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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第七章 国王の椅子と新たな命
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突然の災害

その日は特に急ぎの公務もなく、私とマリアンヌ様はティレーズと一緒に私の自室でお茶会をしておりました。


グラッ


ん?

今何か、地面が揺れたような……


グラグラッ


ああ、やっぱり地震です。

震度3くらいでしょうか。

この世界に来て初めてです。

私とマリアンヌ様は慣れていますが、ティレーズの怯え具合から言って、この世界では地震が少ないのだとわかります。

と言うことは、耐震構造もしっかりしているわけではないでしょう。



「マリアンヌ様、ティレーズ。テーブルの下に」



指示を出して、廊下に出ると、怯えきった侍女たち。


部屋の外に控えていた侍女たちには、私の部屋のテーブルの下に入るよう言います。


それから、拡声魔法で国土全体に伝えました。



「国民の皆様。王妃のジュリアです。

いま地面が揺れているのはさほど長くは続かないとは思いますが、落下物などで怪我をする恐れがあるので外へは出ず、扉だけ開けて、室内のテーブルの下などに身を隠してください。

また、食器棚や大きい棚からはできるだけ離れてください。

揺れが収まっても、その後でまた揺れる可能性がありますので、迂闊に外へは出ないようにお願いします」



そう言っている間に、地震は収まりました。

ただ、この後、余震が来る恐れがあるので気は抜けません。


案の定、それから数分後に、もう一度揺れが来ました。


トリス国は海に面していないので、津波の心配はありません。

それだけでもラッキーです。


部屋を出ると、ノア様が血相を変えてマルコと共に走ってこられました。

あ、その後ろにエリクもいます。



「皆、怪我はないか?」


「王妃様の迅速な指示のおかけで、みな無事でございます」


「エリク。厨房は無事でしたか?」


「多少、落下物はありましたが、殆どが調理器具なので問題ありません。厨房スタッフにも、怪我はありませんでした。

マリアンヌ、無事かい?」


「ええ、エリク。このくらいの揺れなら平気よ」



そう。

日本ならこのくらいの揺れでも問題はないのです。

問題は、ここは日本ではなく、地震に対する備えが全くされていないこと。

王城は強固に作られているので無事でしたが、崩壊した建物などもあるかもしれません。



「陛下。民たちの家や店などで崩壊した建物があるかもしれません。

もし、誰かが下敷きになっていたら、すぐにでも救助に向かわなければ。

拡声魔法で伝えることはできますが、民たちからの声は聞こえません。

何か方法はございませんか?」


「急な火事や事件の際に上げる、緊急用の赤色狼煙が各家や店に常備されている。緊急度が低いとき用に青色狼煙も常備しているはずだから、建物の崩壊だけなら青色を、誰かが下敷きになっていたら赤色を上げるよう伝えて、早急に騎士団を向かわせよう。遠方には遠方の騎士団がそれぞれいるから、そのものたちに任せよう」


ノア様はその場で、拡声魔法で民達にその旨を伝えました。


バルコニーで見ていると、殆どが青色ですが、時折赤色も混ざっています。


赤色狼煙の場所には、すぐに行ってもらわなければ。

後は、家が崩壊した方々の為に、王城の広場に避難所を設けます。

離宮も開放することにしました。


次は炊き出しです。

エリクにお願いして、広場に集まってきた人々と協力してもらいながら、炊き出しをしてもらいます。


男性には主に、瓦礫の処理や瓦礫の下敷きになっている人を救助するのを手伝ってもらいました。

騎士団の方だけでは大変ですからね。


広場に集まった方の為に、私は風邪を引かないよう、雨風を防ぎ、一定の温度を保つ魔法を広場一帯にかけました。



それから数日は、地震の後処理で何かと大変でしたが、家や店が崩壊した方々には視察の上、補助金を出し、迅速に新しい建物を建てるように致しました。


徐々に集まってきた情報によると、どうやらジン共和国の辺りが震源の様子です。

とはいえ、震度計もないので、あくまでもおそらく、ですが。



「それにしても、ジュリアもマリアンヌ嬢も、随分落ち着いていたな」


「このようなことが起きた場合のシミュレーションをしておりましたから。それに、地震については歴史書に載っておりましたので」


「そうだったのか。今回は、ジュリアのお陰で助かったよ」



地震大国日本で生きていたから、とは言えません。

曖昧に濁しましたが、ノア様が納得してくれてよかったです。



夏の離宮のそばには天然温泉が湧いておりますので、火山が近くにあるのでしょうし、そうでないとしても、プレートのズレによる地震は起きても不思議はありません。

ただ、滅多に地震が来ない地域という事は、日本のようにプレートの上に国があるというわけではないのでしょう。


後日、全てが落ち着いてからマリアンヌ様と二人きりでお茶会をしている時、マリアンヌ様に言われました。



「つい、日本にいるときの癖で、このくらいなら平気、と思ってしまいがちだけど、日本とは耐震対策が違うのよね」


「そうですわね。よく、海外で日本人が地震に遭うと落ち着いてその場から動かないけれど、そのほうがかえって危ないと聞いたことがありますわ」


「ジュリア様も視察に行かれたのでしょう?被害はどの程度でしたの?」



私は、うーんと思い出します。



「建物の全壊は殆どなく、半壊が多かったですわね。平民の皆さんは皆平屋建てに住んでらっしゃるので、上の階が落ちてきて、ということもなかったですし、貴族の方々はそれなりに頑丈に作っていらっしゃったので。

まぁ、収集していた骨董品が割れた、とかそんな声は聞きましたけど、そこまでは保証出来ませんしね。

でも、死者ゼロで済んだのは本当にラッキーでしたわ」


マリアの話によると、今日の出来事は王城の書記官が新たな歴史として書き加えるそうです。


それくらい、この世界において地震は少ないのです。

前世での記憶があって、本当に良かったですわ。


私は落ち着いた気持ちで、また紅茶を啜りました。

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