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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第三章 魔法の国 トリス国
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王太子妃教育

晩餐は家族皆さんで取ることになっているそうで、その晩は国王陛下と王妃様、ノア様とその弟のティーダ様と一緒にいただきました。


最初の晩餐でもティーダ様はいらっしゃったのですが、ティーダ様は影が薄く……あ、いえ、大人しい方なので、うっかり見落しておりました。



「そう言えば、ジュリアちゃんはもう『紙鷹』が出来るようになったそうですわ。しかも、小鳥の姿で送れるそうですの」


「『紙鷹』を小鳥の姿で?」


「王妃様、まだ成功したかどうかは分かりませんので……」


「あら、大丈夫よ。きっと10日後には返事が来ますわ」



王妃様、言うのが早いです。

せめて成功が確認できてから言ってほしかったですわ。



「成功したらすごいな。ジュリアには素質があるのかもしれないな」



ノア様が優しく微笑みかけます。



「それはそうと、明日から王太子妃教育が始まるね。あまり、無理をしないようにな」


「陛下。ありがとうございます」



ティーダ様はやはり特に何もおっしゃいません。

本当に無口な方です。

国王陛下も王妃様も明るい方なのに、誰に似たのでしょうか。


…………………………………………………………………………


翌日から教育が始まりました。

今日から1ヶ月は淑女の嗜み、刺繍です。



「それではジュリア様。まずはこちらをお願いします」



先生がお手本として渡されたのは、初級の刺繍です。


懐かしいですわね。

最初に刺繍を始めた頃は針を指に刺してばかりで、血染めの刺繍が出来上がったものですわ。

お父様に差し上げましたけど、まだ持ってらっしゃるかしら。



「出来ました」


「大変結構です。次はこちらを」



今度は中級の模様。

またチクチクと縫っていきます。

この程度でしたら、20分もあればできますが、念の為、念入りに。



「出来ましたわ」


「……お早いですね。それでは最後にこちらを」



とうとう上級者向けの模様です。


とはいえ、学園に入る前には散々やらされましたし、学園でも刺繍の授業がありましたので、そんなに難しいとは思いません。

それでも細かい模様が多いので、それなりに時間はかかります。



「出来ました」


「えっ、もう?」



先生は細かいところまでチェックされると、私に微笑みかけられました。



「大変素晴らしい出来ですわ。困りましたわね。本当は1ヶ月かけて、細かい部分の手直しなどをしていくつもりだったのですが、既に問題ありませんわ。スケジュールについて、少し王妃様と相談いたします」


「ありがとうございました」


それから、時間の余った先生とご一緒にお茶をして、のんびり過ごしました。



翌日には、次のカリキュラムに入ることになりました。

今度はダンスです。

男性の方が先生ですので、少し緊張いたします。


数時間後。


「大変結構です。ステップも姿勢も問題ございません。ただ、足を後ろへ引かれる際にほんの少し上体が反りますので、その点さえご注意頂ければ満点でございます」



また早く終わってしまいました。

小さな頃からの英才教育という名のスパルタ教育がこんなところで役に立つとは思ってもいませんでしたわ。


先生は男性ですので、ご一緒にお茶を、というわけにもいかず、スケジュールの相談に王妃様の所へ行かれてしまいました。


余った時間は、先日お借りした魔法の本を読んで自習です。


どの授業においてもそんな感じで、残すは魔法の授業のみとなりました。


と言っても、王族の女性が使う必要のある魔法はそんなに多くないそうで、前々から勉強していた防御魔法と治癒魔法、光を灯す魔法に、幻惑を避ける魔法などです。

魔法の授業はとても面白く、毎日予習と復習をしていたら、半月ほどでマスター出来ました。


ここまでで、およそ3ヶ月。

あ、ちなみにお父様と弟には無事に手紙が届いたようで、返事が来ました。


まだまだ王太子妃教育の期間は残っていますので、他国語を学ぶことになりました。


トリス国の隣に位置するジン共和国の言葉です。

ですが……

ジン共和国の言語は、単語が違うだけで文法はトリス国と同じ。

単語を丸暗記するだけなので、正直楽しくありません。

しかも、単語を覚える為に、ティレーズが張り切って、日常生活でジン共和国の単語を使うので、嫌でも覚えが早くなります。


王妃様から、もう教育することがなくなりました、というお言葉を頂いたのは教育が始まって半年後のこと。


今思えば、お父様は私を王家に嫁がせるおつもりだったのかもしれません。

何しろミモザには王子が沢山いらっしゃるので。

ミモザの王子ではないですけれど、トリス国の王子に嫁ぐことにはなったので、あの地獄のレッスンも意味があったというものです。


外交に関しては直接そばで見ている方が勉強になるだろう、とノア様や王妃様の公務にお邪魔させていただけるようになりました。


もちろん、国家機密に関わるときには席を外しますけれど、殆どの時間は部屋の隅に置かれた椅子に腰掛けて、ノア様や王妃様の公務を拝見していました。


何事もなく平和に過ごしていた日々に、ある日突然、困った手紙が送られてくるまでは。

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