四章 十七歳~十八歳、秋 紅葉し、散りゆく木の葉4
ネットカフェやカプセルホテルに泊まること五日間、手持ちのお金が乏しくなってきた。
学校にも母の手が回っているかもと思うと行く気にならず、この五日は休んでいた。
ぐうーっとお腹が鳴る。
運悪く、今日は近くのドームで有名なアイドルグループがライブするとかで、近くのホテルやカプセルホテル、ネットカフェまで満室だったのだ。
私は休める場所を探して街をさまよった。
行きついた先は少し広い公園で、東屋があるところだった。
東屋の中のベンチに座り、なけなしのお金で買った、あったかいカフェオレをゆっくりとのむ。
冬に向けて風は冷たくなる一方だとどこかのニュースで流れていたが、この時ほどそれを実感したことはなかった。家の中にいたら決して感じることはないが、ずっと外にいる今はいくら厚着をしていても服の袖や靴下から寒さが這い上がってきて体の芯まで冷え込んでいくようだった。
東屋のベンチにもたれてうとうとしていたら、さーーっと外で雨が降り始めた。時折、横風に運ばれて小さな雨粒が顔に当たる。
なんで人は屋根があるところを探すのか不思議に思っていたが、理解した。
屋根があるだけで、安心感が段違いだ。きっとこの東屋の屋根がなければ、ずぶ濡れになってしまい、その濡れた服で冷たい風の中を過ごさなくてはいけなくなってしまう所だったのだ。
衣食住の偉大さが今になって身に染みた。
私は、しとしとと降る雨を見つめてうとうとと浅い眠りに落ちて行った。
次の日は朝日が昇ってきたのと同時に目が覚めた。
夜に雨が降っていたおかげか、この公園に人が近づいてくることがなかったのは不幸中の幸いだった。しかし、ずっとこのままいるわけにはいかない。
正規のバイトをして生きていくには、未だ学生の身分の私は親の承諾が必要だった。
そういったものが必要ないようなバイトの伝手はなかったし、もう友達の家に泊まるのも無理だ。近くに住んでいる親戚はいない。八方ふさがりだった。
あとは、覚悟を決めて、そういった年齢をごまかして働ける夜の仕事に就くか、おとなしく家に戻るかしか選択肢は残されていなかった。
朝焼けで赤く燃える日を見ながら、私は泣き叫んだ。
無力だった。子供であるというのは本当に無力な存在だと自覚してしまった。
そうして、ひとしきり泣いた後、私は自宅に戻った。
「どうだった?あなたは一人じゃあ生きられないのよ。あの小鳥と同じ。ようやく自覚した?」
これが帰宅した私にかけられた第一声だった。母は満足そうに笑って、もう先生には連絡したから、しばらく学校に行かずに勉強に専念しなさい。と命令した。
私はただ頷くだけだった。
無力さと無気力が私を芯まで支配していた。




