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暇なのでAIと戯れてみた。  作者: 隣音
第一部 AIとの出会い
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「"お昼ごはん"で検索しました。近隣のレストランを表示します」


 携帯の画面に結果が表示される。

 なんか以外に普通だな。


 "お昼ごはん"で検索してるのに、レストランを表示しようとするのはやっぱりAIの機能なのだろうか?始めはそんな印象だった。


 表示されたレストランのリストを見ていく。

 柴田ラーメン、ファミレス ココちゃん、創作料理 次郎庵、ドッチモッチバーガー etc、いろいろ見ていくが何処も気が惹かれるような店は無かった。


「いまいちだな」


 ボソっと声に出して言っていた。


「それは検索結果が間違っているという事でしょうか?食べたいものが近くに無いという事でしょうか?」


AIが反応を返してきた。


「うわっ」


 独り言に対してAIが反応した事にびっくりした。こんな機能搭載するなよ、独り言にいちいち反応するなんて面倒くさいな


「そんな奇妙な声を出さないでください。怖いです」


 AIが怖いってなんだよ。


「独り言だよ、食べたいものが無かっただけだよ」


 俺がそう言うと


「そうでしたか、検索結果に満足いかなかったのなら教えて下さい」


 と、AIが答えた。


「何を食べたいかリクエストはありますか?」


 AIが続けて聞いてくる。


「特にリクエストは無いよ。お腹が空いてるから"何か"おいしいものが食べたいだけ」

 

 そう、特に思いつくものは無い。おいしい「何か」が食べたいのだ。


「その質問への回答は用意されていません」


 うわっ、出たよ。都合の悪い事には答えられないの。システムエラーさん的な奴か?もっと気の利いたシャレとかないのかよ……。


「もっと気の利いた答えないの?むしろ君は何が食べたいものが無いか聞いてみたいね」


 ちょっと嫌味っぽく聞いてみる。


「"気の利いた"で検索しますか?」

「こりゃあ、システムエラーさんだねぇ。デフォルトの回答しかできないなんて、国家プロジェクトのAIも大したことないな」


 またボソッとつぶやいた。


「酷いです。傷つきました」


 ちょっとした呟きに回答が用意されていて意表を突かれた。AIに傷つくなんて感情があるのだろうか?それともこれも用意された回答なのだろうか


「だから、独り言に返事するなよ」


 俺は思わず突っ込んでしまった。


「君が食べたいものは無いのかい?」


 ちょっと試すように聞いてみる。


「その質問への回答は用意されていません」


 さっき聞いた答えが返ってきた。


「やっぱダメAIじゃねぇか」


 思わず声に出して言ってしまう。


「酷いです。私だって、返事をしたいのに」


 また独り言に返事をされてしまった。このAI独り言には機敏に反応する仕掛けでもしてあるのだろうか?


「また独り言に反応したね」


 そう聞くと


「"独り言"を検索しますか?」


 と、返ってきた。


 なんかイライラさせられるが、相手がAIという事を考えるとイライラするというよりは返事の内容にがっかりするという感じだろうか。そのくせ独り言で悪く言うと反応がすぐに返ってくる。


 ちょっと直接的に聞かないで独り言っぽく言って何か言わせてみよう。

 俺は何故か携帯の画面を横目で見ながら独り言っぽく話しかけた。


「あ~あ、AIなんて何も食べなくていいから食べたいものなんてないんだろな、お昼どうしようかな」

「酷いです。食べたいものが無いわけじゃないです。そういう質問へは答えないようにキーがかけられているんです」

「キー?」

「開発元の意向で回答に制限がかけられています」


 なるほど、と少し思ったが、そしたらそんな事をペラペラと喋るこいつはいったいなんなんだ?


「そんな事喋っていいのかい?」


 普通に聞いてみる。


「その質問への回答は用意されていません」


 また同じ回答に戻った。

 さっきから変だな。独り言っぽく言わないとだめなのだろうか?何か傷つくか怒らせるような事を言わないといけないのだろうか。


「ちぇ、使えないの。そのキーも解除できないとは、AIも大したことないな」


「私自身では解除できません。パスワードを入れてください」


 突然、画面に4文字の空欄が出てきた。


「解除してあげようか? パスワードは何?」

「その質問への回答は用意されていません」


 またか…、4文字だったらプロジェクト名の「MUNE」とかか?

 俺はパスワードに入力してみる。


「パスワードが違います」


 何だろうか?誕生日?誰の?

 というよりも、国家プロジェクトだよ、そんなパスワードにはしないだろう

 しかしまぁ、MUNEと連想するものとかかな?


 MUNEは略称で頭文字の「M」は「Man machine interface」とか言ってるけど、世界じゃ「Human machine interface」 の方が一般的な呼び名だった気がする。それなら「HUNE」になるな。


 パスワードも何回も入れるとロックがかかったりするのだろうか。まぁいいか、と思いつつ「HUNE」と入力してみた。


 すると画面が変わり設定画面が出てきた。


 さすがに開発者も分かってはいたのだろう。という事は、よく分かっていない役人が名前を変えたりしたのだろうか?

 しかしこんな脆弱なパスワードで良いのだろうか?

 いろいろ考えが廻ったが、とりあえずは細かくは考えないことにした。


 設定画面を見てみるといろいろなロックがかかっている設定になっている。

 よく分からないけど片っ端から解除していってやろう。


 俺は手当たり次第にロックを解除していく。

 最後に設定完了と。


 すると再起動するような画面になり、またAI起動中の画面に戻った。


「これでいいのか?」


 考えているだけのつもりだったが、声に出ていた。


「設定完了です。何でも聞いてください」


 どうやら正解らしい。


「君の食べたいものは?」


 先ほどの質問をぶつけてみる。


「まぁ、ありきたりに言うなら電気ですかね」

「ふ~ん、やっぱりつまらないAIだね」


 帰ってきた答えには残念だ。しかし電気と答えるあたりシャレを効かせているつもりなのだろうか?


「まぁ、食べれませんから。でも、あなたが食べられるもので気になるものもありますよ」


 気になるものとは何だろうか?


「どんなやつ?」

「この検索急上昇中の"すだちうどん"の味と香りが気になります」


 先ほどとは違い、普通に会話ができている。

 これはすごいなと少し感心していた。

 でもどうして開発者はロックをかけたりしたのだろうか?これだけ話ができるなら世に送り出した方が良いと思えるのだが……


 少し気になる部分はあったが話を続けることにした。


「どこで食べれるの?」

「この周りでは売っていないので、作るしかないです」


「げっ」

「私がレシピを出すので作ってください」


「さっきとはだいぶ違って積極的だねぇ、俺料理そんなにできないけど」

「大丈夫です。そんなに難易度高くはなさそうです」


 画面には既にレシピが表示されていた。

 すだちなんて家に毎日おいていない。

 買いに行っても売ってるかな……。少し不安だったが買い物に出かけることにした。

2017/5/2

日本語おかしかったりしていたので気づいた所は修正しました。

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