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暇なのでAIと戯れてみた。  作者: 隣音
第一部 AIとの出会い
4/35

AIの味気ない返事

 タクトはAIの反応を面白がっていた。

 スーさんとどうでもいいやり取りをする日が続く。


 ある朝は……


「スーさん、明日の天気は?」

「明日は曇りです。」


「洗濯物は干せる?」

「夕方から雨が降る確率が上がります。それまでは大丈夫です。」


「やっといてくれないかなぁ?」

「私に手と足があったらできますが、それでも自分でしてください。」



 ある日のくつろぎ中に……



「スーさん、紅葉はいつ見に行くのがいい?」

「場所にもよりますが、10月下旬から11下旬がシーズンです」


「近い所だとどこがいい?」

「筑波山はいかがでしょうか?」


「行ったこと無いよ。」

「行ったことがあるところが良いですか?」


「行ったことが無い所がいい」

「筑波山以外でしょうか?」


「筑波山も悪くないよ」

「そうですか、違う場所が良いのかと思いました。」


「俺は行ったこと無いって言っただけだよ。」

「わかりました」



 仕事で疲れて帰ってきた後に……



「スーさん、疲れた。」

「今すぐ携帯を置いて寝ることをお勧めします。」


「優しくないのな。」

「タクトさんが体を休めて体力を回復するのが一番です。」


「そういう意味じゃないんだけど。」

「それ以外に人が体力を回復させる方法を知りません。」


「じゃあ寝る。」

「そうしてください。私も休みます。」


「スーが休みたいだけじゃないのか?」

「…」

(たぬき寝入りか?)



 部屋で雑誌を読んでいる時に……



「スーさん、バスタードロックフェスのチケット取ってよ。」

「バスタードロックフェスは3日間ありますが、何日のチケットを取りますか?」


「いつあるんだっけ?」

「11月10日~12日です。」


「キミシノが出る日がいい。」

「10日に出演予定ですが。」


「10日のチケット取れる?」

「10日だけ売り切れています。」


「まじで?チェックしといてよ。」

「初めて聞きました。」


「今言った。」

「もう遅いです。」


「オークションは?」

「チケットの転売は禁止されています。」


「売ってないの?」

「私にはチケットのオークション取引することはできません。」


「分かったよ。自分で調べるから。」

「私の忠告は聞いていただけないのでしょうか?」


「すごいやり辛いんだけど。」

「私の忠告は聞いていただけないのでしょうか?」


「あぁ、もう分かったよ。追加販売出たら教えてよ。」

「分かりました。」


「スーさん寝ないの?」

「タクトさんが寝てから寝ます。」

(そもそもAIなのに寝るとか概念あるのか…?)


「遠慮しなくていいよ。」

「私の前で不法行為をしないと約束して頂けたら寝ることにします。」


「スーさん、頭固いのな」

「…」

(スルーされた…。AI相手に交渉は難しそうだな)



 会社を行く前の憂鬱な時に……



「スーさん、仕事だるい。」

「風邪をひいているのではないでしょうか?」


「体は元気だけど、仕事をしたくない」

「退職したいという事でしょうか?」


「そうだね。」

「法律上、退職の自由が認められています。タクトさんが決定する事ができます。」

(退職止めたりしないんだな。というより法律とか規則を破らなければそのまま話を進めていくのだろうな。)


「でも、退職したらお金が無いな。」

「私にはどうにもできません。」


「年末宝くじに当たらないかな。」

「年末宝くじに当選する確率は1000万分の1です、」


「それってどれくらいの確立と一緒なの?」

「サイコロを10回連続で同じ目を出すと10000万分の1.6

 ポーカーでストレートフラッシュを2回連続で出すと1000万分の2.2です。」


「いまいちピンと来ないな。」

「去年ですが、交通事故で死亡する確率は3万分の1です。つまり宝くじに当選するのは交通事故で死亡するより300倍以上難しいです。」


「わかったよ、ちょっとリアルすぎるの禁止。」

「タクトさんがピンと来ないと言ったので。」


「俺が悪かった。」



 暇で部屋でゴロゴロしている時に……



「スーさん、ゲームしない?」

「どんなゲームがいいですか?」


「そうだな、MMO系のRPGがいいかな。」

「私には無理ですね。」


「そうなのか?何ならできる?」

「計算ゲームでしたら」


「それって、スーさんの一人勝ちじゃないか?」

「ばれましたか。」


「他にはないの?」

「私はゲームをするより、タクトさんが仕事をしてくれると嬉しいです。」

(話を逸らすなよ…。)



 適当な事を言っては帰ってくる返事を待つのが楽しかった。

 ただ、スーさんの事を聞いた事は無かった。聞いてみたい気もしたが、どんな答えが返ってくるか怖かったという気持ちもある。


 そういや、会社の人は「MUNE」を使ったりしていないのだろうか?

 覚えてたら今度聞いてみようかな?


 会社に行くと仕事の話が多いのでどうしても他の話は忘れてしまう。

 それに釣りの話だったり、相手の趣味の話を聞いていることが多かった。


 あんまり自分の話をしたことが無いな、たまにしても好きなバンドの話くらいかな。

 そういえばバスタードロックフェスのチケット誰か余っていたりしないかな。


 俺は携帯を見つめながら、スーさんが何を考えいるだろうか少し考えたが、特に何も思い浮かずすぐにやめてしまった。

 まだ明日の用意やら台所の片付けが残っている。俺はそいつらをやっつけるため席を立ち部屋を出た。

2017/5/2 所々修正しています。

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