引きこもりと冤罪
タイトルにも書かれている一匹狼。それは私のことだ。ただ、作中で一匹狼と表すのは非常に面倒くさいので、以後は人物A=私だと思ってくれると幸いだ。
さて、人物Aは何とも人運に恵まれない。話せば一日二日では到底足りないので、その中でも印象に残っている3つを簡潔に話そうと思う。
故にタイトル付きで分かりやすくしよう。
引きこもりと冤罪
幼き学生時代。 笑顔でランドセルを背負うのがトレンドマークの出来事。
仲良くしていた友人とクラスが離れてしまった。ただ、これは学校に通っていた皆が経験するであろう試練の壁『クラス替え』である。
幸いにも、離れた友人はボッチになることはなかった。一安心した。何故って?そいつが私以外と仲良くしたところは見たことがないからである。
塾や習いごとで知り合ったんだと、勝手に解釈した。
最初に出来た友人は何とも繋がりが強いのか、互いの相性が単に良かったのか一緒に居て苦にならなかった。だから、心配はしてなかった。
ただ、変な引っ掛かりが私には残っていた。それが悪い方向へと続いていないと願って……。
「Aくんじゃないの?」
突然教師から呼びされた際に言われた言葉。
意味が分からないと、言い理由を訪ねた。
どうやら、離れてしまった友人が引きこもりになってしまったらしい。
幼き時代、連絡手段を得ることを知らない。話すこともクラスが違うことで減り、最近姿を見ないな〜と思っていた矢先のことだった。
私は「違います」と答えた。どうやら、教師の矛先は人物A 私だった。当時、同世代より人一倍身体が大きく、目つきが怖いと言われていたのを知っていた。仲良くしていたのも一つの要素だった。
聴力が優れているのも罪だ。
私はすぐに友人に話を聞きに行った。後に親友とも呼べる存在の2人をお供として。
「体型を言われた」
どうやら、身体測定の結果を教師に指摘されて、クラスで言われてたのだろう。友人は相撲を習っていたことで、体型が力士に寄っていた。別にそれを知っていても知らなくしても気にしないのがAである。だって本人がそうなのだから。
幼き子供は良くも悪くも遠慮を知らない。教師も悪気があって言ったわけではないが、反省はしてしないようで、子供同士のいざこざだと気にしていない様子。
事件は終わらない。どっかのサスペンスドラマのような展開が待っていた。
人物Aは初めて人を殴った。毎日のように、友人の話し相手、教師からの呼び出し、クラスから向けられる視線。加えて冤罪を掛けられ、仏の顔にも限界が来てしまった。
止めはテストのカンニング疑い。漫画にも出てくるようなカースト女子。解答が全く同じ、席も隣と条件が揃ってしまっていた。教師にも信じてもらえず、子供を壊すには十分だった。
人を殴りなくないというあり得ない理由から辞めてしまったキックボクシング。染み付いた動きは無意識にも現れる。男女構わず、拳を振るった。幸いだったのが、顔に振るうことはなかったこと。
だけど、恐れられるには充分過ぎたのだろう。
『化け物』『猛獣』と呼ばれるようになり、自分自身を破壊するようになったのは……。
その一連の出来事から、今は見なくなった遊具『ジャングルジム』の一番上高さ2m近くから飛ぶようになった。毎日毎日飛び、ある日両足を骨折した時、笑顔で笑っていたと……。
後遺症なのかは分からないが、痛みをほぼ感じることがなくなった。怪我をしても、大半は気づかないのだ。
周りから言われて初めて気づく。そのレベルには痛覚を失った。