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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第五章 トリス王国建国記念日と新たな恋の始まり
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バレンタイン

今日は2月7日。

1週間後には、前世ではバレンタインデーです。

現世にはそのような風習はないのですが、このところ嫌なこともありましたし、厄払いの意味も込めて、チョコレート菓子を作ろうと思います。


そんな話をすると、王妃様もマリアンヌ様、驚くべきことにティレーズも作ると言い出しました。


ゲームの制作が日本だからか、ありがたい事にチョコレートはあります。

製菓用のチョコレートをコック長のエリクに分けてもらうとして、何を作るか考えます。


お義父様とティーダ様には義理チョコなので、チョコチップクッキーでいいでしょう。

ノア様は本命チョコなので、力を入れたいところです。

エリクにはまだ秘密ですが、マリアンヌ様はエリクに渡すので、チョコレート菓子のアイデアや作り方を聞くわけにはいきません。


ティレーズを除いた3人で前世の記憶をかき集め、幾つか候補があがったところで、ティレーズも交えてそれぞれの本命チョコを何にするか決めます。


私とティレーズは、お菓子を作ることが好きなので、ちょっと難しそうなものにしてみようかと考えていますが、王妃様とマリアンヌ様はお菓子作りは初めて。

凝っているように見せかけて簡単なものがいいですね。

まぁ、エリクには見抜かれてしまうでしょうが。

そこは気持ちでカバーです。


王妃様はスパイスチョコプリンにしたようです。

材料を混ぜて冷やして固めるだけですからね。

トッピングに生クリームと削ったチョコを乗せるそうです。

マリアンヌ様は、ミルクティートリュフを。

ティレーズは、ショコラマカロンに。


私は……何に致しましょう。


フォンダンショコラにラム酒を混ぜて、少し大人なテイストのフォンダンショコラにしましょうか。

それともラズベリーソースを中に閉じ込めたラズベリーのフォンダンショコラにしましょうか。

悩みどころです。

エリクに聞いてみたら、冷凍のラズベリーがあるというので、ラズベリーフォンダンショコラにすることにしました。


あ、ちなみにこの世界では冷蔵も冷凍も可能です。

がっしりして密封できる箱に専用の魔法陣を書けば出来上がり。

残念ながら、電子レンジはありませんが……

温めるだけの機能なら、冷蔵冷凍魔法陣をアレンジして作れそうですね。

今度、少し試してみましょう。


話がそれましたが、私たちはバレンタインの3日前に厨房を借りて試しに一回作ってみました。



「おいしいですわ!」



それぞれが交換して試食します。

ここで甘い意見を出すと、本番で悲しい思いをするので、忌憚のない意見を言い合うはずだったのですが、予想に反して、初心者の王妃様もマリアンヌ様も、とても美味しい仕上がりです。

私とティレーズも、なかなかの出来ばえ。


1回目で成功したので、翌日は4人で友チョコを作って贈りあいました。

マリアンヌ様のミルクティートリュフがとても美味しかったので、何故か全員でミルクティートリュフを作って、食べました。

全員違うものにしたほうが楽しめたと思うのですが……

まぁ、美味しかったからいいのです。


翌日、私とマリアンヌ様は恒例の縁組お茶会でそんな話を令嬢方に致しました。



「まぁ、チョコレートを贈るんですの?」


「ええ。作るのも楽しいし、美味しく食べていただけるとこちらも嬉しいですしね。

市販のプレゼントと共に気持ちを伝えるよりは、手作りの方が気持ちも伝わりやすいでしょう?」


「中には、素人の作った物は食せないと言う方もいるので注意が必要ですけれどね」


「私も……!作ってみます。コック長に教えてもらわないと!」


「私もですわ!」



今日の参加者の皆さんは、チョコ菓子を作る為に、早々に帰って行きました。


さぁ、私とマリアンヌ様も作らなければ。


ティレーズは忙しいので、昨日のうちに作って冷蔵してあります。


王妃様は既に厨房にいらっしゃり、作り始めていました。

貰うのではなく作るのなんて初めて、ととてもいい笑顔です。

私はチョコチップクッキーを焼いている間にフォンダンショコラを作り始めます。

ガナッシュだけ昨日のうちに作っておいたので、今日の作業はそんなに大変ではありません。

ガナッシュを広げて冷凍されたラズベリーを乗せて清潔な布巾で包み、また冷凍庫へ。

ケーキ生地を作って、グラスに半分ほど入れたところで冷凍庫に入れておいたガナッシュを押し入れて、また生地を流し込みます。

あとは、オーブンで焼くだけ。


見た目が寂しくなるので、オーブンで焼いている間に生クリームを泡立てて、ラズベリーを自然解凍させます。

焼き上がったフォンダンショコラに生クリームとラズベリーを乗せれば、はい!出来ました。


エリクに、食後のデザートとしてそれぞれ出すように、王妃様と私の分を託します。



「ジュリア?今日は随分とご機嫌だね」



早く食べてほしい。

喜んでくれるかしら。


そんなことを考えていたら、ノア様に指摘されました。



「ええ。ちょっと楽しみなことがあるんですの」


「へぇ。どんな?」


「それはその時まで秘密ですわ」


「女の子は少し秘密があるくらいの方がいいでしょう?」



王妃様が加勢して下さいます。



「よくわからないが、ジュリアが楽しいなら私も嬉しいよ」



この世界にも当然、チョコ菓子はありますし、デザートとして出てくることもありますが、生チョコやプリン、トリュフやフォンダンショコラのような生クリームを使った物は見たことがありません。

他の国にはあるのかもしれませんが、少なくともミモザとトリスにはないですね。

チョコレートに生クリームを混ぜるという発想がないのかもしれません。


デザートの時がやって参りました。

ドキドキします。


陛下にクッキーと、王妃様のお作りになったスパイスチョコプリンが並び、ノア様の前にはラズベリーフォンダンショコラと王妃様からのクッキーが。

ティーダ様はクッキーだけになるのはどうかと王妃様と相談し、シンプルな生チョコを。



「今日のデザートは全部チョコレートなのかい?」


「うふふ。私達女性陣からの手作りのプレゼントですわ。

クッキーはお世話になっている感謝の気持ちです」


「すごい。これを手作りで?」



ノア様も驚いています。



「今回、エリクの手は一切借りていませんのよ」



王妃様、すごいドヤ顔です。

まぁ、気持ちはわかりますけどね。

ちなみに、厨房を使わせてもらったお礼として、それぞれ生チョコをエリクにプレゼントしました。

エリク、食べ過ぎで鼻血が出ないといいですけど。



「チョコレートが、ラズベリーと一緒に溶け出してくる。こんな菓子があるのか」


「私のはスパイスが効いててうまいぞ」



陛下も負けじといいます。



ティーダ様は………あ、無言です。



ティレーズもマリアンヌ様も、うまく渡せたでしょうか。

ティレーズはまだ仕事中なので、仕事が終わった後に渡すのかもしれませんね。



そして夜、ベッドルームで二人きりになったノア様が、耳もとで囁きます。



「甘いプレゼントを貰ったからな。こちらからもしっかり甘やかしてやらないと」



お腹の皮膚とお肉、ギリギリセーフでした。

その晩のノア様は、久しぶりだからか、とてもがっついて…間違えました。とても情熱的でした。



ちなみに、お茶会に参加した令嬢達や王城の使用人達から、この日のことが噂を呼び、ご利益様の縁結び法として平民の方にまで知られるようになるのですが、それはまた別のお話。


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