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被害者だからぁぁぁああああ!!

どうやら俺は不老不死になれたらしい。


そんでもって、どうやら俺は、玉藻の中にあった虚無を食べてしまった、らしい。



いや、ナニしてんの俺……


ってか、そんなん食った覚えなんて、ねぇんでごぜぇますが……


ってか、そんなの食べちゃダメでしょ!!


ペッペしなさい!



「オマエ、鬼畜かよ」


「正に、身も心も奪うとはこの事でござるな」


「紅葉、流石にソレは……」



ってか、なんでこうなったし……



「み、皆よ。  わ、妾は良い、のだ……  だ、旦那様が望んだのであれば。  グス──」



望んでねぇしぃぃぃいいい!?



「与えられて尚、更に根こそぎ奪うとか、見た目と存在はモブの癖に、やる事はマジでエゲツないな。  マジ鬼畜だな」



鬼畜違うしぃぃぃいいい!?



「玉藻氏。  こう言う輩には声を大にしてガツンと言ってやらないとダメでござるよ。  紅葉氏は羊の皮を被った狼でござるよ?」



人の皮を被った人間ですけどぉぉぉおおお!?



「紅葉?  返してあげられないかな?  玉藻さん、悲しそうだよ?」



取ってねぇから!!



「いやー。  ここに来て玉藻さんの戦力低下とか……    死活問題ですね……」


「………………」



いや、ナニ、コノ、酷い言われ様……


ってか、トラウマベロチューされた上に、どんな極刑に値する罪をなすり付けられてるの俺……?



「モヤシ。  玉藻、困ってんだろ?  返してやれよ」


「そうでござる!」


「ねぇ。  返してあげようよ?」


「ジュークボックスに乗り気でない千羽クンが持っていても宝の持ち腐れですよ?」


「………………」



みんなからの返せ返せコール。


こんなん、俺にとっちゃ、押しつけが過ぎまくる。


ってか理不尽すぎる。



俺だって要らんし!!


欲しくねぇし!!


ってか、取った覚えねぇし!!



「イヤイヤイヤイヤ!?  返せもクソも、逆に食いたくないのに食わされたのよ俺!?  ってか、変なモン勝手に食わされた上に、ベロチューがトラウマになったのよ!?  被害者なのよ俺!?  恐怖のベロチューだったのよ!?」


「はぁうぅ──!?」


「モヤシ、オマっ!?  なんて事を──!?」


「本人を前にしてこうも言いまくるとは、人間のクズでござるな」


「千羽クンはクズですね」


「紅葉。  流石にソレはクズ過ぎでしょ……」


「うぅ──」


「玉藻!  泣くんじゃねぇ!  あんなクズに涙を零す価値なんてねぇ!」




まさかのクズ連呼!?


なんでクズ言われまくってるし!?


俺、クズじゃないからっ!!


被害者だからぁぁぁああああ!!


………………


…………


……










こうして、目が覚めたと同時にクズ認定くらった俺。


戻らないモノは仕方がないって事で、ってか、何も知らない俺に返せる訳も方法もなく、クズな摂取野郎と罵られ続けているなう。



「なぁ。  俺に取られたってのは、以前にオマエが取り込んだ虚無なんだろ?」


「黙れクズ。  オマエがオマエ言うな。  なぁ、玉藻。  クズにどれくらいチカラ取られたんだ?」



イヤ、なんで言い直してんの?




「ってか、玉藻の戦力、どうすんだよ?」


「クズは少し黙っていて下さい。  玉藻さん?  虚無のチカラが無くなった今、どんな事ができますか?  今の玉藻さんができる事を、今すぐ皆んなで考え、確認すべきですよ」



イヤ、どんだけ?


俺、どんだけクズ扱いされてんの?


どんだけクズフィルターかかってるの?



「取り敢えず、細胞操作と回復は今まで通り出来はするが……  いかんせん威力が……」


「じゃぁ、おkなんじゃね?」


「この一大事に、どの口がおkと言えてるでござるか?  あ、乙女のクチビルとチカラを奪った口でござったな?」


「………………」



何故かこの豚にだけは殺意しか湧かねぇなオイ。



「ってか、玉藻は異能2つ持ちなんじゃねぇんかよ?  ソレでも無理なん?」


「紅葉?  彼女が多くを持っているからと言って、大切なモノを奪って良い理由にはならないんじゃないかな?」


「考え方がクズすぎて、マジでクズだなオマエ」


「盗人猛々しいでござるな」


「………………」




もうダメだ……


俺はもうダメだ……


俺には、この、激しく湧き出てくる、コイツらへの殺意をこれ以上抑えきれない!!


マジで気が狂いそうだ!!



「そう言えば、玉藻さんの新しい異能ってまだ見てないですね?  残り物とは言え、1番、戦い向きの異能だった筈ですけど?」



全員が、勝手に虚無を食わされた俺より、勝手に虚無を取られた玉藻に味方している。


正に、多数派によって、少数派は無いものとされた構図。


マジで集団ハラスメント。


情報弱者共による、公平性も平等性もない、偏った見方と思い込みによる、ずさんな情報処理の末路。



コレは死ねる。


このままマジで怒り狂って死ねる。


発狂して死ねる。


憤怒で死ねる。


って、あ……


俺、不老不死になったんだった……




俺の話は全く聞かれずにクズ扱いされている中、



「そうよのぉ。  新たな異能では、こう言う事ができるのぉ」



玉藻の新たな異能を検証する面々。


そんな玉藻の身体から、



「おぉぉ──!?」


「なんだよコレ──!?」


「銀色の粉でござるか!?」


「鱗粉みたいだね!?」


「………………」



舞い上がる銀色の粉。




ん?


粉?




「コレは、所謂、妾から生み出された、生きた武器の素?かのぉ」


「なんでござるかソレ?  ナノマシン的な感じでござるか?」


「葵が言うナノマシンと言うのが何かは知らぬが──」



そう言う玉藻が、徐に右腕を前に伸ばすと、



「──こう言う事ができる」



散っていた粉が背後に集まって、俺が見た事がありすぎる、“ワサワサ”になった。


しかも、前の黒くて普通の人には見えないモノと違って、柔らかそうなモフモフ感さえある。



「おぉぉおおお!!  妖狐の尻尾みたいでござるな!」


「カッコいいじゃねぇか!」


「スゴイ!  玉藻さんに似合ってるね!」


「………………」



ってか、黒いワサワサから、白銀のワサワサに変わっただけ。



ぶっちゃけ、同じじゃん……



「見えない攻撃もスゲーけど、こっちの方が、私的には好きだぞ!  モっフモフ!」



ってか、虚無に汚染されて不可視になっていた異能が、見える様になっただけ。



「うむ。  こうして使ってみると、なかなかしっくりくるのぉ。  寧ろ──」



徐に9つある内の白銀のワサワサの1つを軽く地面に突き立てると、



「──調子が良いくらいよ」


「………………」



簡単にズブリって刺さってやがってもうた。



「逆にスッキリしたと言うか、使い勝手が良くなったと言うか、コレはコレでありよのぉ」


「マジパネーな!!  玉藻スゲー!!」


「コレは、どうやら、寧ろ戦力が上がっていますね!  流石は異能2つ、いや、ダブルと言ったところでしょうか!」


「………………」



って事で、皆んな大喜び。



うん。


よかったね。


俺に不純物が移っちゃった様でとてもよかったね。


コレで、身も心も綺麗になれたんだね。


良かったね。


嬉しいね。




って事で、



「え!?  紅葉氏!?  なんで銃を構えているでござるか!?」


「オマっ!?  狂ったんか!?」


「もしかして!?  虚無に乗っ取られたんじゃ!?」


「ちょっ!?  紅葉!?」


「だ、旦那様っ!?」



味わってもらおうか。


不純物の怨みってヤツを!!



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