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ドキドキの昼休み

主人公目線に戻ります

あれから、雨の日以外は毎日ノア様がお昼をつまみにやってきます。



「ノア様、今日は私の作ったお菓子もあるのですけれど、召し上がります?」


「ジュリア嬢手作りのお菓子か。是非食べたいね」



そう言って、あーんをする。

ちょっと躊躇いましたけと、クッキーを1個お口に入れて差し上げると、ノア様は満足そうに食べてらっしゃる。

なんだか、ヒナの餌付けをしている気分ですわね。


そう思っていたら、今度はノア様が1つ摘んで、私の口元に持ってきました。

これは、私にもあーんをしろということでしょうか。

それはさすがに、恥ずかしいです。

でも憧れのノア様に直々に食べさせてもらえるチャンスなんて、ここを逃したらきっともうありません。

私は恥ずかしさから目をギュッと閉じて、あーんと口を開けました。

口の中に入れられるクッキー。

少し、ノア様の指を舐めてしまった気がするのですが……


目を開けて必死に咀嚼していると、ノア様はペロリとご自身の指を舐められました。


ド、ドキドキが止まりません。

なんていう色気でしょう。

これは他の観賞用王子様方では出せない大人の色気ですわ。



「ねぇ、ジュリア嬢。ジュリア、と呼んでも?」



ノア様が耳元で囁きます。

いつの間に、私は愛称で呼ばれるような関係になったのでしょうか。

でも、ノア様に呼ばれるなら大歓迎ですわ。

私がコクンと頷くと、ノア様はクシャリと頭を撫でられました。



「真っ赤になって、可愛い」



か、可愛い?!

聞き間違えでしょうか。

それともこれは夢?

ええ、きっと夢ですわ。

味も匂いもある夢に決まってますわ。


だって、ノア様が私のことを可愛いと仰るなんて。



「ジュリア。卒業パーティーのエスコート役は、もう決まった人が?」


「え、ええ……」


「え!誰?」


「あの、弟が……弟は来年度入学しますから、先生方へのご挨拶も兼ねて」


「ああ、弟君か。残念。それじゃあ、私はエスコート出来ませんね」



え?

もしかして、私のエスコート役が決まっていなければ、ノア様にエスコートしていただけたのでしょうか。


くっ!

弟さえいなければ!


あら、私としたことが。

こんなこと考えてはいけませんわね。

可愛い弟のお披露目なのですから。


でも、ゲームでの卒業パーティーでは、ノア様はどなたかエスコートしてらしたかしら。

確か……

ノア様ルートでもエスコートはされずに、卒業後に再会したパーティーでダンスのお相手をつとめてから一気に距離が縮まる話だったはず。


ある意味、ゲームのストーリー通りですわね。

まさか、主人公キャラの知らない所でモブキャラとお昼を食べていたなんて知りませんでしたけど。



「ジュリア」



ノア様の声に現実に引き戻されました。



「はい」


「卒業パーティーでは、私は濃紺のタイを付けていく。もし嫌でなければ、ジュリアにも同じ色を身につけて欲しい」


「そ、れは………」



パーティーで男女が同じ色を身につけると言うことは、二人が恋人同士であることを意味する。

それは当然、ノア様もご存知のはずで。

その上でのお誘いだとしたら、ノア様は私と恋人と思われたいと、そういうことなのでしょうか。


頭が沸騰して、何も考えられません。



「返事は急がない。でも、期待して待っているよ」



ノア様は私の頭をポンポンと撫でて、行ってしまわれました。


モブキャラの私が、ノア様の恋人になるなんて、そんなこと許されるのかしら。

もしかしたら、ゲーム補正がかかって当日リリアン様と濃紺のリボンを身につけてこられるかも。


まあ、今のところ、リリアン様が気になってらっしゃるのはナード王子のようですけれど。


それにしても、今日のノア様は一体どうしたのでしょう。

いえ、今日に限らず、先日の秘密の共有から少しずつ私に対して親密な態度を取られるようになっていましたけれど。


卒業パーティーまであと1ヶ月。


ノア様と一緒にいられるのもあと1ヶ月。


王子達を愛でていられれば、それでよかったのに。

特別な人生など望んでいなかったのに。


なんとなく、何かが大きく動き始めているような、そんな予感が致します。

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