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東龍の花嫁  作者: 朝生紬
五章 星を喰らうひと
93/114

 出立は如月にしては雲ひとつない、気持ちのいい晴れの日だった。海も比較的穏やかで、きらきらと反射する海面はまるで宝石みたいだ。

 出立の準備が出来るまでぼんやりとその波間を眺めていると、とんっと背中に衝撃があった。振り返って見ると、腰のあたりにつむじが見える。

「凛音ちゃん」

「……ちゃんと、帰ってきてね」

 自分も行くと言って大泣きした顔を見られたくないのか、鈴の背中にぐりぐりと顔を押し付けたまま、くぐもった声でそう言う凛音の頭を撫でる。

「死んじゃいやだよ」

「うん」

 ぐずぐずという声に出来るだけ、優しい声で笑う。そして体の向きを変えて腰を落として、しゃがみ込むと彼女を腕の中に抱きしめた。

「ありがとう。凛音ちゃんのおかげで、わたしはまた立ち上がれた」

 彼女が招魂を試みようとしてくれなければ、きっと手遅れになっても鈴は気付けなかった。あのまま生きているのか死んでいるのかわからないまま、全てを諦めてしまっていただろう。

 この行動の結末がどんなものになっても、鈴は立ち上がったことを悔やむことだけはしないと決めていた。

 凛音の心を、決して無駄にはしたくない。

「あなたはきっと素敵な術者になれるわ。わたしが保証する。千種さんの言うことを、よく聞いてね」

「うん、頑張る」

「準備出来たぞ、鈴」

 松葉の声に鈴は立ち上がって、もう一度、凛音の頭を撫でた。見れば向こうに、術式が施され、松葉と守千賀、三光、青幡と並んでいる。彼らの前には水早が腕に紗々を乗せて微笑んで鈴を待っていた。

「鈴、こちらへ」

「はい」

 陣の前に立つと、心地好い龍の気が肌を包んだ。温かい水の中に立っているような揺蕩う感覚は久しぶりだった。

 ふと、花嫁行列の出立の日を思い出す。

 あの日もこんなふうに、とてもよく晴れた日だった。

「守千賀、あなた、しっかり姫様を守るのよ。いい?」

「わかったわかった」

「姫様に傷ひとつ付けてみなさい、屋敷になんて入れてやんないから」

「そんなこと言って最後は入れアイタ!」

「姫様、危なくなったらこれを盾にして逃げればいいですからね。頑丈さだけが唯一の取り柄ですから」

「千種……」

 そう言いながらも守千賀がちゃんと帰って来れるよう、衣にまじないの刺繍を施しているのを鈴は知っている。彼女のもとに、ちゃんと彼を帰してやらなくては。 

「では、行って参ります」

 荷物を背負い、鈴が見送りに来た長たちに告げる。柔らかな空色の光が足元から周囲に満ちて、水の匂いが濃くなる。それは鈴だけでなく松葉たちも包み込んで、だんだんと水の壁の向こうに世界が追いやられていくような感覚がした。


「あなたの旅路に、幸多からんことを」




 目映い光に目を瞑って、再び目を開けるとそこは森の中だった。島の上空と違い、どんよりとした分厚い雲に覆われた森は薄暗く、寒さに二の腕をさする。

 ふと顔をあげれば程近いとこに青い顔をして大槍を杖代わりに立っている守千賀と涼しい顔をしている三光が並んでいる。

「何度やっても慣れねぇ……」

「守千賀は霊力殆どないから酔っちゃうんだよね」

 三光の説明に鈴は成る程と頷いた。するとややあって青幡と松葉も現れる。松葉はぐったりとしており、青幡に肩を借りている状態だった。

「松兄さん大丈夫?」

「……おう」

 こんなにも便利なのに、ふたりが本島へ渡る時にはわざわざ船を使う理由がよくわかった気がした。いや、勿論荷物を乗せるためというのも大きいが、彼らの顔色を見るにこちらの理由も割合を多く占めているように見える。

「霊力ないと転移術はつらい?」

「細かい説明は省くけど龍脈の中に霊力で包んだ人間を送り込むって感じだから、霊力に耐性ない人間だといきなり大量の霊力注ぎ込まれて軽度の拒否反応起こしちゃうんだよね」

「ええっと、お酒飲みすぎて気持ち悪いみたいな感じ?」

「まあ、そうだね。そんな感じ」

「本当の酒ならいくらでもいけるんだが……」

 荷物から水の入った竹筒を取り出しながら守千賀が言う。どうやら酒豪らしい。……その竹筒の中身はちゃんと水よね?

「それで、ここってどのへん?」

「真珠領側の天龍山の中腹らへんだよ」

 松葉に竹筒を渡しながら青幡が言った。

 龍脈での転移はそこまで長い距離を行けない。

 ある程度霊力が安定している、かつ単独でなら長距離も飛べるらしいが、松葉と守千賀の体がつらいだろうと一番近い龍脈地点に飛んだのだという。

 しかしかの島が唐の生き残りで、本島が少なからず見えていたところを見ると、方角的にあの島があるのは三国から更に東へ行った海上だろう。普通なら船と馬を使って十日以上掛かる道のりを一気に来れたのは大変に助かる話だ。

「六国か……」

 銀朱の実家のある国だ。商いが盛んで、唯一外国(とつくに)とも交易のある南の大国である。

「ここからは七国と八国を通っていく」

「そういえば青幡の会ったっていう水早のお姉様ってどちらにいらっしゃるの?」

「……」

 苦虫を三百ほとすり潰した汁を無理やり飲まされたかのような、すごく嫌な顔をされた。

「……九国だ」

「え!?」

「名前までは言えない。感知されて逃げられたら困る」

「それは困るわね」

 松葉と守千賀が回復したので、天龍山をゆっくりと降りていく。転移術の乱用はふたりの体に負担がかかるので、七国までは山道を歩くことになる。


 しかし名前を呼ばれるだけで感知出来るとは相当高位だ。さすが水早の姉。彼女の姉ということは、つまり神龍と陽奈美との娘ということだから、確かにそれくらいは朝飯前だろう。

(神様か……神様っていっても、兄妹なわけだし水早に似ているのかしら)

 ということはその「姉様」は鈴と同じくらいだろうかと考えて、はたと気付く。水早の妹を、迦具土は娶ったのではなかったか。水早が大体十二、三くらいで……その妹って。

(……でもそういえば……真陽瑠の御方様が茅羽夜の母親ってことはよ、ええっと茅羽夜が今十六だから御方様が……十四の時の子供ってこと……?)

 色んな意味でぞっとする話だった。鈴はお産の手伝いをしたことはないが、命を落とす者も決して少なくない。十四なんてまだ体も出来上がっていない上、真陽瑠の体格では相当辛かったろう。

「止まって」

 考え込んでいた鈴の前を三光が手で遮る。はっとして見れば木々の影に誰かいた。

 草葉の影に身を寄せてごくりと唾を飲む。松葉は腰の太刀に手をかけて、静かににじり寄っている。ちりちりとした空気が肌を刺す。

 動いたのはあちらが先だった。ごうっという風が木々に叩きつけられ、一瞬で鈴を抱えて松葉が木の上まで飛んだ。その上から守千賀が影から飛び出して大槍を携えて向かって行くのが見えた。

 キン!という軽やかな触れ合う音、薙ぎ倒された大木を蹴って、守千賀も飛ぶ。

「……待て!お前、守千賀か!?」

「ああ!?……ああ、なんだよお前かよ」

 大槍をぶんぶんと振り回して今まさに飛びかからんとしていた守千賀は相手の顔を見るなり一回転して着地する。その後ろでしれっとした顔で三光が逃げようとしていたのを鈴はしっかりと見ていた。

「三光……」

「荒事は専門外なんだ」

「そいつは後でシメるとして、守千賀の知り合いか」

 ようやく着地した松葉と鈴の隣で青幡が問い掛ける。守千賀は既に戦意を収めており、向こうも既に得物は下げていた。

「ああ、千種の兄貴だよ」

 けろりとして言う守千賀の言葉に、一同、というより鈴と松葉の叫び声が森中に響いたのは言うまでもない。 



「すみません、最近増えてる不法侵入者かと思いまして」

「あながち不法侵入それは間違っちゃいないけどなー」

 天龍山の麓の街から少し離れた場所にある小屋に、鈴たちは千種の兄である土岐ときに案内された。

 狭い小屋は書物と巻物で溢れかえっており、千種と鈴たちが入るとかなり、いや座れるのは四人が限度という狭さだった。

 公正な勝負ジャンケンの元、松葉と青幡は戸の前に見張りに立たされることになり、まず積まれた書物をとにかく隣の部屋に押しやり、それでも収まりきらないものを隅に避けて、何とか四人分の座る場所を確保した。

「改めまして、千種の兄です。妹がお世話になっております」

「いえこちらこそ、随分よくして頂きました」

「千種は元気にしていますか?」

「はい、今回の旅にも着いてきたがっていたのですが……」

 ちらりと守千賀を見る。さすがに大所帯過ぎるのと、万が一を考えて水早によって止められたのだ。

「あいつ、いま三月だから」

「三月……子供が生まれるのか!?」

「ああ、今のとこふたりとも元気だよ」

「そうか……ああ、母さんも父さんも喜ぶだろうな」

 眦に浮かんだ涙を拭って、土岐は微笑みを浮かべた。その眼差しは、凛音の頭を撫でる千種によく似ている。

「いや取り乱してしまってすまなかったね、守千賀。それから、春告げの花を持つ姫様。ここで会えたのは僥倖だった。もしも山伝いに七国へ向かおうとしているならやめた方がいい」

「何故ですか?」

「……白桂の御方の目と耳が既に入っている」

 目と耳、それは高貴な方の元へ情報を運ぶ諜報部隊だ。やはりこの二月、既に対策をうたれていたようだった。

「この東和最高峰である天龍山ならいけると思ったんだが……」

「中はそれ程でもない、さすがに広過ぎるからね。ただ龍脈地点はかなり押さえられているから()()なら気をつけた方がいい。元々、七国は夏の一件で目を付けられていたから」

「なんだ、三光のせいか」

「そうね、三光のせいじゃない」

「待って待って、なんか僕、ものすごい言いがかりをつけられてない?」

「三光の性根が悪いのはこのさいどうにもならないから置いておくとしても、龍脈を押さえられてるのはちょっと苦しいね」

 山を押さえられているとなると普通の街道を通るしかないが、国を跨ぐには関所を通過せねばならない。それがどれ程危険かは皆まで言わずともわかるだろう。

「かといってうっかり飛んで敵地ど真ん中なんて考えたくねえな……」

「……今更だけど、七国に三光連れて行くのってかなり危険度高くない……?この人夏の一件でかなり女の子たちに顔を知られてるんでしょ?」

「それを逆手にとって、そいつを街に放り込んでその内に通過するって手もあるけど」

「青幡ってなんでそんなに僕に対して当たりが強いの?美形だから?」

「今すぐ手足縛って池に放り込んでもいいんだけど?」

 さめざめと泣く三光を鈴は「絵姿にしたらさぞ売れるだろうな」と思いながら見ていた。少し目尻の垂れた瑠璃色の星を持ち、甘やかな視線は何をしていても妙な色艶がある。恐らくこの一行の中で一番顔面の偏差値が高いのは彼だろう。

 つまり、街中に連れ出せばどう足掻いても目立つ。なんて無駄な顔面。

「……頼んでみるか」

「はい?」

「信頼出来る人にどうにか出来ないか打診してみるよ。手紙を書くからちょっとまっててくれる?」

 そう言うなり、隣の部屋に引っ込んでしまった土岐は、暫くして文を片手に戻ってきた。

「姫宮、あいつ呼べる?」

「あいつ?」

「君の鴉」

「北斗のこと?」

 青幡の言葉に、鈴は首飾りを手に取った。ずっと身に付けてはいたが、手にとったのは久しぶりのような気がする。

 島を出るときに貰った短剣を指に滑らせて、鈴は術を書くとふたつ柏手を打つ。ああ、随分と久し振りだ。

 しゅるしゅると微風が辺りに積まれた書物の頁を捲り、風が収まると指に止まる鴉がそこにいた。

「久しぶり、北斗。ずっと放ったらかしにしててごめんね」

「ガァ!」

「へえこれが渡鴉か。初めて見たよ」

 まじまじと北斗を見ていた土岐は文を彼に差し出した。

「頼めるかな?」

 任せろというようにひと鳴きして、大きく羽ばたいた北斗はそのまま開けられた戸から飛び出して行った。

「どなたに宛てた手紙なんです?北斗に分かるかしら」

「それは内緒。でも、渡鴉は凡ゆる場所を渡るから渡鴉なんだ。人、物、世界、空。彼らが渡れない場所なんてないし、彼らは自分の行くべきところを見失わない」

 鈴は驚いて土岐を見た。そもそも鈴は、北斗が渡鴉であることも知らなかった。山神の眷属であるということも、茅羽夜から聞いて初めて知った。兄弟のように育ってきたのに。

「お詳しいんですね」

「まあね、僕らも君と同じ裔だから」

 鈴は守千賀を見て、そして再び目の前の土岐を見る。彼が山守の裔だと言うのなら、千種もそうなのだろう。驚いていないところを見ると、鈴以外は知っていたに違いない。

「山守にもそれぞれ得意分野がある。我々天龍の民は風読みだ。渡る者を後押しする役目であり、彼は夢を渡り、鴉たちは空を渡る者だからね。相性がいいんだ」

 彼という部分で三光を見る。そういえば彼の使部は鴉は鴉でも星鴉だった。同じ山守の裔でも、それぞれの土地で何千年もかけて編まれてきたのだろう。

「風を集める事はできるけど、僕らは占いとか鎮めの術はさっぱりでね。まあだからこそ、この六国でやっていけるんだろう。船に風は必須だから」

「風を集めるというのは……?」

「情報だよ」

 青幡が代わりに答えた。ああ成る程と鈴も納得した。風の噂ってやつだ。通りで名乗ってもいないのに鈴のことを「春告げの姫様」と呼ぶわけだ。

「ねえ、なら水早のお兄様の居場所とかわかったりする?」

「龍の御子たちのこと?」

「水早から彼女のお兄様を訪ねるように言われたんだけど、居場所がわからなくて。だから所在地のわかるお姉様の方を訪ねる途中なの。お兄様の方がわかるなら、そちらへ向かった方がいいでしょ」

「んー……まあ、そうだけど……巫女様が姉君を先に訪ねろって言ったんだろう?」

「ええ。でもそれは、お兄様の所在地をご存知だからじゃないの?」

「彼女は曲がりなりにも神の血を引く娘だよ。彼女が姉君を訪ねろというのには、それなりの訳があるはずだ」

「でも……!」

 茅羽夜にに残された時間が一体どれだけあるのかわからない。ただでさえ、鈴はこの二月を無駄にしてしまった。転移術だってそう頻繁には使えない。だったら少しでも無駄な寄り道は避けるべきだ。

「お姫さんが焦る理由も、それなりに聞いています。ですが、だからこそ冷静になるべきです。彼女達は悠久の時を生きる神に連なる者たちですよ?我々の知らぬことを、それこそ()()()()()()()を知っているかもしれない」

「……ッ」

 それでも、と身を乗り出す鈴に土岐はすぐそばにあった書物を一冊取って広げる。それは龍と人の挿絵と古い文字で書かれている歴史書だった。

「ここにある書物は僕があらゆる風を駆使して集めた歴史書です。中には()()()もうとっくに喪われたものもあります。これらを編纂していくのも、僕の役目です」

 皇によってすり替えられて消された歴史、神話。そういったものを継いでいくこと、それが風読みである自分たちの使命のひとつであると土岐は言う。

「かつて神龍と花嫁の子である御子たちがどうして本島へ渡ったのか。どうして国を分けたのか、考えたことはありますか?」

「そう言われて見れば、確かに一つの皇家に国を十二に分ける意味はあまりないよな?統一した方が手っ取り早い」

 伝えられていた神話では神龍の子が十三人いて、彼らにそれぞれ国を与えたとある。神龍の子が何人かはわからないが、少なくとも水早はあの島の守神として残った。そうなると数が合わないし、迦具土の子も確か三つ子ではなかっただろうか。

「国長の祖が誰であったのか、それは今はあまり関係ないのです。僕は国を分けた理由を、皇への試練なのではないかと考えています」

「試練?」

「はい。()()()()()()()()()、しかしそれはそれぞれに散らばって隠されたあらゆる条件を達成(クリア)しなければ決して届かないのではないかと僕は考えています」

 何故か東宮妃としての課題だと言った、あの人の顔が浮かんだ。

「散らばって、とはどういうことだ?」

「知識と役目を分散させたのではないか、と僕は考えています。例えば我々天龍の民は風を集め、全ての歴史の編纂を任されていました。顎龍の民には月黄泉様の逸話や禁術を封じる役目があった……そうですね」

 すっと三光の瑠璃色の瞳が細まって、肩を竦めて見せる。出雲のことを思い出しているのだろう。

「そして斎妃という存在。斎妃に選ばれる者は、少なからず始まりの花嫁の血筋であることが前提です。巫術を学び、鎮めの術をその身に宿す者でないと斎妃には選ばれません。八国、九国出身の斎妃が多いのは、かつて花嫁となった少女が西の最果ての国に生まれたから……そう、彼女は恐らく、今で言ったら九国と八国の国境付近の出身であると推測されます。そしてそれが、九頭龍山の山守に伝わっていないはずがないのです」

 東の龍が出会ったのは、西の最果ての少女だ。東和自体が唐から見たら西の果ての国だっただろうけれど、最果てまで言うと、確かに三国よりは九国の方がしっくりくる。

「九国と八国の間には九頭龍山があります。……あなたはそこでお育ちになった。そうですね、九国の姫」

「……婆様がわたしを、斎妃として育てたというのですね」

 縁寿だけでなく、婆様まで鈴の運命を知っていて送り出したのだと彼は言いたいのだろう。

 ダンっと大きな音がしたかと思えば、戸の所でなんでもないように松葉が立っていたが、しかしその足元の土は抉れ、砂埃が舞っている。びっくりして目を丸めたけれど、すぐにそれが彼の優しさだと気付いた。

 鈴は姿勢を正して前を見る。顎を引き、胸を張って、真っ直ぐに目の前の人と対峙する。刻葉に叩き込まれたことを、体はまだかろうじて覚えてくれているようだ。


「土岐様、ご協力頂いている身でこのようなことを申し上げる無礼をお許しください。ですがわたしは、九頭龍山の豊な恵みに育てられました。我が母は九頭龍山の巫女、あの方ただお一人」


 たくさんのものを貰った。そこには深い愛情があった。


「母がどのような立場であっても、貰ったものは、何ひとつ霞やしません。ですが、その先のお言葉はどうかこの場ではお慎み下さい」


 それを疑うのは、今までの自分を疑うこと。


「たとえそれが真実だとしても、その先は直接、母から聞きたいのです」




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