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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第三章 魔法の国 トリス国
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王太子妃の魔法

翌日。


私はなんとかティレーズが朝の支度に来る前に起きることができました。


身支度を整えて部屋でくつろいでいると、侍女が数枚の紙を持って部屋を訪ねてきました。


どうやら明日から始まる王太子妃教育のスケジュールのようです。


私とティレーズはそれに目を通して、目を見合わせました。



「ねぇ、ティレーズ。このスケジュール……」


「はい。学園入学前のお嬢様の教育スケジュールとほぼ同じですわね。目新しいことといったら、この国の歴史と魔法についてでしょうか」


「でも、トリス国の歴史は学園で習ったものね。ノア様の授業で」


「まあ、情勢も変わったことがあるでしょうし、復習と思ってお勉強なさることですわね」



それぞれの科目を1ヶ月ごとに習うスケジュールですけれど、復習に1ヶ月もかけるのは正直気が重いですわね。

眠くなってしまいそうです。


合間合間に王妃様とのお茶会の予定が入っているのは、きっと王妃様の優しさでしょう。


でも、ノア様も公務に復帰されますし、あまり会えなくなるのは少し寂しいです。


私は、故郷の両親と弟に手紙をしたためて、魔法で送ってみることにしました。

ノア様から、魔法で手紙を飛ばすことができると、旅の途中で聞いたのです。


どんな形で飛んでいくのかは分からなかったので、そこは自己流です。


手紙を両手に乗せて、魔力を流し込みます。

確か詠唱は……



「空を舞い、雲を突き抜けて飛べ」



手のひらが光に包まれ、またたく間に手紙が小鳥の姿に変わりました。

窓を開けて鳥を出すと、一直線に飛んでいきます。

無事に届くといいのですけれど。


後で王妃様とのお茶会の時にこの魔法について詳しいことを聞いてみましょう。


時間が余ったので、他にもいくつかの魔法を試してみました。

防御魔法と治癒魔法は使えるようになって損はなさそうです。

侍女に魔法の本を持ってきてもらい、治癒魔法と防御魔法の練習をしたところで、お茶会の時間になりました。




「王妃様。ジュリア様が参られました」


「ありがとう。通してちょうだい」



王妃様の部屋に行くと、すっかりアフタヌーンティセットの準備が出来上がっていました。

王妃様は人払いをなさったので、部屋には二人きりです。

でも、王妃様も転生者と知っているので、そんなに緊張はしません。



「昨日の夜は楽しかった?」


「えっ」


「バルコニーで、ノアとお茶をしたのでしょ?」



なぜ、王妃様はご存知なのでしょう。

この王城では情報が筒抜けなのでしょうか。



「その反応を見ると、あたりね。

実は私が王太子妃教育に入る前にも、現在の国王が私をバルコニーにデートに誘ったのよ。

ノアが小さな頃に話したことがあるから、もしかして、と思ってね」



うふふ、と笑う王妃様。

どうやら私、見事にかまをかけられたようです。



「ねぇ、ゲームのノアルートでも、やっぱりバルコニーデートとかあるの?」


「いいえ。ゲームでは、挙式以外はミモザ国内で話が完結しますので、そう言ったイベントはありませんわ」


「あら、そうなの?じゃあ、ノアルートでの見どころってどこ?」


「夜会での出会いで親密度を上げていくんですが、一番の見どころは、ノア様が他の王子達を威嚇して牽制するところですわね」


「ああ。あの子ならやりそうだわ」


「でも現実にはそのストーリーはなかったので、やはりだいぶストーリーが変わってきてますわ。

そもそも、私モブキャラですし」


「いいじゃない。私だってモブキャラよ?

それにしても転生者を嫁に連れてくるなんて、ノア、グッジョブだわ」


「確かに、まさかこの国に来て他の転生者にお会い出来るなんて思ってもいませんでしたわ」


二人でお菓子をパクパク食べながら話します。



「ああ、忘れるところでした。手紙を飛ばす魔法ですけれど、あれってどんな形で飛んでいきますの?」


「あれはね、なんと紙飛行機の形で飛んでいくのよ。飛行機もない世界なのに、面白いでしょう?この世界では『紙鷹』と呼ばれているのだけどね」


「そうなんですか。私、今日試してみたら小鳥の姿になっちゃいましたわ。無事に届くでしょうか」


「まぁ、あの魔法を使えたの?しかも小鳥の姿に?それってたぶん、『紙鷹』で飛ばすより高度な魔法だと思いますよ。そもそも、手紙を飛ばす魔法自体、難易度が高いですからね」


「そうでしたの?でも、小鳥ですし、無事には届かないかもしれませんわ」


「お返事が来たら成功、ですわね」



何時間かのんびりしたお茶会を楽しんで、私はまた部屋に戻りました。


魔法は面白そうなので、学ぶのが楽しみです。



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