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#2 ダンジョンを作ろう

 さて、さっそくダンジョンを作るとしよう。

 メニューから、ダンジョン作成画面を呼び出す。


 まず最初に、ダンジョンの入り口を設置する場所を決めるようだ。


 ……これはかなり重要だろう。危険な場所を選んでしまえば、ダンジョンが成長しないうちにモンスターや人間にやられてしまう可能性がある。


 ダンジョンコアから送られてきた情報によると、この世界には3つの大陸がある。……正確には4つなのだが、残りの一つはだいぶ昔に小さな島々になってしまっているようだ。


 まず、主に人族が住んでいるアストレア大陸、次にドワーフやエルフ、獣人などが住むプレディア大陸、そして人族と敵対している魔族が住むディタルニア大陸の3つだ。


 プレディア大陸は自然の脅威が強く、未だ未開の地が多いようだ。ここは候補から外すとしよう。

 ディタルニア大陸は地上を強力なモンスターたちが闊歩していることが多いようだ。ここもダメだな。


 となると、消去法でアストレア大陸となる。

 この大陸は平地が多く、そこまで強力なモンスターがあたりを闊歩している。ということも少ないようだ。ここで決まりだな。


 アストレア大陸をあちこち探し回ってみる。よさそうな地形やモンスターの少ないところは、たいていが近くに人が住む場所があるようだ……まあ当たり前か。

 危険な環境やモンスターの脅威に晒される代わりに、人のいない場所にするか、はたまたその逆か……どちらがいいだろうか。


 おや? ここなんてどうだろう。山脈と大きな森の間に挟まれた草原がぽっかりと広がっている。モンスターもあまり生息していないようだ。

 近くには大きな街もない。小さな村のようなものがちらほら見えるくらいだな。

 さらに、2つの国の国境沿いに位置しているため、大軍を送られて一気に制圧される。ということもたぶんないだろう。……ここで決定だな。


 入り口を山のふもとにある草原の真ん中あたりに設定すると、入り口の地下に箱状の領域が作られた。


 キューブは1辺がおよそ1kmほどの大きな立方体型の領域だった。

 一度ステータスを確認すると深さが1になりDPが900に減っている。

 さらにその下にキューブを作ると深さが2になり、DPが700に減る。もう一つ作ると深さが3、DPが400になった。試しに入り口近くのキューブの横にキューブを作る、今度はDPが300になった。

 どうやら深さに応じて、キューブの作成に必要なDPが変わるようだ。

 おそらく深さ×100ポイントといったところか。


 次にダンジョンの環境を変えることができるらしいが、ポイントの消費が大きい。一番低い草原で1000ポイント、火山や雪山に至っては10万ポイントである。さらに環境の維持のためにもコストがかかるようだ。

 残り300ポイントと全然足りないので飛ばして次の項目を見る。


 次は、ダンジョン内の操作だ。今のところ通路や部屋の作成、モンスターの召喚、罠の設置などができるらしい。


 試しに通路を作ってみる……縦横2m程の通路をたった5m掘っただけで20ポイントもDPが減ってしまった。これではすぐにDPが尽きてしまう。

 環境の設定の説明を見た限り、設定された環境には最初から空間が広がっているらしい。


 これは、今日はもう何もせずに、草原を設置できるまで待つべきだろうか……

 いや、ダンジョンの出来具合は命に直結するのだ。他にも何かないか考えよう。


 5m程の通路をウィンドウ越しに眺める。通路は土で囲まれているようだ……土か、この部屋も周りは土だ。

 最初に確認するときに少し掘ってみたが、問題なく掘ることができた。おそらくダンジョン内も同じだろう。


 しかし、コアルームとダンジョンはつながっていないようだ。そもそもつながっていたとしても、人力で掘るなんてどれだけかかるか……

 ならばやはり草原の設置を待つか? ……しかしモンスターも見てみたい。……そうか! モンスターだ! 呼び出したモンスターに穴を掘らせればいい!

 こんな簡単なことに気が付かないとは!早速モンスターのリストを見て、いいモンスターがいないか探していく。


 ゴブリン、ウルフ、ジャイアントアント――アリのモンスターか。

 ジャイアントアントは、その名の通り巨大なアリのモンスターのようだ。アリの巣型のダンジョン。これはいいかもしれないな。

 よし! 決まりだ。ジャイアントアントを選ぶとしよう。


 現在召喚できるジャイアントアントは3種類。ワーカーアント、ソルジャーアント、マザーアントのどれかだ。それ以外は一度見ていないと召喚できないらしい。


 ワーカーアントは100ポイント、ソルジャーアントは200ポイントで召喚できる。

 マザーアントは――2万!? いきなり飛びすぎだろう。とても召喚できそうにない。


 ワーカーアント、つまり働きアリだな。まずはこれを召喚する。

 ダンジョンコアが輝き、ダンジョンに作った通路内に、体長1mほどのワーカーアントが現れた。


 召喚したワーカーアントに通路を掘っていくように命令する。通路を掘って出てくる土はどうしようか。

 土の処理に使える機能がないか調べていく。ふむ、倉庫機能があるようだ。ダンジョン内の指定したアイテムを回収できるらしい。


 土なんてものが回収できるのか不安だったが、杞憂だったようだ。ワーカーアントの掘った土が、倉庫の中へと回収されていく。

 ついでに回収機能で壁が掘れたりしないかと期待したが、さすがにこれはダメらしい。


 倉庫の容量は無限のようだ。吸収してしまうか聞かれたが、いつか使う機会もあるかもしれないので取っておくことにする。まあ容量が無限なのだから使わなくても邪魔にはなるまい。


 倉庫の機能を試しているうちに、ワーカーアントが通路を掘り進めていき、その先に小部屋を作ったようだ。

 何か口から液体のようなものを出しては、壁に塗り込んでいる。どうやら崩れにくくなるように補強しているらしい。


 小部屋の中に、さらにワーカーアントを1匹追加する。

 残り80ポイントになってしまった。仕方ないので、ワーカーアント2匹にダンジョンの拡張を続けるように伝えておく。

 できることもないので今のうちにこの世界について確認しておこう。


 まず、この世界の文明は一部発達しているところなどもあるようだが、おおむね地球の中世レベルといったところだろう。


 ダンジョンやモンスターがあるところから想像はできたが、剣と魔法のファンタジーのような世界だ。


 人族の呼ぶくくりではあるが、人種は人族、亜人族、魔人族に分かれている。

 亜人族には獣人、エルフ、ドワーフなどの人に似た特徴を持つ種族がまとめられている。

 魔人族だけが亜人族から分かれているが、どういうことなのだろうか。


 亜人たちが住むプレディア大陸には、魔術国家プレニシア王国、鍛冶国家エレンハル王国、そして世界樹と呼ばれるとてつもなく大きな木の周囲に位置する、森林国家ハルティア連邦が存在しているようだ。

 世界樹のある森は、プレディア大陸の1/4ほどを占めており、その外には大きな山脈や、砂漠などもあるようだ。


 魔人族が住んでいるディタルニア大陸には、他の種族との共存を掲げるサルタニア王国と、魔人族至上主義を掲げるディストア帝国が存在する。

 ディストア帝国は代々魔王と呼ばれる王が統治しており、力こそ正義といった風潮が広まっている。

 主張の合わないサルタニア王国とは何度か諍いが起こっており、緊迫した情勢のようだ。


 そしてこのダンジョンが存在している、アストレア大陸に所属する国家は4つ。


 まず西側に存在する、宗教国家ホレイシア聖国


 この国は、創成神の教えを伝える創世教という宗教の総本山があるようだ。

 国家の在り方に宗教が深くかかわっており、実権は創世教の教皇が握っているらしい。

 魔人族を敵視しているようで、たびたび魔人族からの開放を叫び、ディタルニア大陸へと遠征隊を送っているようだが、侵略の状況はあまりよくないようだ。

 さらに、この国には神の使いである勇者を召喚する秘術が伝わっているらしい。

 このダンジョンからは最も離れた場所にある国である。できれば関わりたくないものだ。


 次に南に位置する農業国家アレーナ共和国。


 このダンジョンが位置している国でもあり、肥沃で平坦な大地をもつ農業大国だ。

 国としてはそこまで大きな兵力は持っていないようだが、周辺の国の食糧事情を握っているため、平和を維持することができているようだ。

 国民の気質は、穏やかで争いを好まないタイプのようだ。ダンジョンを設置するのにうってつけである。


 北にあるのが騎士国家エンティア王国


 古くから続いている王国であり、強力なことで有名な騎士団を所有している。

 このダンジョンはエンティア王国との国境沿いに位置している。

 また、エンティア王国には冒険者ギルドの本部が位置しているようで、モンスターの討伐や、ダンジョンの攻略が盛んであるらしい。


 最後に、このダンジョンから山脈をまたいで東にあるのがアストガルド帝国。


 エンティア王国とは山脈を跨いでいるため続いていないが、アレーナ共和国とは大きな荒野を挟んで陸続きになっている。

 大規模な軍隊を保有しており、たびたび侵略戦争を行っているが、各国の同盟軍に押されて成功には至っていない。

 最近では皇帝が代替わりし、それに賛同できない領主たちが反乱を起こしている。

 現在は反乱の鎮圧にかかりきりで、侵略戦争に軍をまわす余裕もないようだ。


 さて、そこそこ時間が過ぎてしまっていたようだ。


 ワーカーアントたちの様子を見ると、順調にダンジョンを拡張していっているらしい。

 ダンジョンコアの機能や、世界情勢の確認もだいたい終わったので、ひと眠りすることにしよう。


 ワーカーアントたちに作業を続けるように伝え、固い土の上に寝転がる。

 やはり土の上で寝るのは背中が痛い。せめてベッドか布団が手に入ればいいのだが。

 剥き出しの土ばかりの殺風景な部屋を見回した後、眠りへと落ちていくのであった。

とりあえず説明回っぽくなりました。

しばらくはダンジョンの拡張になります。


保有DP:80P

獲得DP:300P

モンスター維持コスト:1P


ダンジョン名:-

深さ:3 階層数:1

残りDP:379P

総戦力:20

ダンジョン解放まで残り59日

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