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3国会談

メリッサ様が国外へ弾き飛ばされてすぐ、ノア様はカルーア国王とジン共和国のキホーテ公爵、および現首相のアイン公爵を呼びつけました。

トリス国王妃暗殺未遂事件について、重大な話がある、と。


その間に、ポアロがカルーアに留まっていたリリアナ様と、トリスとの国境付近をウロウロしていたメリッサ様を拘束して連れてきました。

メリッサ様は、いまだ私に悪意を抱いていますので、仕方なくまた国土防御結界を解きます。


カルーア国王とジン共和国の両公爵が到着したのは、ほぼ同じ頃でした。

キホーテ公爵と現首相であるアイン公爵を見たリリアナ様は顔色を変えました。



「そんな!素直に話したら父には話さないとおっしゃったではないですか」


「そのつもりでしたが、あなたとメリッサ様はその後またしても私の暗殺について計画を練っていましたからね。反省の色なしという事で、こちらも今後の安全を考えてお知らせしました」



真っ青なリリアナ様と、憎々しげに私を見つめるメリッサ様。


そして、リリアナ様の言葉で何かを察したらしいキホーテ公爵とアイン公爵。それにカルーア国王。



「わざわざご足労頂き、ありがとうございます。

この度、二度に渡り我が国の王妃、ジュリアの命が狙われ、首謀者が同じ人物だったことから、皆様にお集まり頂きました。

先程のリリアナ嬢の言葉でもお分かりでしょうが、今回の暗殺未遂はメリッサ嬢と、彼女と共謀したリリアナ嬢によるものです」


「そんなっ、バカな……なぜ娘が貴国の王妃様のお命を狙うのです?」


「そうです。それに、メリッサ嬢は賢明で心優しい令嬢です。確かに過去、ミモザ国騎士イザークと事件を起こしたリリアン嬢とは瓜ふたつですが、別人ですよ?」



キホーテ公爵の言葉に続いて、カルーア国王も言います。



「この国で何が起こったのか、このお二人の令嬢が何をしようとしたのか、お話するよりも実際にご覧頂いた方が早いでしょう。

ジュリア、再現魔法をお願いできるかい?」



私がノア様の言葉に頷くと、部屋の明かりが落とされ、カーテンが閉められ、私たちは正面の白い壁に向かいました。



「『彼のときのありのままの記憶を今ここに』」



私の詠唱とともに、まずはリリアナ様とのお茶会での様子が映し出されます。

はっきり、私を毒殺しようとしたと仰っているリリアナ様の姿に、キホーテ公爵は頭を抱えました。


続いて、メリッサ様が『永遠の牢獄』でイザークを起こして私の命を奪うよう命じ、それが失敗に終わると攻撃魔法を練り上げて、ティーダ様にそれを封じられるところまで。


今度はカルーア国王が頭を抱えました。



「この作戦が失敗しても、メリッサ様が王城で私を拘束している間に、リリアナ様が私の命を奪う、という作戦も立てていらっしゃいましたよね?王城が工事中で、断念したようですが」


「何でその事を……リリアナ様!」


「違います!私は何も漏らしてはおりません」


「メリッサ嬢。リリアナ嬢は、本当に次の作戦については私たちに何も話してはいませんよ。

ただ、リリアナ嬢の付けている指輪が、教えてくれたのです」



ハッとしたように指輪を見るリリアナ様とメリッサ様。



「この指輪に、そんな力があったなんて……」



ノア様がパチンと指を鳴らすと、カーテンが開けられ、部屋の明かりも灯されました。



「ここまでのやり取りで、なにかご不明な点や、反論などはございますか?」



ノア様の言葉に、カルーア国王もキホーテ公爵もアイン公爵も黙り込みます。


メリッサ様。

少し勉強家になったと伺っていましたが、効果はなかったようですね。最後までシラを切り通せば逃げ道があったかもしれませんのに、わざわざ皆さんの集まっているところでリリアナ様と言い争いをなさるなんて…もう言い逃れは出来ませんね。



「ご存知とは思いますが、他国の王家の人間、ましてや王妃の命を狙ったとなれば戦争もやむなし、と言いたいところです。しかし、今回は未遂に終わったこと、また、メリッサ嬢は今後トリス国王家の人間に害を為すことが出来なくなったこと、国からの命令ではなく、一個人の私的な恨みや妬みによるものということもあり、戦争は避けたいと思っております。

ただ、このままなんの咎めもなしと言うわけにはいきません。

現に、ミモザ国のロード王子の正妻だったリリアンが騎士のイザークと事件を起こしたときには、ミモザ国は最終的には我が国の従属国となりました。

あなた方の国だけ特別扱いはできません」


「わかっております……しかし……」


「我が国については、リリアナ嬢は一貴族の娘に過ぎず、国とは直接は関係がありません。

キホーテ公爵家の爵位剥奪と追放、キホーテ公爵家の所有している領地はトリス国へ献上するという事で、どうにか手を打っていただけないでしょうか。」



戦争から逃れたいのはどの国も同じ。

戦争が起これば、国は乱れ、莫大な資金がかかります。

戦争に勝ったとしても、国を復興するまでには何年もかかるのです。


そして、出来るならばミモザのような従属国にはなりたくないと言うのが本音でしょう。



「なるほど。ジン共和国のお考えはわかりました。検討しましょう。カルーア国王は如何がなさいますか?」



今回のカルーアは、前回のミモザと全く同じ状況。

本来ならば、国王か王子の首を差し出してもおかしくはありません。

まぁ、そんなものいりませんけど。



「メリッサ嬢については、処刑。養家のレミ家は爵位剥奪の上、追放。更には貴国に面している我が国の国土半分を、貴国に献上するということで如何でしょうか」



私とノア様は少し考えます。

実際のところ、国が大きくなるのはいい事なのですが、その分管理も大変なのです。

ましてや、これまでカルーア国民として暮らしてきた民の方々は突然住んでいるところがトリス国になったら、通貨や法律など、様々な面で戸惑うでしょう。


それに、メリッサ様を処刑しても、またすぐに復活される恐れもあります。

ティーダ王子の魔法があるのでもう、私の命は狙えないとは思いますが、生まれ変わって魔法が無効になる可能性もあります。

そうなると、メリッサ様を処刑されるのは、あまり良い手とは言えません。

養家のレミ家にはなんの罪もありませんし。



「カルーア国王のご意見は分かりました。

とりあえず、お疲れでしょうから今晩一晩ゆっくり休んで、また明日話し合いましょう」



皆様方は、それぞれ離宮の客間に案内されて行きました。



「ジュリア、どう思った?」


「ジン共和国については、あの案でいいかと。

問題はカルーア国ですわね。領地を広げるなら、そのすべてを管理するより、管理させる人間をおいて、その人間を管理した方が手間は少ないですし。

でも、ミモザの時は従属国にしたのに、カルーアはしない、となればミモザ国内で不満の声も上がるでしょう」


「そうだな。問題は、ミモザの時は国王も王太子も命を懸ける覚悟ができていたが、カルーアにはそれが無いってことだな。

素直に従属国になることを受け入れるかどうか……」



そうなのです。

問題はまさにそこで、カルーアは素直に従属国になることを受け入れるとは思えないのです。



「仕方ありませんね。ヨハン王子を人質にとって、カルーアの国土半分をトリスのものにする、と言うのが落としどころでしょうか。メリッサ様はまた生まれ変わられると面倒なので、カルーア王城内で生涯軟禁していただくのが良いかと」


「一応、従属国にするという案を出して、それからその話をしよう」


「あら、それなら」


「ん?何かいい考えがあるのかい?」


「メリッサ様の夫であるヨハン王子を処刑する、とまず提案するのです。カルーア国王は当然反対なさるでしょうから、そこで初めて従属国の話をしてはいかがでしょう。

実の息子の処刑よりは、従属国になったほうがマシだと思うはずですわ」


「なるほど、確かに。では明日はその方向で話を進めよう」



それにしても、かつては首相にまで上り詰めたキホーテ公爵も、娘が馬鹿なことを仕出かしたばかりに、平民に落とされ、追放されるなんて、なんとも切ない話です。

まぁ、ロングアイランドの王女二人のときと同じように、育て方を間違えた、というところなのでしょうか。

わがまま三昧でしたからね。


それにしても、リリアナ様もメリッサ様も、人の命を奪うということをあまりにも軽く考えている気がします。


少し、お仕置きが必要でしょうか。



「ジュリア?何考えてる?」


「先日覚えたばかりの、人の夢を操作する魔法を試してみようかと」



シレッと答えると、ノア様はクスクスと笑いました。



「我が妻はなかなか厳しいね。君のやりたいようにやればいいけれど、無茶はしないようにね」



私は早速、メリッサ様とリリアナ様の部屋に香炉を運ばせ、寝室で魔力を練り上げました。



お二方の寝室からは離れているので実際眠りについてからの様子はわかりませんが、翌朝、お二人は目の下にクマを作って起きていらっしゃいました。

どうやら、魔法は上手くいったみたいです。


どんな夢をお二人に見せたか、ですか?

知らない方がいいと思いますわ。

ふふふ。

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