最っ、悪っ!!
胸が、ドキドキ、キュンキュンする筈のベロチューが、クッソトラウマになった衝撃的な初体験。
なんでこうなったし?
と、玉藻にされているベロチューと、俺が考え想像する最高のベロチューを細部にまでわたって比較してしていたら、頭の中が真っ白になったなう。
真っ白が白すぎて、夜行性寄りの俺にとっては、眩しすぎて、目が死ねる。
ってか、白い(物理)ってなんで?
どう言う事?
マジで白すぎて、今直ぐ3重にアイマスクして、顔に枕を乗せたい。
最悪、拷問で使う様な、光を遮断しまくる鉄仮面を被るでも良い。
とにかく、白くて目が痛い。
白が容赦なく眼球に刺さる。
白くて眩しすぎて堪らなさすぎるから、目を護るために両手で目を覆ってみても、全くなんの役にも立たない驚きの白さ。
手は勿論、肌色で、そんな手で覆っているってのにも関わらず、それでも目に映るのが白ってどう言う事?
俺の手の遮光具合がガバガバすぎて草。
ってか、俺は透視ができる魔眼を手に入れた覚えなんてない。
そんなハレンチな魔眼とか、寧ろ、心から渇望する。
ってか、くれ!
もう、コレはアレだな。
うん、夢だ。
まぁ、夢なら仕方ない。
夢ってのは、大体が色々とガバガバだしな。
ガバガバじゃない夢とか、逆に怖すぎて夜泣きするわ。
ってか、最近は全く夢を見なくなっていたから、めちゃくちゃ久しぶりの夢だなコレ。
でも、どうせ見るなら、もう少しマシな夢を見たかった。
第一希望は淫夢なんだけど、サキュバスの淫夢デリバリー、もっとちゃんと仕事しろよ。
エリア拡大して、スタッフ増員して、毎日お届けできる様にして欲しい。
そうなったら、俺は毎日頼みますんで、ホント、何卒、ご検討の程お願い申し上げます。
ってか、
夢でもサキュバスでもなんでもいいから、俺に普通で普通な彼女をくださいませ!!
この真っ白で何も無くて、しかも、ガバガバでつまらなさ過ぎる夢の中で、俺の理想の夢と、2次元を通り越した4次元彼女の獲得方法について考えていたら、
んあ?
なんだアレ?
いきなり目の前にポツンと何かが現れた。
遠目から見て、大きさ的に俺の股間くらいの高さ。
目を細めて注視していると、
おおう。
そう来たか。
いきなりソレが俺の眼前まで距離を飛び越えてやって来た。
所謂、瞬間移動ってヤツ?
ってか、ソレは人?だった。
寂しそうに立てた膝を抱えて背中を曲げて身を縮めて、俺に背中を向けて座っている。
ものすごく哀愁漂う背中。
どんだけ寂しいのか、背中からめちゃくちゃ寂しさが感じ取れる。
いくら自分の夢だからって言っても、モブで陰キャでコミュ障の俺が声をかけられる訳もなく、
「………………」
寂しそうなその人を無視して、颯爽と回れ右して足を動かす。
ってか、歩けるんだな此処……
少し歩くと、またしても、黒い何かがめっちゃ遠く?に見えた。
如何せん、周りの白が強すぎて、遠いのか遠くないのか、見えているナニカとの距離感が分からんのよ。
んでもって、さっきと同じく俺の眼前に瞬間移動してきやがった。
視界に入ったら直ぐ様こっちにやって来るとか、俺の夢はバグだらけですなぁ。
ってか、
ナニコレ……
こんなん、ヤバいっしょ……
マジで……
俺の前にやって来たのは怪物だった。
それはもう、怪物をイメージして絵に描いた様な、ガチでガチすぎる、ガッチガチな怪物。
しかも、俺の大っ嫌いな虫系。
落武者 + カマキリ + 蜘蛛 + カブトムシ + イモムシ + 毛ガニ = 目の前のコレ、な感じ。
上部分が落武者なカマキリベースで、下部分が蜘蛛ベース。
頭がカブトムシみたいに厳つくて、腹?尻尾?のところがイモムシチックでウネウネしてる。
手足は全部カマキリの鎌な感じで、全身に毛ガニみたいな毛がまばらに生えている。
見た目がクッソ最悪でアラクネとかケンタウロスが可愛く見えるレベル。
嫌悪感しか湧かない見た目すぎて、コレはもうナイトメア確定。
そんな落武者に、眼窪からハミ出まくっているギョロギョロ動く複眼で、視姦されてるみたいにクッソジロジロ見られまくっていて、
「………………」
グジュルグジュル音を立てながら、毛とか牙が生えている、キモい口内から粘ついた液体が滴っていて、
「………………」
しかも、液体に蛆虫が混ざっていて、お口周りでブチュブチュ音を鳴らしながらキモく蠢いていて、
「………………」
俺には完全にダメなヤツ。
共演NGでお願いします、なヤツ。
マジで無理。
コレは流石にやめてあげてください。
本当にごめんなさい。
見た目的にも、生理的にも、精神的にも、物理的にも、全部が全部、マジで無理。
おいどん、完全に降参でごわす。
全裸で白旗掲げて、即刻降伏できるぜよ。
身も心も、既にごめんなさいの準備は整っているたい。
ってか、口から滴り落ちた蛆虫が、
「──ヵぁっ!?」
俺に向かって這って来やがってやがりますです。
ってか、思わずソレの口が見えちゃって、
笑ろてるぅぅぅぅううううう!!!!
蟲が笑ろてるぅぅぅうううう!!!
瞬間──
「──!!!!」
スーパーサ◯ヤ人3や◯ア3rdに並ぶ程、俺の鳥肌が3段階くらい覚醒モーションをすっ飛ばして立ちまくった。
立った鳥肌の毛先全てでゲイボルグ撃てるレベル。
もう、ラ◯サーも吃驚なホトバシリ具合。
そうなったらどうなると思う?
「………………」
身体が硬直して動けねぇんだわ、コレが……
ソレが近づく毎、足元の蛆虫が近づく毎、俺の鳥肌がギアをガンガン上げまくって、気分は、エア貼り付けガリバー旅行記の気分。
俺の毛達が主を置いて一斉に逃げようとしているのでは?と、錯覚するレベル。
そりゃ、ガリバーもちっこいのにワサワサ群がられたら、潰してしまうんじゃないかって気が気じゃなくなって、マジで動けなくなるわな。
ってか、間違って潰してしまった日にゃぁ、発狂すること間違いなし。
俺なら発狂ついでに泡吹いて死ねる。
と、アレコレ考えて現実逃避をしていると、
『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ──』
「──!?」
気づいたら、落武者の顔が近すぎまくる。
ってか、落武者の顔に俺の鼻が届きそうな距離感。
『理力……』
チューしようと思えばできる距離感。
『りりょく……』
友達以上、恋人未満な距離感。
『リリョク……』
クッソ近くで複眼をギョロギョロと動かして俺の顔を見ながら、理力、理力と煩い落武者。
って言うか、そんな距離で蛆虫だらけの口が開いてハァハァされてみ?
生温かい、腐った生ゴミみたいな、ドブから上がって来たヤバいガスみたいな臭い息が、キモい口からハァハァ漏れ出ていて、正しく、俺に息も吐かせない、悪辣な時間差“口撃”にマジで吐きそう。
しかも、ウジ虫が落武者の口から俺に向かって背伸びしてウニウニしてるって言う、抱っこをせがむ赤ちゃんなアレな感じ。
ってか、
「オっ──!?」
無理っ──!!
「ォロロロロロロロロロロロォォォォオオオ──!!」
『………………』
色々と我慢出来なさすぎまくる俺は、かの有名なマーライオンとなって、オロロを落武者に向かって勢いよくビシャーさせた。
って言うか、俺のオロロが鼻先にある落武者の顔に当たって勢い良く跳ね返ってきやがって、俺は自分のリターンオロロによって盛大に自爆。
落武者も俺も、俺のオロロで顔がビチャビチャ。
なんて言うかもう──
──最っ、悪っ!!
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