異世界転生(2)
事故で死んでしまった龍雷が目を覚ましたら、そこは……
ーーーー「ん? ここは?」
【あら、目が覚めましたか。】
目の前に『ザ・女神』とでも言いたくなるような見た目の女性がいる。
緑色の髪は腰までまっすぐ流れており、白い服に纏われた身は誰もが2度見をするであろう完璧なスタイル。
おまけに背中に羽根まで生えていて、もう天使やん。いや、女神か。
女性に慣れていない俺は緊張しながらきいた。
「ここはどこ? あなたは誰?」
女神はフッと優しい笑みを浮かべて答えた。
【ここは分別界と呼ばれる場所です。
天国へ行くか、地獄へ行くか、現実世界という試練をまた受けるか、異世界で特訓するか、などその人の運命を決める場所です。】
「え……
おれ、もしかして……死んだの……?」
夢でなければ、何だというのだろうか。
現実界じゃありえない空間と女神。
だが、自分でも信じられないくらい、すんなりとこの状況を受け入れる。
「はぁ……。
俺なんてもう、天国に連れていってください。疲れてしまいました。」
【あら、あまり驚かないのですね。】
「まぁ……この世のことなんて、もうどうでもいいですから。」
【結論から言いますね!あなたには異世界へいってもらうことになります。】
は? 異世界? どういうこと?
「えっと。行き先って自分で決められるんじゃ?」
【そんな訳ないじゃないですか!
あなたの中には勇者がいます。
あなたが今から行く世界には陸のダンジョン、海のダンジョン、空のダンジョンという3つのダンジョンが存在します。
ここ最近ダンジョンの動きが活発になってきてこのままですとこの世界が壊れてしまいます。
勇者サンドラはかつてダンジョン攻略を目指してこの世界の英雄となりました。そちらへ行ってください。
ダンジョンを全て攻略したら天国へ連れていってあげますから。】
「色々と知らない単語が聞こえたんだけど、そもそもダンジョンって何? サンドラって何? 攻略って何? 勇者がいるってどういうこと?」
女神はフッと笑って言った。
【それは後々分かりますよ。】
何が何だかさっぱりわからない。
「はぁ。勇者とかよくわからないけど、そこに行けばいいんですね?
でも俺なんか行ってもどうせすぐに……」
【だから私がいるんです。】
?
【私は直接世界に干渉できませんがこうやってここに来た人の願いを3つ叶えることができます。何でも叶えます。】
え? そんなバカな……
夢じゃないよね?
でも、でも……
現実だろうと夢だろうと、願いが叶うのはやっぱり嬉しいな。
「じゃあ……もし本当に願いが叶うというのであれば。
一つ目は異世界へ転生しても龍雷という名前で生まれたい。
この名前には特別な意味が込められているから。
二つ目は俺を平凡な人間にして欲しい。あまり目立つのは得意じゃないから。
3つ目はもう一つの人格とコミュニケーションを取れるようにしてほしい。勝手に色々やられると困るし。」
そういうと女神は信じられないという面持ちで言った。
【そんなことでいいのですか?
普通ならチートスキルとかヤバい力とか貴族の家に生まれるとか、可愛いお嫁さんとかをお願いすると思うんだけどな。】
またよく分からない単語が出てきたぞ。
でもまぁ普通はそうなのだろう。
だが心のどこかで、今の自分を成長させたいと感じていた。
【ではあなたは、ひとまずリューライとして転生します。
知能や記憶はそのまま赤ちゃんに転生します。うっかり、オギャァ! 以外の言葉は発しちゃだめですよ。赤ちゃんが喋ったら気味悪いですから。
あ、そういえばあなたの前にもう2人異世界へ送った人がいるので出会ったらよろしく伝えておいてください。】
ん?? 他にも異世界行った人がいるの?
「えっ、ちょ、まっ、他にもいせか……」
最後まで言い終える前に、俺の意識は海の底へ深く深く沈んでいくように落ちていった。