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あのパーティーから1週間が経過した。
あれからお父様とお兄様は帰って来ていない。
正確に言えば帰っては来ているがすぐさま城に行ってしまう。
メイド曰く『かなり疲弊した顔をしている』との事。
お兄様もそうだけど関わった人が多いらしく処理が大変らしい。
つまり今回の婚約破棄はかなり重大な事になっている、という事。
(小説では悪を断罪してめでたしめでたしで終わるけど現実はそう簡単にはいかないのね)
改めてフィクションはフィクションなんだな、と思い知った。
そして、漸くお父様の顔を見れたのは更に1週間が経過した後だった。
「お父様、大変でしたね」
「もう知っているのか……」
「なんとなくは理解しております」
「そうか……、それならばこれから話す事を心して聞くように」
私はゴクリと唾を飲んだ。
「まず今回の件、公爵はかなりのお怒りで関わった者に厳しい処分を求めている」
それはそうだろう、娘が訳がわからない理由で傷物にされたのだ、黙っている訳が無い。
「あの場で断罪に関わった者は貴族籍を剥奪、勘当する事となった、更に慰謝料を請求される事となった」
「それってつまりお兄様は勘当された、という事ですか?」
お父様は苦い表情で頷いた。
「それとは別に私は役職を辞する事にした」
「えっ!? お辞めになるんですかっ!?」
「親としての責任だ、貴族籍も国に返却する、公爵には散々目をかけてくれていた、その恩を仇で返す事になってしまった……、このまま貴族社会にいる訳にはいかない」
つまり我が家は貴族では無くなる、という事。
私の将来が音を立てて崩れていった。