新たな国王
翌日、集まった国民に、国王が呼びかけます。
この国が神から見放されようとしていること。
そして、一夫一妻制に賛成し、恋愛よりも真面目に田畑の手入れや育成のための研究をしてほしいこと。
「一夫一妻制に賛成し、田畑の手入れに真面目に取り組むものは前へ。反対のものは後ろへ」
国民はざわつき、やがて動き出しました。
前へ出る人、後ろへ下がる人。
国民のすべてが移動したところで、騎士たちが前へ出た人の人数を数えはじめました。
数え終わった騎士の方が、国王のもとへやってきます。
「賛成者は、52人でごさいます」
私は、ホッと息をつきました。
そこへ、昨日の天使様がお姿を現しました。
膝をつく私とノア様を見て、国王やヘンリー王太子も膝をつきます。
「ジュリア、そなたの言う通り、この国に真面目な人間もいると証明された。
国は滅ぼさないよう、神にとりなそう。
しかし」
天使様が王女二人を見つめます。
驚いたことに、このお二人、国王ですら膝をついているというのに、立ったままです。
「この娘達二人の傲慢さは直らなかった。
従って、より厳しい地へと追放する。
娘達が悔い改めたなら、帰らせる。
国王よ、お前は自分の不名誉を担わねばならない。お前が娘達をこのように育てた。
その責は負わねばならない」
「どうか!どうか娘達だけは!」
「すでに温情は与えた。これ以上はない。
国王と王太子、そして国民達よ。
トリス国王太子妃であるジュリア・トリスに感謝することだ。
彼女がいなければ、この国は滅ぼされていた。
覚悟せよ。次はない」
その言葉とともに、王女二人と天使様は姿を消しました。
国王は泣き崩れていますが、天使様が仰った通り、あの様に育てたのは国王です。
天使様に娘が追放されたという今回のことは、他国にも知れ渡るでしょう。
その不名誉と、娘を失った責に、国王は耐えなければいけないのです。
国王はヨロヨロと立ち上がると、拡声魔法で国民に告げました。
「トリス国王太子妃に感謝を。
そして、今ここで告げよう。私は今回の責任を取り、王の位を降りることにした。
今後は、ヘンリーが国王となる」
ヘンリー王太子も驚きを隠せないようです。
「ヘンリーの即位共に、この国は一夫一妻制とし、新しい法を作る。みな、それに従うように」
「父上っ!」
ヘンリー王太子が声をかけましたが、国王は肩を落として部屋を出ていきました。
「ヘンリー国王。国民に挨拶を」
側近らしき人が言い、ヘンリー王太子は大きく深呼吸すると、国民の前に立ち、拡声魔法で挨拶をしました。
本来なら、歓喜に包まれるはずの即位は、国民にとっても非常に複雑なようで、まばらな拍手が起きただけでした。




