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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第四章 続編ルートと新しい力
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もう一人のヒロイン?

春の離宮での1週間を終えて、私たちは王城へ戻ってまいりました。


国王陛下と王妃様にご挨拶に伺うと、なんだかとても意味ありげに微笑まれました。

お二人も同じことを経験なさっているわけですから、まぁ、どんな1週間だったのかは想像できますわよね。

見られていたわけでもないのに、やはり恥ずかしいです。



「私はね、春の離宮でノアを授かったのよ」



王妃様が懐かしそうにおっしゃいます。

きっと濃密な1週間だったのでしょう。



「ジュリアちゃんも、授かっているといいわね」


「ええ。でもこればかりは神の思し召しですから」


「私は二人しか授からなかったけど、ジュリアちゃんはいっぱい生んでね。

もちろん、女性にかかる負担はとても大きいから無理にとは言えないけれど、王位継承権を持つ者は、多いに越したことはないのよ。

いつ何が起きるか、わかりませんもの」



確かに、前世とは違い、この世界の医療はあまり発達しているとは言えません。

特にある程度まで成長するまでは、どんな病気や怪我で命を落とすかわからないのです。

前世なら何ともないような病気で命を落とす子供も沢山いるのです。


世継ぎをきちんと残すのも、王太子妃の務めなのです。



「そう言えば温泉には入った?」


「はい。お湯がスベスベで、とても気持ちよかったですわ」


「ノアはともかく、ジュリアちゃんにはどんどん美肌になってほしいものね。

そうだわ。今度、公務が一段落したら一緒に行きましょうよ。マリアンヌちゃんも連れて」


「それはいいですね!楽しみですわ」



王妃様とそんな話をしていたのですが、陛下は少しお考えが違うご様子。



「ノア。側室はどうする?」



私と王妃様の動きがピタリと止まります。


この国では、王族に限り、側室を二人まで持つことが許されているのです。

お世継ぎを残す、その為だけに。



「私はジュリアがいれば側室は不要です」


「だが、万が一ということもある。

ハイネケン公爵家に、適齢期の娘がいる。

お前への縁談だ。後日、場を設けるから会うだけでも会ってみなさい」


「父上も側室は持たなかったではないですか!

なぜ私だけ……」


「縁談自体は既に決まったことだ。側室にするかどうかはお前の判断に任せる」



「セブプリ」……続編は出ていませんわよね?

ノア様ルートでは、トリス王国で盛大な式を挙げてエンディングでしたが、ここにきて、第二のヒロインの登場でしょうか……


王妃様とマリアンヌ様もノア様ルートに行き着く前に他界しているので、私よりもさらにわからないはずです。

リリアン様もノア様ルートには辿り付けなかったと仰っていたので、聞くわけにも参りません。


もし、私の他界後に続編が出ていて、ノア様ルートの公式ヒロインが設定されていたら………


私は目の前が真っ暗になる心地でした。



それから数日後、王城の一室でノア様とハイネケン公爵令嬢のお見合いの席が設けられました。

なぜか、私も同席するようです。

正妃の目から見た判断も必要、と言うことでしょうか。


ハイネケン公爵令嬢のイザベル様は、桃色のフワフワした髪にぽっちゃりした頬の、とても可愛らしい令嬢でした。

ノア様は髪を撫でるのがお好きなので、こういう髪の方はお好きなのではないでしょうか……

教育も行き届いているようですし、何より、ノア様と歴史書の話題で盛り上がってらっしゃいます。


これは、私が何を言うまでもなく、ノア様の側室に選ばれるのではないでしょうか。


お見合いが終わった後、私は王妃様に呼び出されてお部屋へ伺いました。



「ごめんなさいね。縁談の話は私でも止めきれなくて。

どうも、ジュリアちゃんが華奢な体つきだから、元気な赤ちゃんを産めるかどうか心配しているみたいなの。

別に、ジュリアちゃんを可愛がる気持ちは前と変わってはいないのよ?

それにしても……これはやはり、続編ルートなのかしらね」


「それは……私もノア様ルートを完全攻略した直後に他界していますから、なんとも言えないのです。

でも、今日のお見合いの様子を見ていましたら、ノア様も満更でもないご様子でしたから、側室の話、お受けになるかもしれませんわ」


「大丈夫。あの子は、ジュリアちゃん一筋よ」


「でも王妃様、乙女ゲーにおいて桃色の髪の令嬢はヒロインと相場が決まっていますわ。

私は、元々どうしてノア様と結婚できたのかわからないくらいモブキャラです。正規ヒロインが登場した以上、モブキャラはサヨナラなのでは」


「諦めちゃ駄目よ、ジュリアちゃん。

そうだわ!いいものをあげる。これでノアにドーンと迫っちゃいなさいな」



そう言って王妃様は私にスケスケのネグリジェを下さいました。

なんというか、ありがたいのですが複雑な気分です。


その晩、私は頂いたネグリジェを身につけて、ノア様とのベッドルームに入りました。



「ジュリア、それは……私を誘惑していると考えていいのかい?」


「……そうですわ」


「可愛いことをする」



ノア様に抱きしめられながら、私はノア様を見上げました。



「お見合いはいかがでした?」


「君の目から見てどう思った?」


「とても……お似合いでしたわ。お話も合うようでしたし」



目を逸らして言うと、ノア様にギュっと抱き締められました。



「素直じゃないね。ヤキモチを妬いてくれているのかな?」


「だって……」


「確かに話すのは楽しかったが、妻に迎えたいと思うタイプでは無かったな。

それに何度も言っているだろう?私にはジュリア一人がいればいいんだ。父上もわかっているはずなのに」


「私の体つきが細いので、無事に子供を産めるかご心配なさったようです」


「なんだ。そんなことか。じゃあ、これからはジュリアをもう少し太らせよう。デザートは毎食私の分もあげる。

お菓子も好きなだけ作って食べていい。

心配いらないよ。今だって、結婚前に比べて胸が大きくなっているし。すぐにフワフワの体型になるさ」



なんだか恥ずかしいことをサラッと言われましたが、そこは聞かなかったことにしましょう。

確かに、甘い物を食べていれば太りますわね。

ああ、糖尿病には気をつけないと。

それに、よく考えたら私まだ17歳。

成長期でしたわ。


ノア様が側室を迎える気がないというのなら、私はそれを信じて甘い物を美味しく頂いていればいいんですわ。


少し、気持ちが軽くなりました。



「安心した?」


「はい」


「じゃあ早速、ジュリアの誘惑に乗ろうかな」



その後はまたノア様にしっかり甘やかされたのでございます。




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