おかわりをどうぞ
俺の作戦を理解?したクリリン。
って事で、早速クリリンと二手に分かれる。
別れ際に、
『俺が攻撃するまで、絶対に見つかるなよ!』
『分かった!』
って念を押したけど、
「………………」
クリリンの腕の ”勇者" が暗闇で自己主張しまくってるから、絶対見つかるんだろうなぁ……
まぁ、そうなったらそうなったで、クリリンが囮になって、奇襲のチャンスは1回っきりになるだろうけど──
──まぁ、1回でも十分だ。
周りにしこたま俺の魔力をバラ撒いているから、コンビニでペラッペラが言っていた、
『もう、君の顔と理力の波は覚えましたー』
理力の波ってのも、俺は常に自分の魔力の上を移動してるから、理力探知だろうが魔力探知だろうが、あまり正確には機能しない筈。
木を隠すなら森ってね。
日頃から、マジでやって良かったスプラ◯ゥーン。
残念な事に、オマエらは、俺の魔力の上に立ってるんですよ。
ってか、俺の掌の上に居るのも同じ。
そんなん、奇襲のチャンスが1回でも十分にお釣りが来るっつ~の。
ってか、敵は俺を見つけきれずに、ずっと俺のターン確定。
って事で、戦闘の動きがよく見える、ファーストフードの2階の窓際カウンター席に到着。
こうして俺が此処に普通に座っていても、コレが日頃から見慣れている自然な風景すぎて、ソレが意識に深く刷り込まれていて、コノ絵に違和感を感じられず、直ぐにはソレが異常とは思わない筈だ。
あそこには人が居て当たり前。
あそこはそう言う場所だから、と。
これぞ、
モブによる──
モブだけができる──
モブだけの為の──
風景一体化!
背景化とも言う!
イケメンが絵になるって言われるのと、モブが絵になるって言われるのは、根本的に意味合いが違うのだよ!!
って事で、窓の外の右側に視線を向ける。
「………………」
そこには、銀髪のイケメンが前に手を伸ばしながら余裕カマして優雅に立っていて、その横には、華奢で小綺麗な格好の女性が赤い紐を握って立っている。
って事で、
ホイ。
黒い線と繋がっている、伸ばした左の人差し指をチョイって上に上げてやれば、
『な”!?』
『え”!?』
銀髪と女性の首から下を魔力でガッチガチに拘束して、
『ゴフぅ──!?』
『フグぅ──!?』
そのままアイアンメイデンしてやった。
すると、夜空に浮いていた青い火の弾を吐き出している青い五芒星と、建物と建物を繋ぐ様に張り巡らされていた赤い紐が消え失せた。
うん。
赤い紐の効果がなんだったのか気になりすぎるけど……
ま、いっか。
いきなりな仲間の異能の消失と死を見て、雫と玉藻から意識を外した龍の上にいるヤツと、牛人間と馬人間。
あぁ~あ……
そんな大きな隙をあの狂人2人に晒すとか、
『しゃぁ!! ゴラアぁぁぁあああ嗚呼!!』
馬人間が雫の風を纏う手刀で首チョンパされて、
『去ねっ!』
牛人間は玉藻のワサワサ9本に潰された。
まぁ、そうなるわな。
残りは、浮いている龍の上に居る、ビジュアル系なチャラいヤツだけど、
『──がぁ!?』
あ……
クリリンが伸ばした光の剣にお腹を貫かれてやんの。
そんじゃ、
おかわりをどうぞ、っと。
『──グがぁ!?』
道路から黒い棘を沢山伸ばしてあげて、下からも串刺し。
すると、徐々にペラッペラを固めて作っていた龍が解けて紙吹雪の様に舞い散って、
「自分でやっておいてあれだけど…… ヒデーな……」
棘で下から串刺しにされて、貼り付け状態のビジュアル系なヤツが空中に残った。
死体蹴りしたくないから、ゆっくり下ろしてあげよ……
そうこうしている内にみんなの身体が光って、敵の死体が消えていった。
これで、敵の能力者らしき奴らは、全員駆逐完了の、ジ・エンド、だ。
大量の戦力で待ち伏せされてて、一時はどうなる事かと思ったけど、最後の奇襲がハマりすぎて、俺が想像していた以上に楽に終わって良かった良かった。
またしても高得点なハコだけが残ってしまったけど、戦力は削いでるから大丈夫だろ?
多分?
俺が安心に胸を撫で下ろしていると、ガラス席からクリリンが雫達の所に駆け寄って行ったのが見えたから、
「んじゃ、帰っか」
俺も合流しようと席を立とうとしたところで、
「は?」
夜空に、赤い魔法陣みたいな、デカい五芒星が現れた。
「なんっスか? コレ?」
突然夜空に現れた赤く光る巨大な五芒星。
どう見てもヤベーヤツ。
ってかデカすぎ?!
辺りが空から赤い光にぼんやりと照らされている。
下に居るクリリン達も、頭上にある光源に目が釘付けになっていて、無防備に顔を上げて空を見ている。
ってか、玉藻がワサワサを発現させながら、慌てる様子で何かを雫とクリリンに言っている。
「ん?」
そして、クリリンが光の盾と剣を発現させ、雫はいつでも印を組める様に両手を胸の前で構えた。
「………………」
って事は、アレは敵の仕業で確定だろう。
そうなると、俺は下に降りてみんなと合流せずに、此処に留まって潜んでいた方が都合が良い感じ。
この事を伝える為に雫に電話してみたけど、
「マジ?」
何故か未だに電話が繋がらない。
電話が繋がらない現象は、さっき倒した奴らの仕業なのか、それとも、他の誰かの仕業なのか、それとも、それとも、それとも……
憶測とか推測とか想像が脳内にドバドバ沢山出てきたから、
「取り敢えず、下の状況を見てから?、だな……」
一旦、電話が繋がらない問題は先送りして、雫達のサポートへと思考を切り替える。
電話が繋がらなくても、今なら能力で伝えたいことは伝えられる。
魔力で覆った道路、玉藻の足元へと向けて、伝えたい言葉を浮かび上がらせて立体化させれば良い。
使い方を工夫すれば、実は便利なもんだな、俺の能力。
ってか、
俺、天才!
そんで、黒い線が出ている左手の指先に意識を集中しながら外を見ると、
「上手くいったな」
窓の外では俺の伝言を確認した合図、ワサワサを4本から3本に減らした玉藻の姿が。
コレで、敵がいつ現れても奇襲ができ──
って安堵したのも束の間、
「──!? イヤイヤイヤイヤ!? そうじゃないだろ!? なんで俺、戦う前提で考えてたんだ今っ!?」
さっきの戦闘の余韻が残ってたのか、トリガーハッピーだったのか知らんけど、
「そもそも、マジでこんなんやってられるかってんだよ!」
『逃げる』と言う考えがスッカリ頭の中から抜け落ちていた。
って事で、急いで走って階段を降りて建物から出て、
「オイぃぃぃ!! さっさと逃げんぞオマエらぁぁぁあああ!!」
空を見上げている3人に大声で叫ぶ。
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