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#3 ソルジャーアント

 ダンジョン製作2日目


 朝になったようだ、もしかしたら夢だったのではないかと思ったが、やはり現実のようだ。


 痛む背中をさすりながら起き上がる。


 コアルームには家具どころか食糧すらないが、餓死の心配はない。

 どうやらダンジョンマスターには食事の必要がない。食べることはできるのだが、嗜好品のようなものでしかない。

 同じように、ダンジョン内にいる限りモンスターたちも食事の必要はない。こちらは代わりに毎日ダンジョン内に存在するモンスターの戦力を合計した数値の1%のDPが維持コストとして差し引かれる。


 つまり収入が足りないのに、強力なモンスターを配置しすぎると、ダンジョンの運営に不具合が起こるということか……注意しておこう。


 話はそれたが、なんにせよ食事の必要がないのは食事を用意して食べる時間も省けるしいいことだろう。

 とはいえ、食料も、調理のための設備もここには存在しないのだが……

 ついでに睡眠の必要もなくしてくれればいいのにな、などとまだ痛む背中をさすりながら考えた。


 さっそくダンジョンの様子を確かめよう。

 あくびをかみ殺しつつメニューを開くと、アナウンスが響く。


《ダンジョンの登録から24時間が経過しました》

《ショップ機能が解放されました》


 DPを消費していろいろなアイテムを購入することができるようだ。いいタイミングでうれしい機能の追加だ、早速ベッドを購入することにしよう。

 表示されるリストの中からベッドを探す――あった、いくつかの種類のベッドが表示される。簡素な見た目のものから、天蓋付のキングサイズの豪華なベッドまでいろいろある。

 所有しているDPは獲得分を合わせて379Pか、あまり余裕があるとは言えないので、一番安い50DPの藁のベッドを選ぶことにする。

 木枠の中に藁を敷き詰め、シーツをかぶせただけのものであるが、贅沢は言ってられないだろう。あまり寝心地はよくないが、硬い土の床よりはましである。

 DPに余裕ができたら、もっといいベッドを買うのもいいかもしれない。


 ベッドの設置が終わったところで、ダンジョンの様子を確認することにする。


 どうやらワーカーアントはあれからも働いてくれていたようだ。

 最初の部屋も少し大きくなり、そこから通路が続いている。通路は途中で枝分かれし、新しく作られた3つの部屋へとつながっている。

 ワーカーアントをさらに3匹召喚し、計5匹のワーカーアントでダンジョンを掘らせる。ひとまずのところ、ダンジョンの拡張は5匹のワーカーアント達に任せておけばいいだろう。

 次はDP獲得量を上げるために、深さが10になるまでキューブの追加につぎ込むことにする。

 今日のところは、DPがなくなりできることもなくなったので、ワーカーアント達の働きを観察しつつ、時間をつぶすとしよう。



 ダンジョン製作11日目


 眠い目をこすり、起き上がる。藁のベッドのおかげで腰が痛くならなくなったのはいい。

 あれから9日が経った、現在ダンジョンを作り始めて11日目である。

 メニューを開き、1000DPを消費して新たにキューブを追加する。

 ついにダンジョンの深さが10になった、第2階層の作成には2万DPが必要なようなので、これで領域の拡張はひとまず終了である。


 ダンジョンの内部は、ワーカーアントたちの活躍でかなり大きくなっていた。

 最初の部屋はさらに大きくなり、枝分かれしている通路の先には大小100を超える部屋が作られている。ゆるやかな坂になっている通路の先端はそろそろ1つ目のキューブの半分に届くかといったところだ。

 5匹のワーカーアントたちは、今も変わらずダンジョンの拡張のためにせっせと穴を掘り続けている。

 ワーカーアントたちは全員同じように見えるが、どうやら性格に多少の違いがあるようだ。真面目に穴を掘り続けるもの、こっそりサボっているもの、せっかちなもの、仲間によくぶつかるおっちょこちょいなもの、と見ていて飽きない。

 領域の拡張も一段落したことだし、ここらで新しいモンスターを召喚してみるのもいいかもしれない。


 200DPを消費してソルジャーアントを召喚する、これで残り20ポイントになった。

 現れたのは、ワーカーアントよりも一回り大きなアリであった、体長は1.5mといったところだろうか。特に目立つのが巨大な顎だ、あれに思い切り挟まれたら怪我では済まないだろう。

 ソルジャーというだけあって、ワーカーアントよりも戦いに向いているのだろう。

 そうしているうちに、ソルジャーアントに気が付いた1匹のワーカーアントが近づいてきた。お互いに触角を触れ合わせ、相手を確認している。

 どうやら確認が終わったらしく、ワーカーアントは穴掘りに戻っていった。

 ソルジャーアントは巣の構造を確認するようにうろうろしながら、入り口方面へと向かっていく。入り口近くの大部屋に辿りつくと、その周囲を徘徊してパトロールを始めたようだ。


 ポイントもなくなり、できることが無くなってしまったので、次の予定を考えることにする。


 ワーカーアントとソルジャーアントをさらに召喚し、ダンジョンの拡張を急ぐべきか、いまだに召喚できていない、マザーアントを狙うべきか。第2階層を作り、ダンジョンの領域を拡張して、1日当たりの獲得DPを増やすのもいいかもしれない。

 しかし、1階層の拡張がほとんど進んでいないうちから第2階層を作ってしまうのもどうかという気はする。


 どれも捨てがたい選択肢であり、なかなか決まらない。今後の方針についてあれこれ悩んでいるうちに、1日が過ぎていくのであった。

ダンジョン名:-

階層数:1

深さ:10

DP:20P

総戦力:70

ダンジョン解放まで残り49日


あとがきのダンジョンステータスの表示を少し変更します。

あと、ややこしくなりそうなので1話終了時点のステータスを表示することにしました。

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