俺は、シンデレラタイムで帰るんだから!!
クソなヤツらに、クソみたいな応援をされながら、到着しました駅前なう。
追跡した場所を辿って来てみたのは良いものの、
「マジか……」
心の底から来るんじゃなかったって思える光景。
「白いペラッペラが沢山でござるな……」
「ちょ、ちょっと…… コレ、多すぎじゃない……?」
「私、来なきゃ良かった……」
街灯と建物から漏れる灯りに照らされて、駅前の広場や道路にズラっと並ぶ、無数のペラッペラの群れ。
「クハっ! 壮観だな!! VIP待遇されまくりじゃねぇか!!」
「陰陽師共め」
「オシ! そんじゃオマエら!! 今からそれぞれの配置と役割を言う! 耳だけ私に向けて、絶対ぇ周りから目を離すんじゃねぇぞ!」
劇場版な雰囲気になった雫隊長に言われるまま、メッシュの中から周りに視線を向けながら、
「ウP主はこの中で待機。 火とか水とかガスとかで攻撃されたらモヤシを呼んで」
「は、はいぃ!」
「そん時はモヤシがメッシュから1枚物のドームに変えて守ってやれ」
「イエス、マム!」
耳だけを雫に預ける。
「んでモヤシは、基本、ウP主を護りながら後衛な」
「おk!」
「葵ちゃんと栗林が遊撃で、後衛と前衛のフォロー」
「了でござ!」「分かった!」
「そして、私と玉藻が前衛で、術者を探して仕留める」
「うむ」
「そんじゃ──」
雫が印を組み始め、
クリリンが両手に光の剣を発現させて、
「輝け月! 煌めけ星! 照らすは太陽! 望むはマジカル──!」
桜田が変身呪文を唱え、
玉藻が背後からワサワサを発現させ、
俺は2丁のハンドガンを発現させながら、メッシュの前面に穴を空け、
「──蹴散らせ野郎ども!!」
雫の合図でそれぞれが一斉に動き出す。
「燃えろでござる!!」
メッシュから出ると同時に、魔法少女な桜田が3つのデカい炎を発現させて、ペラッペラの群れのド真ん中に向けて先制ブッパ。
「雫! 術者は5人! 形代の最後尾に陣取っておるぞ!」
「分かった!!」
ペラッペラの群れに着弾した桜田の炎を、走る雫が過ぎ去り際に紙が巻かれた爪先で掬い上げ、
「どけぇっ!! 邪魔だオラァァァあああ!!」」
炎の爪を靡かせながらペラッペラの群れの中に飛び込んでいく。
そして、
「道を開けよ!」
雫の横から押し寄せてくるペラッペラに向かって、雫をカバーする様に玉藻がワサワサでペラッペラを押しつぶしながら後に続き、
「それじゃ、僕も!!」
クリリンが両手の光の剣を徐に伸ばし、
剣が伸びた!?
ってか、長っが!?
ペラッペラの群れに向けてフルスイングして根こそぎなぎ倒す。
そんで、
「ヤベーな、アイツら……」
戦うみんなを見て驚く俺。
ってか、マジビックリ。
「クッソ戦ってんじゃん……」
戦うみんなを見て呆然としている俺に、
「千羽クンがゲームして引き籠もっている間に、みんな、雫ちゃんの家に通って、自分の異能を研鑽してたんですよ」
「は?」
背後からウP主がいきなり語り始めた。
ナニソレ?
マジ初耳。
「そんなみんなは、いつも口を揃えて──」
ってか、俺ハブられてたんかよ!?
「──『千羽クンには負けたくない』って、言ってました」
「え? なんで?」
俺なんて、ひ弱なモブぞ?
魔法が使えない底辺ぞ?
ってか、ハブられてたんだけど!?
「私もなんで?って思ってましたけど、今日、千羽クンの能力の使い方を見て分かった気がします」
「いや、俺の能力ではこれくらいしか──」
「──千羽クンの奇抜で斬新な発想に、みんなは憧れているんですよ、きっと」
「…………………」
ってか、なんでこんな時にそんな事言うし……
盛大にフラグ立ったじゃん!?
どうやって回収すんだよコレ!?
空気が読めないド天然ウP主の雰囲気作りのせいで、ヤバいフラグがおっ立ちやがった。
ってか、コレを回収してヘシ折る為には……
「無理!! マジで無理ぃぃぃいいい!! こんなん、ドテンプレフラグなんて俺には回収できないからぁぁぁあああ!! なんて事してくれてんのぉぉぉおおお!!」
どう考えても対処不可能だから、フラグが立った事を忘れる為に、適当に銀ダンを連射してペラッペラ共を爆散させる。
そして、
「クリリン! 桜田!!」
足元に左手をカッコよく着けて、
「「──!?」」
「上に飛べぇぇぇえええ!!」
「ぬぉぉぉおオオ!!」「ひぃぃぃいいい!?」
道路から沢山のトゲトゲを無造作かつ角度をランダムに発現させて、
「俺は、シンデレラタイムで帰るんだから!!」
ペラッペラ共を足元から一斉に串刺しにする。
そして、適当に思いついたフラグ返しな言葉も一緒に添えてみたりしたのですが、如何でしょうか?
ってか、
「うん。 やりすぎた、か……?」
思いつきでこの酷い光景を生み出した自分にビックリ。
駅前は2m前後な漆黒の棘で埋め尽くされて、
「紅葉氏ぃ!? やるなら飛ばせた後の事も考えてからやるでござるよ!! 栗林氏は空を飛べないんでござるよ!?」
桜田とクリリンは俺の声で上にジャンプしたのは良いものの、
「ちょっ、紅葉ぃい!? 僕を殺す気なのっ!?」
着地地点が無くなってて草。
ってか、桜田が咄嗟に魔法で自分とクリリンを浮かせて、無事、串刺し回避。
うん。
ごめんね。
ノリで適当に発現させたから、ジャンプさせた後の着地の事とかマジで微塵も考えてなかったわ。
取り敢えず桜田にサムズアップして誤魔化しておく。
「桜田! ナイスフォロー!!」
「相変わらず、無茶苦茶でござる、なっ!!」
「ほんと、酷いよ!!」
空に浮く怒れる桜田とクリリンは、火の玉とか光の玉を連射して、下に向かって絨毯爆撃。
串刺しされたペラッペラにトドメを刺しながら、棘から逃れたヤツらを駆逐。
ってか、なんだかんだで、意外と簡単にあんだけ沢山いたペラッペラを排除できてしまっていて、
「人数が多いと結構チョロい?な」
劇場版な感じのアレでシリアスな雰囲気が一気に薄れた。
ペラッペラも一掃できたし、道路のトゲトゲが邪魔だから、
「──っしょっと」
元通り、道路に薄くコーティングした魔力溜まりに引っ込めて戻しておく。
こうしておけばまた使えるしね。
って事で、次いってみよー。
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