表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私が短文を薦める理由

作者: 灰色セム

 皆さんは小説をどのように書いているだろうか。


「全て計算づく! プロット派だ!」

「気の向くまま書き連ねる感性派よ」


 では、文章の長さに好みはあるだろうか。


「短文はいいぞ! 俺でも理解できる!」


 短文は『読みやすい文章』の基本だ。とにかくリズムよく読める。欠点は単調になりがちなことか。個性も出しにくい。


「オシャレな感じがする長文も魅力的でしょう?」


 長文こそ実力が現れると言ってもいいだろう。文章は、主語と述語の距離が大切だ。私は今も昔も短文派だが『登場人物がなにをやってるのか分からない』と言われたことがある。文の長さ以前の問題だが、ここでは割愛する。

 話しを元に戻そう。短文ですら、駄文になりうるのだ。長文はどれだけハードルが跳ね上がるのか、考えたくもない。


 長文を書くと――主に気合を入れすぎたときに起こりやすいのだが――自分がとてつもない成長を遂げたのだと錯覚しやすい。子供でも書ける文字の羅列を、ここまで長く書けたのだから、やはり自分は作家に向いているのだと、思っていた時期もあった。


 さて。いかに長文が悪文になりやすいか、ご理解いただけただろうか。『長文を書くと〜』は、まだ耐えられるかもしれない。だが『子供でも書ける〜』は意味が分からないだろう。


 悪文を分析してみよう。なにを言いたいか探るには、頭と尻をくっつけるに限る。

『子供でも書ける文字の羅列を、思っていた時期もあった』

 ハテナマークの生産工場になってしまった。原因は主語と述語だ。両者の距離は近かったが、いくつも登場している。水タイプの主語と油タイプの述語で、うまく行くわけがない。


 ――水タイプ――

『子供でも書ける文字の羅列を、ここまで長く書けた』

 まず、目につくのは『書けた』だろう。二度も出てきている。なにより「ふぅん。それで?」という感想しか出てこない。


 ――油タイプ――

『やはり自分は作家に向いているのだと、思っていた時期もあった』

 思わず「今は違うんかーーい!」と言いたくなってしまう文章だ。


 水と油の混ざった文章は、誰も読んでくれない。どれだけ素晴らしい内容でも、読んでもらえない。苦労して書き上げたのに、重箱の隅をつつくような感想しか来ない。それはとても寂しいものだ。指摘する側も心を鬼にしてアドバイスを――いや、なんでもない。

 とにかく、悲劇を防ぐために短文をお薦めする。


「ほら見ろ! やはり短文に限る!」

「でも、短い文はブツ切りだらけで面白くないわ」


 その通り。単調すぎてはいけない。短文はあくまでも基本だ。リズムよく書き連ねつつ、ときたま長文の変化球を投げ、作者に対する評価も積み上げたいものである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ