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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第三章 魔法の国 トリス国
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第二の婚約者

ノア様目線です

王城へ着いてジュリアをエスコートして馬車を降りると、使用人達が集まってきて一斉に頭を下げた。



「おかえりなさいませ、ノア殿下」


「ああ、ただ今戻った」


「随分長い、お妃探しの旅でしたね」



チクリ、と嫌味を言ってくるコイツはマルコの父で、父上の執事をしている。



「その方が……?」


「ああ。まずは先に父上と母上に挨拶をしよう。皆への彼女の紹介はそれからでもいいだろう?」


「かしこまりました。ただいま国王陛下はちょうど3時のお茶に入られたところです。

王妃様もご一緒ですので、ちょうどいいでしょう。ご案内致します」



ジュリアを連れて王城を歩いていると、あちらこちらからささやき声が聞こえる。

数年ぶりに、しかも婚約者を連れて戻ったのだから騒がれても仕方ないが……

何だろう。

ジュリアを見る目に戸惑いが含まれている気がする。



「国王陛下、王妃様。ノア殿下が帰還されました」


「そろそろだと思っていたよ。

さあ、一緒にお茶にしよう」


父上の言葉で、あっという間に私とジュリアの席が設けられる。



「父上、母上。こちらが、手紙でお伝えした、私の婚約者です」


「ミモザ国、ルクラシア侯爵家の長女。ジュリア・ルクラシアと申します。

ふつつか者ですが、宜しくお願いたします」


ジュリアは膝をついて、綺麗に淑女の礼をとる。



「こちらこそ、バカ息子をよろしく頼むよ」



父上が穏やかに言って、私達は席についた。

母上は少女のように喜んで、矢継ぎ早にジュリアに質問を投げかけている。



「本当にこんな、わがままなオジサンでいいの?」


「私は、ノア殿下が講師をしてらっしゃる時からお慕いしておりましたから」


「まあっ!ジュリアちゃんはオジ専なのかしら」



オジ専?

なんだ、それは。


ジュリアもビックリしたように母上を見つめている。



「オジ専というわけではなく、ノア殿下だったからですわ」



どうやら、ジュリアにはオジ専の意味がわかっているらしい。



「マルコから少し聞いたが、もしかすると精霊の祝福を受けているのかもしれないって?」



あの場にいたのは私とジュリアだけなのに、マルコ、なぜ知っている。



「いえ、その……精霊の祝福をうけているなんて初めて聞きましたから、おそらく何かの間違いだとは思うのですが」


「試してみましょうよ!シシリア、廊下に萎れかけた花があったでしょう?あれをもってきてちょうだい」



ハイテンションの母上にジュリアが困惑しているのがわかる。


やがて、大きな花瓶ごと運ばれてきた花を前に、ジュリアは困った顔をした。



「この花はもう寿命が近いので、若返らせてもあまり持たないと思います」



そう言って、ジュリアが花に手を添えると、みるみるうちに花が元気を取り戻した。



「これは………すごいな」


「まさしく、精霊の祝福ですわね」



花瓶をさげさせて、お茶会を再開させる。



「そう言えば、もう魔法は使ってみたのかい?」


「いえ。ジュリアはまだレモーネを食べていませんから」


「なら、今すぐにでも用意させましょう」



母上の言葉に、メイドがサッと動いてあっという間にレモーネの実を持ってくる。



「ジュリア。これを食べてご覧」



ジュリアの口元にレモーネの実を差し出すと、ジュリアはパクリと食べた。



「胸の下辺りに、熱くなってきた場所はあるかい?」


「はい。何かが動き出してるような」


私はジュリアの手のひらに花びらを1枚乗せた。



「手のひらに熱が移動するのを意識しながら、この花に魔力を注ぎ込んでご覧」



うまくいけば、花びらが宙に浮かぶはず。

本当なら花の姿に戻したり、花びらの色を変えたりもできるのだが、初心者のジュリアには浮かせるだけで充分。


ところが。


フワッと浮かび上がった花びらは光りながらその姿を変えて、蝶の姿になると私達の周りをクルクルと飛んで、どこかへいってしまった。



「すごいな。魔法を使うのは初めてなんだろう?」


「はい。今、生まれて始めて使いました」


「ジュリア嬢の学園での成績も聞いているし、4ヶ国語も扱えると聞いている。これなら、マリアンヌ嬢は不要だったかな」


「そうですわね」


「マリアンヌ嬢?」



なぜここに女性の名前が? 

隣に座るジュリアも不安そうだ。



「いや。お前がなかなか相手を連れてこないから、この際強引に結婚させようかと、ハンバード侯爵家のマリアンヌ嬢を仮の婚約者にしておいたんだ。お前と歳も近いしな」


「勝手なことを!」


「まぁまぁ。ジュリア嬢ならお前を任せられるし、マリアンヌ嬢との婚約は白紙に戻すから」


「婚約解消には1ヶ月かかるではないですか!」


「あくまでも仮の婚約だし、お前から手紙をもらって準備していたから、3日もあれば処理は済むよ。今夜にでもお前の帰還パーティーを開いて、お前とジュリア嬢の正式な婚約を発表するから」


「マリアンヌ嬢に、変な期待は持たせていませんよね?」


「マリアンヌ嬢も変わり者でね。できれば結婚はしたくないと言っていたから大丈夫だ」



元はといえば勝手に家を飛び出した私に責任はあるが、知らないうちに婚約者を作っていたなんて。



「ジュリア。そんな顔をしなくても大丈夫。

君が私の婚約者であることに変わりわないよ」


「はい。ノア殿下」



そんな私達をニコニコ見ていた母上は、ジュリアに話しかけた。



「ジュリアちゃん、このあと時間があれば私の部屋にいらっしゃらない?マリアンヌちゃんも来るし、女子会をしましょ」



「かしこまりました。謹んで参加させて頂きます」



戸惑い気味のジュリアを一人にするのは不安だが、女子会というからには、男性は参加できないのだろう。



「夜のパーティーで会えるのを楽しみにしているよ」



耳元で囁いて、お茶会がお開きになると同時に、ジュリアはメイドに、ジュリアの部屋へ案内されていった。

ジュリアの部屋は、私の隣の部屋。

バルコニーで繋がっている。


また、あの流星群を見た日のように、夜のデートを出来るといいな。


そんなことを考えながら、私は公務とパーティーの準備に取り掛かった。

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