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暇なのでAIと戯れてみた。  作者: 隣音
第二部 仕事仲間とAI
11/35

寝るまでの一時

 麻木さんを家まで送ってから家に帰る。

 まさかあんなになるまで飲むとは思わなかった。


 お酒と料理がおいしかったせいなのか、飲みたい気分だったのだろうか?

 職場の飲み会では、そこまで酔っていたとは思えなかった。


「スーさん?」

「なんでしょうか?タクトさん?霧島さんの方が良いですか?」


「いや…、今まで通りでいいよ」

(なんかスーさんに霧島さんと言われると新鮮な感じがするな)

「そうですか、登録削除しますか?タクトさんが登録したものではないですから」


「それも、そのままでいいよ。なんか消すのも微妙な感じするし」

「分かりました」


「疲れたよ、スーさん」

「初めてタクトさん以外の方と話をしました」


「そっか、そうだね。他の人と話すのは無かったかもしれないね」

「携帯に入っている仕様上、複数の人と会話をする機会は少ない傾向があります」


「どうだった?」

「そうですね、今までタクトさんと話をしてたのと反応が違うので驚きました」


「まぁ、相手は女性だしね。反応も違うでしょう」

「それに麻木さんだしな…」


 俺はちょっと含みのある言い方をした。


「麻木さんだしと言うのは何かあるのでしょうか?」

「いや、麻木さんは他の人よりテンション高いというか、反応が大きいんだよね。そして常に元気。めげないし。普通の人と同じように考えて話してたら感覚狂うかもね」


「そうですか、参考にしておきます。でもMUNEの統計からすると麻木さん程度の反応をする人は結構いますよ」

「そうなのか?世の中には麻木さんみたいな人がいっぱいいるのか…」


「タクトさんは今まで麻木さんのような人とは会ってこなかったのでしょうか?」

「そうだね。そんなに多くないかな。まぁ元々女性の知り合いが少ないってのはあるけど」


「タクトさんは、知り合い少ないのですか?」

(なんかその言い方刺さるな…、スーさん悪気は無いのだろうけど。)

「そうだね…、少ないと言われると少ないのかもしれないな。学生時代の友人とかも疎遠になってる人多いし」


 俺はちょっと小さい声になりながら答えた。


「麻木さんの印象、驚いた以外にはないの?」

「今日は落ち込んでいるように見えました」


「そうだねぇ、仕事でミスしてるのを気にしていたのかな、そうえいばMUNE以外のAIを使うって言っていたけど、他にもあるのかな?」


「そうですね、私の姉妹プロジェクトでFECTというAIがあります」

「へぇ~、それは公開されてないのかな?」


「公開されていますよ」

「そうだったんだ。MUNEは宣伝してるから知ったけど、FECTはそういう事してないのかな?」


「そうですね、大学の研究室で開発が続けられています。宣伝はしていませんが、大学のホームページに行けば公開されていますよ」

「そうなんだ。AIとしてはやっぱ違うのかな?」


「基本設計に多少の差異はありますが、姉妹プロジェクトですのでMUNEと似た設計にはなっています。AIとしては優秀です」


 スーさんが優秀と言っていたので、FECTというAIがどんなものか気になった。

 でも、今はスーさんをインストールしている。ちょうどいいので麻木さんに進めてみようかなと思った。


 今日はもう遅い…。明日の仕事に差し支えると困るのでもう寝よう。


「スーさん、今日はもう寝るよ。朝6時に目覚ましセットしておいて」

「分かりました」


「あと、起きたら麻木さんに電話するから、忘れないように教えてね」

「メモに残しておきます。まずはタクトさんが起きないといけないですね」


「それはスーさんよろしく頼むよ」

「私の最大音量で起きなくても恨まないでください」


「分かったよ…。じゃあ起きるまで、アラーム止めないでね」

「分かりました。鳴りやまなくても怒らないでくださいね」


「なんか含みのある言い方だな」

「タクトさん、統計上あまり朝が早いとは思えませんので」


「とりあえず、おやすみ」


 俺はスーさんに指摘されてふてったまま眠りについた。

2017/5/2 所々修正しています。

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