用語解説 七章
本日?4回目の投稿です。
・魔具
魔力の伝導率が比較的高い武器が魔力などを定着させ、変質したもの。別名魔装。
その武器が使われた状況に合わせて成長するため、その効果は千差万別である。
特定のモンスターに非常に高い効果を発揮する物や、魔法の適性が無い者でも代わりに魔法を発動してくれる物、特殊な効果は無いが高い切れ味や耐久性を持つ物が存在する。
世界には聖具や神器と呼ばれる強力な装備品が存在するが、それらも魔具の一種である。
触媒を利用したり、魔法を込めることで強制的に魔具を作ることも可能だが、使いこまれることで魔具となった武具よりも性能は劣る。ただし、それらの武器も長期間の使用で成長させることが可能。
・ネームドモンスター その2
モンスターに名前が付けられ、その名が特徴と共に広まったことで僅かな神性を得たモンスター。モンスター版の英雄とも言えるが、その条件は英雄よりも遥かに緩い。
モンスターの中にはさらなる神性を得ることにより、神に至る個体も存在するため、その成長自体に限界は存在しない。
時代が進むにつれ、ネームドモンスターの数は増加する傾向にあるが、これには人口の増加や冒険者の活動が深く関わっている。冒険者が強力なモンスターと遭遇し討伐できなかった場合、その情報はギルドにもたらされ個体の識別のために名前を付けられて管理される。
ギルドを通してモンスターの情報は冒険者たちに共有され、その活動を通してモンスターの名前が広まる。一定以上の知名度を得たモンスターはネームドモンスターへと成長する可能性がある。
冒険者ギルドもネームドモンスターの名前が管理時に付けたものと一致していることは把握しているが、その関連性についての詳細は未だによく分かっていない。
ネームドモンスターを研究しようとした研究者は多いが、モンスターの蔓延る場所での観察は危険度が高く、発生頻度自体もそこまで高くはない。さらに、観察対象が討伐されることもあり研究はあまり進んでいない。
・黒騎士
いつからかアストレア大陸で語られるようになった都市伝説の一種。闇夜に彷徨う漆黒の騎士が、魔物や罪人を倒しているとされていた。
目撃証言は多々存在するが直接話した者はおらず、本当に実在するのか、実在するとしたらその正体は何者か――確証を得ないまま、さまざまな憶測が飛び交っている。
一説には至近距離で目にしてしまうと発狂してしまうとも言われ、相対したとされる盗賊団はほぼ全てが廃人となっていたとの情報もある。その武勇にあやからんと黒く染めた武具を愛用する騎士も多く、それらの騎士のたてた武功の集合体が黒騎士であるとの説も存在する。
一部の地域では、親の言うことを聞かない子供に、「悪い子は黒騎士が連れに来る」などと言って聞かせる地域も存在する。
その正体は不死身の神性と寄り集まり濃縮された呪いの効果でデミアンデッドと呼ぶべき状態になった、『不死身』の英雄ガーランドである。
・呪い
生物の悪感情と瘴気が結びついて発生する変質した魔力。
普通に生活を送るだけでも一定の量が発生し、取り込んだ生物に悪影響を及ぼすが、少量ならばほとんど害も無く浄化される。
依代を得て集まった呪いは、その効果によって新たな呪いを呼んでしまうことがある。
大量の呪いを宿した物品は呪具とも呼ばれ、特異な効果を発揮することもある。一見優れた効果を持っているように見えて、使えば使うほど泥沼に嵌るように抜け出せなくなるような効果を持った物が多い。
呪具の中では所有者の命を吸って願望を基にした光景を見せる『幸せの絵画』などが有名である。呪具を手にし、それを手放すことができずに破滅する人間も多い。
精霊が呪いによって汚染されてしまう現象が確認されており、それらの変質した精霊を『悪魔』と呼ぶ場合があるが、悪魔型のモンスターとは別種の存在である。
『悪魔』と呼ばれるようになった精霊は甘い言葉で生物に近づき、その欲望から発生する呪いを集めて成長する。中には生贄を要求するものも存在しており、これらを邪神の使徒として信奉する勢力も存在する。
・アンデッド
不死者、穢れた者と呼ばれるもの。
モンスターの一種であり、瘴気やマナではなく呪いを糧にして活動する。
全てのアンデッドは心臓部となる魔核が存在しており、これは人間やその他の生物から発生したアンデッドも同じである。この魔核を破壊することで、全てのアンデッドは活動を停止する。
レイスやゴーストと呼ばれる幽体状のモンスターも存在しているが、これらは極小の魔核が集まった群体であると考えられている。粉塵状の魔核には物理攻撃が効きにくく、討伐の際は魔法による攻撃が有効となる。
死体から発生したアンデッドはその殆どが何かしらの未練を持っており、その未練を叶えるために行動し、満足すると自壊する。
呪いを集め、呪いを呼び、呪いをまき散らすアンデッドはあらゆる生物から忌み嫌われる存在であるが、同時に浄化しきれない呪いを集め、その身の崩壊とともに消し去る役目も持っている。
・竜の血
高い毒性を持ち、口にしたものを爛れさせ死に至らしめる。経口摂取さえしなければ、皮膚に触れても効果は出ないが、間違えて飲み込んでしまわないように注意が必要。
竜の血に含まれる毒は、空気に触れてから数時間で完全に分解され無害な液体へと変化する。竜の肉は非常に美味であるとされているが、調理の際には外気に触れさせ毒抜きをする必要がある。
屍竜がまき散らす毒も血に含まれるものと同じ種類であり、アンデッドになった際に残された骨から滲みだす形で分泌される。
子供を産んだ母竜が、母乳の代わりに与える血液には毒が含まれておらず、その代わりに毒が変質した特殊な物質が含まれている。これを摂取した場合、竜種に酷似した治癒力と各種毒物への耐性を得ることが可能。
竜の血を飲んだ聖者の話は有名であるが、同時に竜の血を飲んで死んだ者も数知れず存在する。そのため、聖者の話は脚色がなされたものであるとされている。
毒が含まれていない状態の血を手に入れることは不可能ではないが、子育ての時期の母竜は非常に気性が荒く、勝てないと判断した場合は相討ち覚悟で襲い掛かってくるため非常に危険。中級以上の竜種を倒せる人間も少なく、竜が繁殖期を迎える周期は非常に長く、なおかつ採れる時期も数ヶ月しかないため非常に希少である。
竜の血に含まれる毒の正体は、竜の血中に存在し、高い再生能力と耐性をもたらしている物質である。
他の生物がその物質を血中に取り入れた場合、あまりに高い再生能力に適応できずに細胞が崩壊し、皮膚が爛れる。そのため、もしも高い適性を持っている場合は、理論上ではあるが竜の血を飲んでも死なずに力を得ることは不可能ではない。