甘い夜
主人公目線に戻ります
ロングアイランドでの祝賀パーティーは、とても楽しいものでした。
ヘンリー陛下は奥様にベタボレのようですし、奥様も満更でもないようで、新婚なお二人の甘々を見せつけられてしまいましたわ。
ご挨拶が終わったあとは、当然食事ですわよね!
私とエドワードは一直線に料理の置かれているテーブルに向かいます。
途中、貴族の方や他の国の王族の方に声をかけられて、私は笑顔を貼り付けたままソワソワしながらご挨拶をし、今度こそ本当の笑顔でお料理の並ぶテーブルに辿りつきました。
エドワードと二人、美味しくいただきます。
さすが王家主催ですわね。
どれもこれもとても美味しいです。
エドワードも夢中になっています。
決して、トリスのご飯が不味いというわけではないのです。
むしろ、いつもとても美味しいです。
でも、パーティーのお料理は、特別です。
ノア様も少しは食べていらっしゃいますが、私やエドワード程ではありません。
何ででしょう。
お口に合わないのでしょうか。
と、思っていたのですが、どうやら違ったみたいです。
どうやら単純に、ノア様の食べる量が招待客としては普通で、私達が食べすぎていたようです。
道理で、途中から取り分けて下さる方が顔を引き攣らせていたわけですわ。
でも、余ったらもったいないじゃないですか。
こんなにあるのに、皆様ほとんど食べていらっしゃらないということは、きっと余るはず。
もしかして、余ったお料理は、後からヘンリー陛下達の夜食になるのでしょうか。
だとしたら、申し訳ないことをしましたわ。
ノア様とマルコに引き剥がされるようにテーブルから離れて、私はノア様とダンスをすることにしました。
「ジュリアが食べている姿はとても可愛いし好きだけれど、ちょっと我慢を覚えないとね?」
ダンスの途中で、ノア様が耳元でお説教をします。
基本的には私に甘いノア様がお説教をするのですから、たぶん私は本当に食べすぎていたのでしょう。
どうしましょう。
このことでトリス国の評判に傷がついたら。
「ごめんなさい」
「大丈夫。でも次からは少し遠慮するようにしようね」
「はい」
ノア様は私の耳にチュッとキスを落とすと、それ以上は言いませんでした。
食いしん坊な所が私によく似てしまったエドワードにも、ちゃんと言って聞かせないと。
その為には、まずはお手本を示さなければなりませんね。
次からのパーティーでは、ちゃんと食べる量をセーブしようと心に決めました。
パーティーが終わり、皆さんそれぞれ割り当てられた部屋に引き上げていきます。
私とノア様、それにエドワードは当然ですが同じ部屋。マルコは使用人に過ぎないので、すぐ隣の部屋です。
まぁ、マルコは男性なので、同じ部屋ですと私の着替えとか見られてしまいますし、それは困るので当然といえば当然なのですが。
ノア様が着替え終わると、次は私がクローゼットのある部屋に移動して着替えます。
着替えは、ロングアイランド王城に務める侍女の方が手伝って下さいました。
ドレスは、一人で着ることも脱ぐ事もできない、とても不便なものなのです。
新婚旅行の時などは、使用人の方とは会わないようにしていたので、一人でも着られる、簡易なドレスでしたが、さすがに他国の祝賀パーティーに簡易なドレスで赴くわけにも参りません。
というより、場外視察や新婚旅行のようなとき以外は、簡易なドレスは着ないのですけれど。
寝間着に着替え終わってベッドルームへ行くと、ノア様がエドワードに添い寝して、寝物語を聞かせていました。
前世では聞いたことのないお伽噺ですけれど、この世界では比較的有名なお伽噺です。
ある日、天から降ってきた女の子が、助けてくれた王子様とともに物を空へ浮かべる石を探して冒険し、最後は王国ごと空に浮かべて空で幸せに暮らしました、というお話です。
王国ごと空に浮かべられる石だなんて、飛行石でしょうか。
そうに違いありません。
空から女の子が降ってくるというのも、前世で有名なあの話ととてもよく似ています。
エドワードはどうやら、話の途中で眠ってしまったようです。
いつもなら子供部屋に寝かせるのですが、今日は一緒のベッドで眠ります。
てっきり、エドワードを真ん中にして川の字で寝ると思っていたのですが……
なぜか、ノア様はエドワードをベッドの端に寄せました。
広いベッドなので、落ちる心配はないと思うのですが、これは、アレでしょうか。
エドワードが真ん中にいたらできないことをする、とそういうことで間違いないでしょうか。
思えば、ノエルが生まれてからは夜の生活はご無沙汰だった気もします。
私が妄想して一人で顔を赤くしていると、ノア様にベッドに呼ばれました。
すごく、甘い表情をしています。
これは、間違いなさそうです。
「そろそろ3人目も、作っていいんじゃないかな」
ノア様に耳元で囁かれて、私は顔を真っ赤にしたまま頷きました。
どこでノア様のスイッチが入ったのでしょう。
そしてその晩、私は久しぶりに思い切りノア様に甘やかされたのです。
隣に眠るエドワードに気を遣いながら……
多忙の為、明日はお休みです




