつけてやる。



さぁ!


驚いてウンコ漏らしやがれ!!



「嘘、だ、ろ……?」



俺が思ってた以上に驚きまくるイケメンに草。



こんなに可愛らしいアンナと結婚した今の俺は、眼の前にいるイケメンをも超える勝ち組。


正に勝者!


否!


リア充の極み!



いや、ホントマジで、優越感がハンパない!



「ホント、だよ……」


「イヤイヤイヤイヤ、待て待て待て待て!?  お前、そもそも、いつ結婚したんだ!?」


「今朝……」


「は?」



完全に思考が追いついていないっぽいイケメン。



「今朝って……  本気か?」


「本気……」



イケメンの確認に、再度、顔を真っ赤にさせるアンナ。


って事でダメ押しのトドメ、っだ!



「そう!  私が!  アンナが本気な!  旦那様!  っだ!」


「………………」


「ちょっ!?  モミジ!?」



俺のダメ押しに呆然とするイケメンと、恥ずかしがり屋な可愛いアンナ。



「マジか……  コイツが……  そうか……  まぁ、取り敢えず……  おめでとう……?」


「ありがとう!」


「「………………」」



おめでとうって言われたから、ありがとうって言い返してやった!



ってか、そこのイケメンよ。


なんでそんな目で俺を見る?



「取り敢えず、コイツが何者かは分かった。  だが、何故、コイツを連れて来た?」


「………………」


「恥じらう我が花嫁に変わって、私が教えてしんぜよう!」


「あ、ぁあ……?」


「ソレは──!  見せ合いっこをする為だ!」


「「………………」」



オイ!?


なんでソコで沈黙?


なんでも良いから反応して!?



イケメンは、本物の馬鹿を見る様な目で俺を見て、アンナはそのまま俯いてしまって顔を上げようとしない。



「いや、新婚で浮かれているのは分かるが……」



イケメンは、コイツらマジかよ?って顔で俯いているアンナに視線を向ける。



「って事で、さっきはアンナのを見せてもらったから、次は俺のを見せる番」


「はぁあっ!?  オマっ!?  いくらお前が新婚で浮かれているからって、俺は勝手知ったるお前のヤツとか絶対に見ないし見たくねぇ!!  ってか見せんな!!」



何故か急に狼狽えるイケメン。


まぁ、そりゃそうだ。


モブな俺のとか見ても、時間の無駄だわな。


だけど俺は、



「だがしかし!  アンナには此処で見せるって約束したんだ!  って事で──!」


「──馬鹿!  オマ!?  ヤメ──!?」


「──ジャジャーン!!」



アンナの為に見せてやる!


俺のモブさ具合を見せてやる!



俺は、左手からスナイパーライフルを発現させ、



「「──!?」」



だから──!




向こうから近づいて来た黒い化け物に向かって構え、




──こんなショボい俺でも愛してください!!




コチっ──




相変わらずスッカスカなトリガーを引いてやったった。




ドォリュヒュボッッッ──!!




「「──!?」」



トリガースッカスカなクセに、相変わらず銃口から出るエグい衝撃波。



「「──!?」」



しかも、何故か今日はエグさマシマシなご様子。


衝撃波の後に空振が発生して、俺を中心にして周りが一斉にバッサバッサ。


そして、いとも簡単にピチュンした、遠くにいた虚無。


ってか、何故か周りに居た虚無も巻き込んで一緒にピチュン。



「「──!?」」


「さぁ!  どうでしょう!  こんなショボい僕ですが、どうか愛してあげてください!!」



………………


…………


……












アンナとの予定通り、簡単な見せ合いっこが終わった。


見せ合いっこは終わったんだけど、



「連絡がロストしたのはこの辺りだな……」


「じゃぁ、一度、その辺りに向かおう」


「………………」



何故かイケメンとアンナに無言でテントに連れて来られた。



「………………」



しかも、何故か周りの人達にも緊急招集。


そして、



「あんなヤツが4本持ち?」


「マジかよ?」


「どう見ても普通のヒョロガキじゃねぇか?」


「ってか存在薄くね?」


「顔と存在がモブすぎだろ?」



何故か一緒に集められた人達に、コソコソと小声でディスられまくり。



はい、そこー。


バッチリ聞こえてますよー。


思いっきり俺の耳に届いてますよー。



イケメンとアンナの意見が纏まったのか、



「みんな、聞いてくれ──」



端っこで座る俺を無視して、ブリーフィング的な何かが始まった。



お読みいただきありがとうございます。


モチベになりますので、☆やブクマを頂けましたら幸いです。

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