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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第七章 国王の椅子と新たな命
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マルコvsティレーズ【前編】

王城に着くと、マルコとティレーズが出迎えに来てくれていました。

でも、なんでしょう、この違和感……



「おかえりなさいませ、ノア様」

「おかえりなさいませ、ジュリア様」



二人の態度はいつも通りです。

休暇を切り上げて帰ってきているので、のんびりできたか心配ですが、のんびりしているより二人は働いている方が落ち着けるそうですし、今度何か別の形で普段のお礼をしましょう。


ノア様はすぐに公務があるらしく、先にマルコと執務室へ向かいます。

私はとりあえずエドワードに会いに行くため、ティレーズと子供部屋に向かいます。


子供部屋では、ちょうどエドワードが離乳食を食べているところでした。

私を見て、喜んでお胸に手を伸ばしますが、そうはさせじと離乳食をスプーンで口に突っ込みます。

イヤイヤをしていますが、もう離乳食の時期なので、我慢してもらうしかありません。


エドワードに一通り離乳食を食べさせて寝かしつけると、私は王妃様の元を訪れました。



「あら!おかえり、ジュリアちゃん」


「ただ今戻りました、行く途中、離宮のロード王子にもお会いしましたが、特に不自由もないそうで、軟禁生活をとても満喫していましたわ」


「そのお話、後で詳しく教えていただける?」


「もちろんです。

それより、ご報告があってまいりましたの。

私、また妊娠したそうですわ。今朝方出立する時に天使アルミサエル様が降臨なされて、今度の子も無事に出産できるよう、子宮と胎児を守護する加護をいただきました。ノア様も、大天使ミカエル様から加護を頂いたのですよ」



流石に王妃様の目が丸くなります。

それから、何から話せばいいのか考えるように、こめかみに指を当てて目を閉じました。



「とりあえず、妊娠初期なのね?アルミサエル様とジブリール様の加護があるとはいえ、しばらくは安静にしていなくてはね。

公務の量も少し減らすようマルコに言っておきます」


「ありがとうございます」


「他にも言いたいことはありますけれど、3時のお茶会でじっくり話しましょう?そうだわ、マリアンヌちゃんに手紙を送っておいて。

今日のお茶会に是非参加してほしいって」


「かしこまりました。そのように致します」



王妃様の御前を後にして、私はティレーズと自室に戻ります。

途中で子供部屋を覗いたら、エドワードはぐっすりお休み中でした。



「奥様。ご懐妊おめでとうございます。

温かい紅茶をご用意いたしますわね」


「ありがとう、ティレーズ」



どうも、ティレーズの様子が変です。

とこが、とか何がとはいえないのですが、そこは幼いときから一緒に育ってきた長年の付き合いで感じるものがあります。

やはり、マルコとの休暇で何かあったのでしょうか。



「ねぇ、ティレーズ。あなた、マルコと何があったの?」



遠回しに話してもはぐらかされるだけです。

ここは直球勝負でいきます。



「何もございませんわ」


「あなた、私にそんな嘘が通じると思っているの?あなたが恋していたときも気がついたのは私よ」


「はぁ……ホントに、奥様は鋭くなりましたね」


「やっぱり、休暇中に何かあったのね」


「私……マルコと結婚したのは間違いだったかもしれませんわ」


「まぁ!なぜ?」


「マルコは、私の仕事を所詮国事には直接関わらない女の仕事とバカにしているのですわ」


「マルコが?」



マルコの両親は、筆頭執事で陛下の執事をしているポアロと、侍女長のマリアです。

どちらもとても責任のある立場で、その二人を見て育ったマルコが、ティレーズの仕事を馬鹿にするなど、あるとは思えないのですが……



「ちょっと具体的に話してちょうだい?

なにか、そう思うような言動があったのでしょう?」


「実は……」



ティレーズの話はこうです。

ティレーズは、子供は自然に任せておいおいできればいいな、くらいに思っていたそうなのですが、マルコはすぐにでも子供がほしい、とノア様並に四六時中ティレーズを離さなかったそうで、ティレーズが、今はエドワード様もお小さいし、ジュリア様の負担を増やすことはしたくないから子供はもう少し先でいい、と言ったそうです。

そうしたら、マルコは、ティレーズが仕事をできない間は代わりの者がいるし、ティレーズが抜けて困るほどジュリア様は国事に深く関わっていないから大丈夫だ、と。


確かに、主だった外交などは陛下とノア様で行いますし、貴族議会で上がってきた課題についても、大抵は陛下がノア様と相談して決めます。

場合によっては王妃様や私に相談されることもありますが、まぁ少ないです。


なので最近は、私と王妃様で前世の記憶を頼りに上下水道の整備や水路の整備に力を入れています。

これも、病気を減らすために大切な国の仕事です。

水路の確保や上下水道の整備には職人さんもたくさん必要になりますし、仕事が増えれば職人さんに支払う賃金も多く発生し、賃金を得た職人さんがそのお金を使うことによって、経済が回っていくのです。

なので、この仕事は1粒で2度おいしい公務です。


ティレーズも、もちろんそのことは知っています。

知っているからこそ、国事には大きく関わっていないと言われて腹を立てたのでしょう。



「私、悔しくて……女は男より劣るのですか?」



今度はジェンダーの問題です。

これは、とても難しい話なので、安易に答えられません。

ただ。



「ティレーズ、落ち着いて。マルコだって、私たちが私達にできる重要な仕事をしっかりやっていることはわかっているはずよ。

ただ、それよりも、何よりあなたとの子供が早くほしいのではないかしら。マルコはノア様より一つ年上でしょう?

エドワードを見て、少し焦っているのかもしれないわ」


「それは……確かにそうかもしれません。

でも、私はマルコが謝ってくるまで許す気はありませんわ!」



かなりご立腹のようです。

今夜あたり、ノア様に相談しましょうか。

いえ、それよりも経験豊富な王妃様のお茶会メンバーに相談してみましょう。



「ティレーズ。私はあなたの気持ちがわかるし、あなたの味方よ。そのことだけは忘れないで」


「奥様……ありがとうございます」



お茶会での話題が一つ増えましたね。


私はティレーズに手伝ってもらって楽な服に着替えながら、そんなことを思っていました。

多忙につき、明日の更新はお休みです

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