そんな事する?
汚れや穢れ、不純物や異物としか言えないモノを押し付けられた感じで、終わればネガティブな感じの不老不死になってしまった俺。
押し付けられたモノの影響や副作用がなんなのかが分からなさすぎて未知すぎて、何故か素直に手放しで喜べない。
って言うか、ソレを今、喜んで良いのか悪いのかって状況じゃなさすぎて、
「なんで俺だけこうなるし……」
いや、マジ、コレ。
ナニがどうなってこうなった。
「馬鹿が!! 1人で優雅にお散歩ですかぁあ!?」
「余裕ぶっこいてんのか小僧っ! ゴラァ!?」
………………
…………
……
…
ベロチューされて気絶して、復活して一悶着あったあの後、俺は怒りと悲しみを抑える事が出来ず、あの場から逃亡した。
追い出されたとも言ったり言わなかったり。
とにかく、感情に任せて雫ん家から立ち去ったのは良いものの、後の事が完全にノープランだったから、スマホで適当に暇つぶしを探していたら、たまたま近くの書店で開催されていた、推しの声優の握手会があったから足を運んでみることに。
暇すぎたノリで足を運んだのは良いものの、案の定と言うかなんと言うか、
「………………」
お空に現れているアレのせいで、握手会はキャンセル。
荒んだ心を癒す為、握手会と言う、合法的且つ、堂々と異性にお触りおkな手段で人の温もりを感じたかったけど、
「誰か、俺に、癒しの手を……」
加速度的に荒みまくる俺の心。
もう、本屋の店員と握手してしまうか?と考えてしまう程、何故か握手したい病が発生しまくっている。
握手で禁断症状が出るとか、マジでヤベー俺。
取り敢えず、握手をしたい衝動を抑える為、心を落ち着かせる為に、面白い形をした雲を探して気を紛らわせる事に。
あぁ……
夏の空はなんて青いんだ……
雲が、全く無いじゃぁ、ないか……
俺、生まれ変わったら鳥になりたいな……
あ……
俺、不老不死だったわ……
そんな、アングリーロードを強制的に進まされている途中で出会った、冒頭のコイツ等。
何処からどう見ても反社な輩。
見た目まんまピコ太郎。
リンゴとペンが似合いそう。
本屋から出て、コンビニの前でガードレールに腰掛けて、アイスを食べながら変わった形の雲を探してたら、そんな人達にいきなり絡まれた。
こんな物騒な事案とか、勿論、全力で回避する。
だって、俺、モブぞ?
隠キャぞ?
背景の一部ぞ?
何処の誰が好き好んで街中のポスターに声をかける?
俺に声をかけるなんて、ソレレベルぞ?
こんなに沢山人が居るのに、なんで俺に声をかけてきたのか、サッパリ皆目検討がつかない。
「あ、すみません。 人違いだと思います。 塾に遅刻しそうで急いでますので」
って事で、常套句で神回避。
「んなわきゃねぇだろ!? 遅刻しそうなヤツが、のんびり座ってアイス食ってるわきゃねぇだろ!?」
「っつーか、俺等の仲間が、テメーからしこたま理力がダダ漏れまくってるって言ってんだよ!」
「って事でオメェ、一回、こっち来いやっ!」
「………………」
そっちかーい!!
いや、マジで、なんで俺なん?って思ったけど、ピンポイントな理由すぎてワロタ。
ってかもう、今日の行動は全てが裏目。
のんびりアイスも食えやしない。
今日は、理不尽と言う怒りに燃えたアングリーロードと思っていたら、実は破滅へと誘うデスロードだった。
しかも、ただでさえも悪趣味で派手な服なヤツ等に絡まれて目立ってるって言うのに、ここで戦闘開始ってのは、マジで頂けない。
人の目があり過ぎて、この前のアキバと同じになってしまう。
ってか、住んでいるマンションのご近所さんすぎて、マジで目立ちたくない。
って事で、
「オイ!? テメっ!? 待ちやがれ!?」
「ナニ逃げてんだゴラァ!!」
全速力で神回避(物理)。
食パンじゃなくてアイスを咥えて走っても、かの有名な、角を曲がったら運命の人と出会えるイベントって発生するのかな?
でも今は、そんなイベントが発生しても何もできなくて無理だから、取り敢えずひたすら真っ直ぐ走っておく。
ってか、アイス食べながら走ったら、脇腹痛くなってきた。
って事で、眼前に見える、
「お、オイ!? ちょっ!? キミっ!?」
ビルを建設している工事現場に逃げ込む事に。
アニメとか漫画みたいに、逃げ込んだ工事現場には人が居ないとか言うのは全く無くて、作業する人達が居まくって逆にやっちゃった感しかない。
でも、警備員に止められたのをノリと勢いで無視して入って来ちゃったから、取り敢えず隠れられそうな所を探す。
出来上がってるフロアには人が居ないか少ないと思うから、取り敢えず上に向かって走る。
ってか、上へ上へと上がっている途中、下から何かが爆発する様な音が聞こえてきてるのは、俺の気のせいであってほしい。
工事の作業員さん達が、血相を変えて逃げている姿は、どうか俺の目の錯覚であってほしい。
いや、マジで……?
そんな事する?
って思ってしまう程、さっきのピコ太郎達が下で暴れまくっている。
ピコ太郎その1が、特撮か?って思えるくらいの炎と爆発を撒き散らし、ピコ太郎その2が重そうな重機を持ち上げてブン回している。
「………………」
少しでも周囲に被害が出ない様にって考えての行動だったけど、
なんて事してくれてんのあの人達……?
今日の俺は、行動が裏目になる日って事をすっかり忘れてた。
俺が此処に来たせいで、工事の進捗が大分後退する事間違いない。
ってか、下手したら作り直しの可能性すらある。
いや待て。
コレは俺のせいじゃない。
ピコ太郎達が周りを無視して暴れているせいであって、決して、俺が此処に来たせいじゃぁ、ない!
ってかこうなったら、完全に表沙汰になるのは間違いない。
お空にあるファンタジーなアレのせいもあって、異能が、異能者が、人々に認識される事になるだろう。
って事で、
「…………。 あ、もしもし。 3丁目の工事現場でイカれた2人組が盛大に暴れていますので、至急逮捕してください」
八千流木さんに電話する。
「え? 今の状況ですか? 大爆発がドッカンドッカンです」
どうせ今はジュークボックス開催中だから、面倒事は同じ穴の狢にでも丸投げで問題ないだろう。
「え? 巫山戯てるのかって? イヤ、マジです。 マジでドッカンドッカンなんです。 え? そんな! イタズラ電話とかじゃないですって! ホントなんですって! ちょっ!? マジで──!?」
うん。
忙しいからって電話切られた……
「………………」
さてと……
どうしよコレ……
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