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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第2部ノエル編 第一章 ノエルを守ります!
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思わぬ展開

ノエル視点続きます

翌日はお母様のご指示どおり、鍛錬場へは行きませんでした。

その翌日も。


私達の教室へバース様がいらっしゃった時は、お母様の予想通りの展開に驚いてしまいました。

でも、こんな時に限ってクロちゃんは先生に呼び出されていていません。



「あの、ノエル様。あちらの男性がお呼びですわ」



クラスメイトの方に言われて、ティアちゃんとルディちゃんと一緒にバース様のいる教室の入り口に向かいます。



「すまない。ちょっとここでは話しづらいことだから、あちらの隅に移動してもいいかな」



バース様のご要望どおり、廊下の隅へ移動します。



「最近、君たちが鍛錬場へ来ないから、何かあったのかと気になって……」



お母様の言う通りでした!

でも、こんな時に何て答えればいいのかは教えていただいていません。



「私たちはバース様のお邪魔をしすぎたかと思い、少し遠慮させていただくことにしたのです」


「それは本当かい?」


「はい。クロエ様も本当は差し入れを持っていきたいのですが、あまりお邪魔をするのも、と…」



スラスラと答えるティアちゃん。

こんな時は本当に頼りになります。



「そうだったんだね。私は少しも気にしないし、話をするのも楽しいから、またいつでも来てほしいな。

いつもクロエ嬢だけしか来ないだろう?

よければ、君たちみんなでおいで」



あら?

なんだか、少し思っていたのと方向性が違うような……

ああ。

きっと、クロちゃんだけ呼ぶのは照れくさいので私たちも一緒に、とついでのお誘いをしてくださったのですね。



「クロエ様に伝えますわ。きっと、お喜びになりますわ」


「ありがとうございます、王女殿下」


「あの……私は確かに王女ですが、せめて学園内だけでも、ノエルとお呼びください。

王女としてよりも、クロエ様の友人として親しくさせていただきたいので」


「分かりました。ノエル嬢。それでは、皆さんが来られるのを楽しみにしています」



バース様は貴族の礼をして去っていきました。

バース様のお姿か見えなくなったタイミングで、クロちゃんが戻ってきました。



「クロちゃん、タイミングが悪いですわ」


「え?何かありまして?」


「たった今、バース様がまた鍛錬場へ来てほしいとここへ来られていたのですわ」


「え!」



クロちゃんは残念そうに肩を落とします。



「と、とにかく、バース様のご要望ですから、また明日から差し入れをお持ちしましょう?」


「そうですわね。あまり王妃様のお時間を頂いても申し訳ないですし、コック長にチョコレートケーキの作り方を教わって明日は差し入れいたしますわ」



全てはこれでうまく行く、はずだったのです。


ところが。


3時のお茶会の時、いつもクロちゃんに嫌味を言う令嬢方がいらっしゃいました。

警戒する私たちには目もくれず、令嬢方がクロちゃんに言いました。



「クロエ様。今日、バース先輩が訪ねていらっしゃったのはご存知?」


「ええ。ノエル様方から聞きましたわ」


「では、バース先輩がノエル様に鍛錬場へ来てほしいとお願いしてらっしゃったのは?」



え?

バース様は、私たちに来てほしいとおっしゃった訳で、何も私に来てほしいとおっしゃった訳ではありませんよね?



「あなたがバース先輩に差し入れをしてらっしゃるという事は、私の兄がたまたま目にしたので私も存じていますけれど、バース先輩の目的は、どうやらノエル様だったようですわね」


「そんなことありませんわ!バース様は、私達みんなに来てほしいと仰ったのです」


「あら。ですけれど、私達はたしかにこの耳で聞きましたわ」



これは……クロちゃんを私達から遠ざける作戦でしょうか。



「それを言うなら、私やルディちゃんも、みんなに来てほしいと言ったのを聞きましたわ」



ティアちゃんが言い返します。



「ティア様やルディア様はノエル様と仲がよろしいから、クロエ様に本当のことを隠しているのではなくて?」



なんて酷いことを言うのでしょう。

クロちゃんは半泣きですし、私も半泣きです。



「どちらの言葉を信じるかは、あなた次第ですわね、クロエ様」



令嬢方が冷笑した時、正義の味方の声がしました。



「私なら、なんの疑いもなくノエルの言うことを信じるな。君たちはこんな事をして、一体どうしたいんだい?ノエルの友人になりたいの?」


「お兄様!」


「エドワード殿下!」



私以外の方が、みんな最上級の礼をします。



「クロエ嬢。心配はいらないよ?ノエルたちは真剣に君を応援してるし、彼女たちの言葉が本当なら、バース様が来たことも君に言わなかっただろうね」


「エドワード殿下……

はい。私はノエル様たちの言うことを信じます」



満足そうに頷いたお兄様は、ご令嬢方に向かって微笑みました。



「ノエルの友人になりたいなら、素直にそういえばいいんだよ。

ノエルは誰にでも分け隔てなく優しいし、他人の悪口を聞かされることは嫌うけど、謝りさえすれば許してくれると思うよ」


「エドワード殿下……

ノエル様。申し訳ありませんでした。私たち、ノエル様と仲良くして頂きたかったのですが、ノエル様の周りには既にご友人がいらっしゃって、何とかしてノエル様に近づこうとした結果が、クロエ様を貶める行為だったのです。

あんなことをして、友人になってもらえるはず、ありませんわよね。

クロエ様も、今まで申し訳ありませんでした」



さすがお兄様。

これまで意地悪な事しか言わなかった方々がこんなに素直に……!



「クロちゃん?クロちゃんが許せないと思うなら、私はこの方々とは親しくしませんわ。

でも、クロちゃんが水に流すというなら、これからはみんなで仲良くしましょう?」


「ノエル様……はい。元々、私だけ爵位が低いのは本当のことですし、悪気があったのだとしても、今後仲良くなれるなら、すべて水に流しますわ」


「なら、これからはみんな友人ですわね。シエル様、マリー様。よろしくお願いいたしますわ」


「ありがとうございます。ノエル様、クロエ様」



お兄様はそんな私達を微笑んで見守ると、そのまま去っていきました。



翌日。

お昼休みに早速鍛錬場へ向かいます。

今回はシエル様とマリー様も一緒です。

クロちゃんはバース様を呼びに行き、私たちは定位置でそれを見守ります。


ここまではいつもと同じだったのです。

ですが。



「今日はご友人が多いね。ケーキも二人では食べきれないし、みんなを呼んだらどうかな」



バース様!余計な気遣いですわ。

お兄様なら絶対に気付きますのに。


でもそう言われて出ていかないわけにもいきません。

私たちは渋々バース様とクロエ様のいるベンチに移動しました。


他愛のないお話をしながらみんなでチョコレートケーキを食べて、さて帰ろうかと言うときに、私はバース様に呼び止められました。



「ノエル嬢。もしよければ、今度二人で話せないかな」


「え?」



周りのみんなも固まっています。



「君に相談したいことがあって……だめかな」


「それは……私一人じゃないと駄目ですの?」


「そうだね。出来れば君一人のほうがいいな」


「では、婚約者のバトン様のお許しが出たら、ということでもよろしいでしょうか」


「ああ、婚約者がいるんだね。それで構わないよ。本当はもっと早く君に相談したかったんだけど、会えなくなってしまって、昨日は少し焦っていたんだ」



どうやら、本当に相談事があるだけのようですわね。

私は安心させるようにクロちゃんの手をギュッと握りました。



「では、バトン様にお話して、またお返事いたしますわ」


「ありがとう、助かる」



バース様と別れてから、私達の間には珍しく、あまり会話がありませんでした。

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