朗報 : 遂に俺の時代がやって来た!
アンナが言うには、俺の掌にある落書きみたいな線は、“神格者の証“ と言うものらしい。
通称、“神証”。
「神格者?」
「そ♪ 神格者だよ♪」
神格者にはランクがあって、1本線から1本ずつ増える毎に理を操れる枠が広がるらしい。
そんで俺の掌にある、4本線のヤツが最上級のクラスで、理を自在に操れる程もんのスゴいヤツなんだってさ。
「マジ、で……?」
「マジマジ♪」
ってか、理ってナニ?
地上で嫌悪され、馬鹿にされ続けていた俺は、浮遊都市では崇め祀られるレベルの特殊な存在だった。
神証ってのは、何処かの誰かに急に現れて、現れた線は、その人が死を迎えるまで増える事も減る事もないし、遺伝的に受け継がれる事もない。
現れる線の形やデザインは人それぞれ違うけど、必ず左の掌に現れる。
アンナの知っている神証を持った人は、自在に風を操ったり、火を操ったりする事が出来るらしい。
「え? それって魔法とどう違うの?」
地上に居るアニ豚とかアル中とか、バンバン色んなの操り出しまくっているですよ?
「魔法って言うのは、神格者のチカラを人工的に模倣したものだよ。 まぁ、神格者は、何故か魔法は使えないし、しかも、1つの理しか発現できないけど、単純に、威力の桁は全く違うね。 それが4本線にもなると、扱う理が超越するんだってさ」
「理が超越するって、どゆ事?」
ってか、俺って魔法が使えないの!?
え!?
ウソ!?
マジで!?
「うん、それは──」
アンナが“燃える”と言う理で例えてくれた。
モノを燃やす為には、燃焼と言うプロセスがある。
燃やす為に熱を生み出して火を起こして、何かに着火させて、酸素とかの気体を取り込んで、燃焼させて火を持続させる。
しかし神証持ちは、モノを燃やす為のプロセスをデフォルトでスキップさせられる。
熱を生み出さなくても火を発現させ、何かに着火させなくても、気体を取り込まなくても、燃焼させ続けられる。
魔法の様に魔力すらも必要ない。
コレで言うところ、雫のヤツは自分で火を起こして着火させないと使えないし、桜田のヤツは、周りに気体とか魔力がないと燃やせないって感じか?
そして、線が増える毎に、理を変質させる理が増えていく。
──1本線は造形。
──2本線は凝縮。
──3本線は分解。
──4本線は変換。
「モミジの全てを扱える4本線は凄いんだよ♪」
「マジ、ですか……」
ウP主の魔法が使えますよ詐欺に引っかかって、挙句、簡単にバグる様な不完全なヤツを掴まされた俺だけど、
「モミジ、此処ではモミジのその4本線は、重鎮扱いだよ。 下手したら、国王以上だね♪」
「………………」
場所が変わればなんとやら。
朗報 : 遂に俺の時代がやって来た!
「そ、それで…… その、重鎮で、国王以上な、4本線の俺の待遇ってのは、どんな感じになるのかしら?」
「望めば…… う〜ん…… あのお城に住めるんじゃないかな?」
テラス席から見える、お城に顔を向けて指さすアンナ。
「ま“──!?」
それを聞いて思考停止した俺。
「まぁ、お仕事も、必然的に探索者の最前線になっちゃうし、やろうと思えば都市も壊滅できちゃう存在だから、不必要な軋轢とか衝突を避けるために、高級取りの高待遇は間違いないね♪」
そう言うアンナは、俺の指に指を絡める。
そして、
「って事で、ボクをお嫁に貰ってくれないかな?」
いきなりの逆求婚。
一瞬、何故か玉藻と同じ、鬼気迫る雰囲気が感じられたけど、
「頂戴致します!!」
細い手首や長くて細い首筋に目が行くや否や、朝のゴールラッシュがフラッシュバックして、
「こんな、しがないモブですが、一緒にお城に住んでください!」
「アハハハハハ── お城に住むのは嫌だな〜♪」
俺の心はチョロくも決まってしまった。
出会って1日で結婚を決意するとか、今朝?DTを卒業したとは言え、俺の心は未だにDTで、アンナの身体と、ベッドの上でのワールドカップの余韻を忘れられずに依存し、性の快感に恋をしていた。
って事で、ワールドカップに依存してしまった精神DTな俺は、アンナとイチャラブしながら浮遊都市を案内してもらった。
デート最高!
イチャラブ最高!
リア充最高!
因みにアンナも神格者だった。
しかも2本線。
俺のとは違って、親指の付け根に控えめにある、波打つ様なギザギザの線が十字にクロスされた線。
アンナが扱える理を聞いたところ、
「今日はオフ日だから、明日、見せてあげる♪ 明日は見せ合いっこしようね♪」
「見せ合いっこ……」
明日までのお楽しみって事になった。
ってか、既に裸の見せ合いっこをしてしまっているから、余計に見せ合いっこって言うワードにドキドキして、物凄く心に突き刺さる。
帰りがけに夕飯を食べた後、アンナの部屋に戻って始まった、情熱的なワールドカップに熱狂した。
今夜の俺もストライカーだぜ!
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