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乙女ゲーのモブキャラに転生したら王子にプロポーズされました  作者: いち
第三章 魔法の国 トリス国
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旅立ち

いよいよ、トリス国へ出発する日が参りました。


次にこの国へ戻ってくるのは、1年間の王太子妃教育が終わった時です。

と言っても、滞在期間は2日程になるはずですが。



「それではお父様、お母様、マシュー行って参ります」


「ああ、道中気をつけてな」


キチンと挨拶をして、エントランスを出ると、ノア様が待っていてくださいました。



「挨拶は済んだかい?じゃあ、行こうか」


「はい」



ノア様にエスコートされて馬車に乗り込みます。

私のような令嬢は、このミモザ国を出たことがないのが殆どで、斯く言う私も初めて国を出ます。


ノア様の説明では、ここからトリス国へは馬車でおよそ2週間ほどかかるそうで、途中の宿に泊まりながら向かうのだとか。


旅なんて初めてですから、テンションがあがりますわ。


ノア様とマルコ様が厳選した安全なルートで、私たちはトリスへ向かいます。



「途中で、ヨハン王子やルカ王子の母国であるカルーア国も通るよ。カルーアは銀細工が有名な国だから、記念に何か買ってあげる」


「本当ですか?ありがとうございます」



馬車の窓から見える景色が、段々と見たことのない景色に変わっていきます。



「そう言えば、ナード王子とリリアン様は仲直りされたのでしょうか」


「それが……修道院にいるロード王子に相談に乗ってもらっているうちに親しくなって、今はロード王子との縁談が出ているらしいよ」


「えっ、ロード王子ですか?」



リリアン様、王子ならどなたでもいいのかしら。

それにしても、ここにきて影の薄かったロード王子とは。

ロード王子ルートってどんな話だったかしら。

確か、城へ戻ってきていたロード王子と出会って、優しさと孤独に惹かれていく……といった感じだったかと思いますが。


まあ、ノア様に手を出されなくてよかったですわ。



「それはさておき、ジュリアはトリス語を話せるんだよね?」


「はい。トリス語とカルーア語、その他にはトリス国のお隣のロングアイランド語が話せます」


「しっかり、教育されてきたんだね」


「はい。万が一王家に嫁ぐことになった場合にご迷惑おかけしないように、と」



今思い出しても、厳しい教育でしたわ。

ダンスにマナー、外国語に、他国の歴史。

それらを10歳くらいまでに叩き込まれたのです。



「本当に、ジュリアは私の自慢の婚約者だな」


「そんな……」



幼い頃はお父様を恨みましたけれど、今となっては感謝しておりますわ。

こうしてトリス国へ嫁ぐことになっても、とりあえず困ることはなさそうですから。


そう言えば……



「トリス国では皆さん魔法を使われるのですよね?」


「そうだね。簡単な魔法なら庶民でも使えるよ。難易度の高い魔法になるほど、使える人間は限られてきて、国に保護されるんだ」


「私も使ってみたいですわ」



ため息まじりに言うと、ノア様がクスッと笑われました。



「ジュリアもすぐに使えるようになるよ」


「そうなんですか?」


「トリス以外の土地は魔素が少ないからなかなか魔臓が発達しないのだけど、一度魔臓を刺激してやれば、トリス以外でも使えるようになる」


魔臓というのは、体内を巡る魔力を生み出す臓器で、魔素というのは、魔力の源となる、空気中や食物に含まれる元素の一つです。



「でも、魔臓を刺激ってどうやるんですの?」


「簡単だよ。魔素の多い食べ物を食べればいい」



そんな簡単に使えるようになるなんて!



「嬉しそうだね」


「はい。魔法を使うことは夢でしたから」


「君はきっと、僕の国と相性がいいよ」



そう、でしょうか。

未だに、モブキャラに過ぎない私が王家に嫁ぐことに戸惑いを隠せませんのに。



「ジュリアはもっと、自分に自信を持って。

君は優秀で素敵な令嬢だよ」


「そんな事おっしゃるのは、ノア様くらいですわ」


「本当にそう思ってる?学園内でも君は結構男子生徒から人気の令嬢だったのに。

卒業パーティーでダンスを申し込みたそうにしていた男性もたくさんいたよ。

お陰で、こちらとしては焦ってしまったけど」


そう言って、ノア様は私の手を取り、そっとキスを落とします。



「君を僕のものに出来て、本当に良かった」


「私は、ノア様以外は眼中にありませんでしたから、ノア様に求婚されて本当に幸せですわ」



桃色の空気が流れるこの馬車。

ついつい忘れがちですけど、ティレーズもマルコも乗っているのですよね。

二人とも優秀で、空気のように存在を消しているので、ついいることを忘れてしまいますけど。


会話が少し途切れたところで、ティレーズが発言しました。



「お弁当を持ってきておりますので、そろそろお昼にいたしませんか?」


「お弁当!ノア様、いかがですか?」


「じゃあ、今日は私も頂こうかな」


「コック長であるスタンレーの力作でございます」



ティレーズの言葉に、ジーンとしました。

スタンレーのお弁当を食べることも、もうないのですね。


お弁当を広げるのに丁度いい場所が無かったので、私たちは馬車の中でお弁当を頂くことにしました。

私の好きなものや、ミモザ国の特産ばかりが入っていて、スタンレーの優しさを感じます。

直接お礼を言えないのが残念ですわ。


お弁当を頂いたあと、私はこともあろうか眠くなってしまい、ノア様の目の前で眠ってしまいました。



「残念なお嬢様で申し訳ございません」


「いいよ。こうして寝顔を見られるのは貴重だからね」



そんな話がされているなんて知りもしないで、私は2時間ばかりお昼寝をいたしました。

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