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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第三章 魔法の国 トリス国
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賊の襲来とノア様のお仕置き

とうとうトリスへ戻る日が来ました。

お父様は少し涙ぐんでおられます。



「元気で過ごしなさい」


「はい。お父様方もお元気で」



ノア様のエスコートで馬車に乗り込み、いよいよ出発です。

今回も、前回と同様2週間かけて参ります。


安全なルートを選んだはずだったのですが……




「ノア様、先遣隊より賊の姿を確認したと連絡が入りました」



カルーア国を出る直前、護衛騎士から報告が上がりました。

ノア様の表情が厳しくなります。



「賊の数は」


「確認できただけで、およそ10」



護衛騎士も10人。

先遣隊を合わせても15人です。



「人数的に厳しいな。日暮れも近いし、このまま宿まで戻るには危険が大きすぎる。

だが、かと言って進むのも危険だな」



そう、中途半端な場所なのです。



「ノア様。私が護衛騎士含めてこの馬車一帯を防御致しますので、突き進まれては?」



私の言葉に、ノア様もマルコもギョッとされていますが、私の防御魔法の強さはノア様もよくご存知ですし、他に方法も思い当たりません。



「………一気に駆け抜けるか。馬車の揺れは激しくなるが、大丈夫か?」


「はい」


「お嬢様……」



ティレーズが心配そうにこちらを見ます。



「大丈夫よ、ティレーズ。私達にはノア様もマルコもついていますし、護衛騎士の方々もいます」


「よし。口をしっかり閉じていろ。舌を噛むぞ」



ノア様が護衛騎士の方に駆け抜ける旨お伝えし、御者には最速で進むよう指示を出します。

念の為でしょう。

ノア様とマルコが剣を抜きます。


一気にスピードを上げた馬車は、かなり揺れて、ノア様が私を、マルコがティレーズを支えます。



「見えてきました。駆け抜けます!」



窓からチラリと見えたのは、軽く20人を超える賊。

護衛騎士に切りかかっているようですが、私の防御魔法で手が出せないようです。

それに対してこちらは攻撃できるので、目の前の賊を切り倒しながら駆け抜けています。


賊が馬に乗っていないことが幸いし、私達は無事に危険地帯を抜けることができました。



「護衛騎士の方で、怪我をした方はいませんか?」


「ありがとうございます。全員無傷です」


「よかった」



ティレーズを支えていたマルコは離れましたが、ノア様は私を抱きしめたままです。

あ、剣は仕舞っていただきました。



「今回は仕方なかったとはいえ、出来ればもうこんな無茶はさせないでくれ。君にもしものことがあったら私は……」



ノア様の抱きしめる力が強くなります。



「申し訳ありませんでした」


「いや、いいんだ。こちらこそ騎士まで守ってくれてありがとう。でもこれからは、君を守る役目は私にさせてほしい」


「はい………」




ノア様の顔が近づいてきて、唇が重なります。


結局、トリス王国の関所を潜るまで、私はノア様に抱きしめられたままでした。


なんとか日暮れ頃には冬の離宮に到着することができたのですが………




「あ、あの、ノア様?」


「少し黙って」



今何故か、私はノア様にお姫様抱っこをされた状態で廊下を進んでいます。

うっ。

使用人の方々の生温い視線が……



ドアを蹴破るように入ったそこは、ノア様のベッドルーム。


なぜ、ここに……



ノア様は私をベッドへ横たえると、覆いかぶさるように上から見下ろしました。



「君は……無茶ばかりする」



そう言って、耳元にキスをされます。



「君の力は知っているが、私の寿命がどれほど縮まったか」



次は瞼。



「その…ご心配おかけして申し訳ありません」



次に首筋。



「本当に反省している?」



首筋にチクンと痛みが走ります。

多分ですけれど、今のは所有痕をつけられたのかと……



「はっ、反省しています!」


「やっぱりダメ。少し、お仕置きが必要だな」



ノア様の唇が、徐々に下へ下りていきます。



「ノア様……私達はまだ結婚前です!」


「わかってる。だから最後まではしない」



最後まではってことは……途中まではするんですね。



結局、夕食も食べないまま、私はノア様に夜までみっちりお仕置きをされました……






「途中で止めるのは、私もなかなか辛いな」



夜食をいただきながら、ノア様が言います。

だったらあんなお仕置きしなければいいと思うのですが。



「まぁ、しっかり体に刻み込んだから、ジュリアももうあんな無茶はしないだろう」



その言葉に、顔が熱くなります。

その、色々思い出して。



「ジュリアは次期王妃であり、私の最愛のパートナーなのだから、無茶はしないで大人しく守られていなさい」


「……はい」



私も素直に頷きました。

この時は、ちゃんと約束を守るつもりでいたのです。



この約束が、近い将来破られることなど、予想もせずに。


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