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94、契約


 リア・アストレア。


 このリアヴェルト王国の第四王女にして、鋭い目つきと輝く金髪が特徴的だ。少女というには垢抜けているが、女性と呼ぶにはややあどけなさが残る。だが、それら何を差し置いても彼女を彼女たらしめるのはその剣の腕。あのチートの権化、龍ヶ城さえも圧倒し得るほどの剣技を修めている。

 決闘のいざこざで国王にオレの騎士になるように任命されていたり、一緒に幽霊退治をしたりとオレからしたら迷惑なぐらい縁がある相手だ。


「……はぁ。帰ってきたら罵倒の一つでもしてやろうと思っていましたのに……死にかけている姿を見て気が削がれましたわ」


「え、何でオレが罵倒されんの?」


「自分で分かるまで教えませんわ」


 こちらをにらみつける瞳は、その奥に底冷えするような怒りを秘めていた。いや、秘められてないけどね、見るからに怒り心頭って感じだけどね。何故ですか。

 身に覚えの無い怒りにさらされて冷や汗を垂らしながらも、命を救われた事実には素直に感謝する。


「助かった、もうちょいで意識飛ぶとこだった」


「……テルマサがあの少女を引き付けてくれていましたから」


 見れば龍ヶ城は肩から血を流し、だらしなく右腕を垂らしていた。だらしない、というのはやや失礼かもしれない。彼は一応はオレのために戦い、傷ついたのだから。


「……十一君が無事で良かった」


「……大丈夫か、龍ヶ城」


 流石に自分を助けるために怪我を負った相手にまで吐く毒は持ち合わせていなかった。


「ご覧の体たらくだよ。もっと早く君を助けられたら良かったんだけど……すまない」


 自分が怪我を負っている状況でも、相も変わらず他人の心配を最優先にするその聖人君子っぷりがやはり薄気味悪い。何故悪態の一つでもつかないのだろうか。

 こいつはどんな状況でも英雄様なのは変わらない。

 いまさらの当たり前な事実に辟易しながら、オレはリアと龍ヶ城に目配せする。


「さてと、アルティ。これで三対一だ。ほかの勇者たちもそろそろ視力を取り戻すころじゃないか?」


「……いやー……なんていうか、また強い人が来ちゃったなぁ……それに輝政君は、アタシが言うのもなんだけど生物やめてるし……」


 アルティがその表情から笑みを消し、頭を掻き毟った。


「あー、もう、やめだっ! 止め止めっ! おわり! これにて終幕、めでたしめでたし!」


「…………は?」


 オレの口から気の抜けた声が漏れるが、それはリアにしろ龍ヶ城にしろ同様。彼らも珍しくその端正な顔を驚きに彩っていた。


「というわけで、戦いはこれで終わりにして、取引しよう!」


 唐突な提案に思考が付いていかず誰しもが次の句を継げない。

 最初に我に返ることが出来たのはオレだった。


「……待て、アルティ。戦い終わり、ってそんな一方的に言って終われるものじゃないだろ……」


「いやいや、最初から言ってるじゃん! アタシ、戦う気なんて無かったんだってば!」


 そう言われてはっとする。


 ……確かに、そうだ。


 こいつは最初から「戦う気が無い」と宣言していた。だがそれは建前や口上に過ぎず、戯言だとオレはたかをくくっていた。


「まさか、本気で言ってたのか……?」


「本気も本気、アタシ、嘘はつかない派だからね!」


 その言葉の真偽は定かではないが、先ほどから戦意が萎れているのは確かだ。アルティに抱いてきた違和感がようやく氷解する。常に笑みを浮かべていたのは本気で戦っているつもりがなかったからか……


「そもそも、アタシが本気でやるなら、輝政君は『形質変化』後の一撃で睡眠毒じゃなくて致死毒を盛るし、優斗君だってわざわざ生け捕りになんてしなかったよ?」


 ……そうだ。


 先ほどは思考が停止してしまったが、あいつの行動はおかしい。十六夜への一撃を致命傷にすることも出来たはずなのにただ気絶させるだけ。龍ヶ城への攻撃には殺傷能力の無いであろう睡眠毒。オレにいたっては頬を舐めるほど肉薄しておきながら一切攻撃することなく捕縛。勇者たちの視力だけを奪って放置しておいたこともこいつの戦意の無さの表れじゃないのか。


 今までの戦闘を思い返し、そして、そもそもあれだけ溶け込んでおきながらこれまで勇者を一人も殺していない事実に思い当たる。


「アルティ、お前、あんだけ違和感無く潜入してて、どうして勇者一人も殺してないんだ?」


「そりゃ、殺す気が無かったしね! まあ、それだけじゃないんだけど……」


 アルティの尻切れな言葉に首をかしげると。彼女は奥歯をカチカチと打ち鳴らした後に苦笑して言った。


「輝政君がずーっとこっちを警戒してるから、何も出来なかった、ってのも大きいよ?」


「龍ヶ城が……」


「そう。ホント、輝政君って怖いんだよ? だって、昼夜問わず、違う部屋にいてもこっちの気配ずーっと探ってるんだもん。もしかしなくてもここ一ヶ月ぐらい寝てないんじゃない?」


「……僕には、それぐらいしかできなかったからね」


 絶句。


 何を言っているのかよく分からない。

 もちろん、言葉の意味としては良く分かる。

 龍ヶ城輝政は、この一ヶ月間、一睡もせずにアルティ・フレンを監視していた。

 こともなげに言っているが、異常だ。異常などという言葉すらも甘い。常軌を、理解を逸している。

 目の前にいる美丈夫が皮肉抜きで化け物に錯視される。


「……まあ、とりあえず、お前に勇者をどうこうする気が無いってのは分かった。じゃあ、何でわざわざ姿偽ってまで潜り込んでた? 偵察か?」


 六将軍がわざわざ? もしオレが六将軍なら油断している間に全滅させる。

 その意図の読めなさに問いを投げかけると、アルティは待ってましたと言わんばかりに満面の笑みを浮かべた。


「さっすが、優斗君! そう、それこそがさっき言った取引の内容にも関わってくるんですよっ!」


 アルティが手をたたいてうれしそうに笑う。

 無邪気に、無垢に、けれども獰猛に。


「で、取引ってのは何だ? 流石に魂寄越せとか言わないよな?」


「あははは! 言わない言わない! そんな低級ゴーストじゃないんだし!」


 からからと笑っていたアルティが突然その顔から表情を消し、神妙に取引内容を告げた。


「アタシがこの取引で欲しいのは魔力。アタシが差し出せるものは、アタシの命以外全て」


 少女が、淡々と自らの存在すべてを取引台に載せた。



「取引相手は――――――優斗君、キミだよ」



 彼女の口が小さく動いた。

 耳に入ってきた単語を飲み込むのに時間がかかる。

 さっきからそうだ。こいつも龍ヶ城もオレの予想し得ない事実をぽんぽん出してきやがる。


「……聞き間違えたんだが、もう一回頼む」


「うん。アタシは魔力が欲しい。見返りにはアタシの命以外の全部あげる。だから取引に応じて欲しいな、優斗君」


「やっぱオレかぁ……」


 何度聞いても事実は変わらない。

 リアも龍ヶ城もぽかーんとした顔でオレとアルティの顔を交互に見ている。

 いや、オレがそうしたいぐらいだよ。


「……ちなみに、魔力が欲しいってどういうことだ?」


 六将軍との取引など、悪魔の契約並みに怪しいものだが、話を聞いておいて損は無いはずだ。


 ……リアも龍ヶ城もいるから何か起こっても大丈夫だろう。


「そのまんまの意味だよ! 優斗君ってとても質のいい魔力持ってるじゃない? それに大量に!」


「いつ知ったんだそんなの……」


「ん、さっきほっぺたの傷舐めたとき!」


 あのときか……


 こいつ、人の血を舐めたら魔力が分かるようなスキルを持っているのだろうか。


「質のいい魔力を大量に持ってる人を探しててさ。勇者なら一人ぐらいそういう人もいるかなぁってこの一月ぐらい探してたわけ」


 それが潜入の理由か。


「だから、困らない程度でいいから、これから毎日ちょっとずつ分けて欲しいんだよね!」


「何に使うんだよ」


「よくぞ聞いてくれました!」


 魔力の使い方にろくなものなど無いとたかをくくっていると、アルティがうれしそうに言った。


「アタシの夢はね、誰―もいない場所で、もふもふした生き物たちの楽園を作ることなんだ!」


「…………は?」


 今日、何度この文字をつぶやけばいいのか分からないが、今回は龍ヶ城とリアの口からも漏れていたから許して欲しい。


「そう、アタシのアタシによるアタシのためのもふもふ天国! その野望のために、アタシは全てをささげてもいい!」


「何言ってんだこいつ」


 インド人じゃないオレもびっくりだよ……

 いや、マジで、何、言ってんの、こいつ。


「嘘だろ……?」


「ともーじゃん?」


「うぜぇ……」


 縋るような希望をこめて放った言葉は一蹴される。


 いや、流石に、嘘だろ。え、嘘だよね。六将軍とかいういかにもボス的な風格漂わせてる奴がこんな適当な野望のために生きてるって、何。

 決してオレは理解力が無い方ではないと思っていたが、ちょっと自分の能力に自信無くなって来た。ダメかもしれない。

 困惑と動揺に打ちひしがれているのはオレだけではないらしく、リアが今まで見たこと無いような微妙な表情で言った。


「あの、この人、何を言っていますの……?」


 縋るような目でオレに答えを問うリアは珍しく不安げで、本当に心の底からその言葉を漏らしていた。だが、オレの答えは頼りない。


「すまん、オレも分からん……」


 オレの返答に絶望した表情を浮かべるリア。


 こいつ、完全にオレらを困惑に陥れやがった。まさかそういう戦術か? こちらの動揺を誘って、隙を見て龍ヶ城やリアを攻撃するつもりなんじゃ……


「というわけで、どうかな、優斗君」


「どうかな、と言われても……そもそも、お前がそのもふもふ天国とかいう怪しい楽園を作り上げるのにどうして魔力が必要なんだ?」


 オレの中でその二つの項目は直結していない。


「ん、それは簡単! 魔物が魔素から生まれる生き物だっていうのはいいよね?」


 無言でうなずく。


「ってことは、魔力さえあれば魔物っていうのは作り放題なの」


「なっ……!?」


 初めて聞く情報に驚愕する。

 魔物の意図的な生産なんて聞いたことがない。


「そうやって驚いた顔を見せてくれるとアタシも秘密を暴露した甲斐があったね!」


 奴の掌で踊らされていることをややつまらなく思いながらも、オレは一人得心する。

 なるほどね、だからオレの魔力が欲しいわけか。

 こいつはオレの魔力を使って魔物を大量生産するつもりなのだ。そしてそいつらを用いて、その楽園とやらを築き上げると。


「……じゃあ、改めて聞くけど、どう? 優斗君」


 現状、微妙だ。


 アルティの言っている「魔力が欲しい理由」が本当である謂れは無いし、軍事利用や悪用することだって十分に考えられる。それに、奴が魔力を吸い取ろうとしたときに一瞬で全部持ってかれてはい戦闘不能ってこともある。ましてや、アイツの提示するメリット「命以外の全て」という文言が胡散臭い。奴は奴隷のような扱いを受けても何らかまわないと言うわけだ。そんな状況に自分を落としてまで、先ほど言っていた「もふもふ天国」が欲しいのか? というか、そもそもこの契約自体に強制力が無い。


「あー、色々難しいこと考えてるね?」


「……そういう、タチなんでな。ちなみに断ったらどうなる?」


「んー……ちょっと強引な手段に出ちゃうかも?」


 顎に指を当てて言う姿は愛らしいのだろうが、その発言は恐ろしい。


「十一君、まさか君、取引を受けるつもりじゃ……!」


「安心しろ。まだ、その気はねぇよ。ただ、この取引に強制力があって、こいつの言っていることが概ね本当なら、この取引の価値は未知数だ」


 六将軍を一人、自由に出来るという事実の持つ価値は大きい。

 すでにフォンズを隷属させてはいるが、アルティも偵察として送ることが出来ればその情報の信用度は跳ね上がる。

 互いに互いを監視させればさらに完璧だな。


「……アナタ、今悪いこと考えてますわね?」


「……いや、何のことかな」


 リアに内心の皮算用が見抜かれて冷や汗を垂らす。


「取引の強制力なら、大丈夫! こんなこともあろうかと……えーっとね……あったっ!」


「あ?」


 何だあれ、紙とペン……?


「聞いたこと無い? これ、魔法道具で『コントラクト』って言うんだけど」


「……ああ、ある。っつっても、資料で見たことがあるだけだ」


 魔法道具『コントラクト』。見た目はただの紙切れだが、契約に魔法で強制力を持たせることができる。こと異世界では契約を破ったとしても信用の喪失以外のペナルティが少ない。遠く離れてしまえば捕まえることも難しい。そんな状況で、この魔法道具は役に立つ。

 使い方は簡単だ。コントラクトに契約内容と破った際の罰則、両名の名前を書き込む。そして最後に血判を押せば、はい終了。

 それで契約は成立。コントラクトが二枚に分裂し、両名がそれを保管する。契約が破棄されるのは両方の契約書がともに全損したときのみだ。

 つまり、両方がそれぞれコントラクトを持っていればそれだけで契約は続行する。


「本当なら、仲介人ともコントラクトを使って契約することで、片方がもう片方から契約書を強奪する、なんて事態を防ぐんだけど……」


 ま、アタシと優斗君なら要らないよね?


 などと、アルティは笑う。


 確かにコントラクトなら契約の不履行は許されないが……


「まだ信用に足らないな」


「どうして?」


「簡単だ。一に、お前の用意したコントラクトが本物である確証が無い」


 そう。あいつの持っている紙が純正のコントラクトである可能性はそう高くない。ただの紙切れならいいが、何か細工でもされていたらたまったものではない。


「二に、六将軍であるお前にコントラクトの制約が効くか分からない」


 六将軍というばかげた存在にそもそもコントラクトなどという一魔法道具が効果を持ち得るのか。それに疑問を呈すことは決して無駄ではないはずだ。


「うーん……疑い深いなぁ……」


「一応は敵対者同士の取引だぜ? これぐらい疑り深い方がお前もオレのことを信用できるんじゃないか?」


 オレは魔族と敵対する気などさらさら無いが、向こうにその気が無いかはまた別だ。実際、フォンズはオレに敵対の意思が無くとも襲い掛かってきたし、こいつも同じである可能性は極めて高い。

 こいつとの取引に気が進まない理由はまだある。


「それに、そんな野望のために、凛を傷つけたのは流石のオレでも胸糞が悪い」


「……うん。それはホントに悪かったと思ってるよ? うーん、でも、気づかない方も悪くない?」


 アルティの無茶とも言える口ぶりに、勇者諸君が目を逸らした。


 どいつもこいつも……!


「まあ、それは私情だ。オレはこの契約に価値と確実性があるなら乗る」


「うんうん、そうでなくちゃ。じゃあ、これから街に行って、別のコントラクトを手に入れて来よう! うん、それがいい! 名案! よーし、決まったら早速行こー!」


 アルティがオレの下に駆け寄ってくるが、龍ヶ城とリアがそれを制した。


「うにゃ? 話聞いてなかったの? これから優斗君と街にデートしに行くんだけど」


 アルティがにへら、と笑いながら言うがその目は一切笑っていない。瞳の奥に攻撃性が隠しきれておらず、邪魔をする二人を力ずくでどかさんとする勢いだ。それだけ彼女がこの取引に本気であることが窺える。


 当然、リアも龍ヶ城も引けをとらない。厳然として隙を作らず、アルティの様子を見守る。


 一瞬で剣呑とした空気を出す三人にオレは拍手をたたいた。


「はい、そこまで」


「十一君?」


「リアと龍ヶ城はこいつ見ててくれ。オレが一人で街に行ってコントラクトを手に入れてくる」


「えー、一緒に行きたいー!」


「……来ようとしたら、その二人に全力で足止めされるぞ」


「……うへぇ」


 リアと龍ヶ城のタッグと戦う状況を想像したのかアルティが苦虫を噛み潰したような顔で首を振った。そりゃ嫌だろうな。オレだってこいつら二人が一斉に敵に回ったら土下座でも何でもするわ。

 そんなやりとりをしていると、リアと龍ヶ城が食堂の入り口を振り向く。

 何に気づいたのかとオレもそちらを向くと、そこにはいつの間にか見知った顔が立っていた。


「…………あのぉ、お取り込み中……ですかねぇ? そうですよねぇ……」


 自信が無さそうにつぶやく青年は、その薄緑色の髪を後悔に揺らした。


「……では、僕は失礼します」


「まあ、待て。お前、コントラクトとか持ってない?」

 オレは見知った顔に不躾な問いを投げかける。


「……一応、持ってますけど」


「よし、じゃあ、今から契約するんでお前立会いの下、コントラクトくれ」


「なんだか、ものすごい不躾な要求を複数されている気がするんですけど」


「いや、お前商人だろ?」


「何の答えにもなってないんですけど!?」


 ぎゃーぎゃーとわめき散らす緑髪の青年。なよなよとした細身に、ややウェーブがかった緑の髪が肩まで垂れる姿は中性的だが、確かに男だ。背丈はオレよりも拳一つ高い程度で、その気弱そうな目元や色白い顔は非常に頼りないが……


「まあ、頼りないけど頼りにしてるぜ」


「あの、もう帰っていいですか……」


 すでに疲れた様子でぐったりしているのは商人、エーミール・フォトンニア。知り合いと言えば知り合い、程度の付き合いだが、知らない顔ではない。

 彼の所属するバーミリオン商会は王国と癒着が強く、よく騎士団寮で市を開いたりしている。そのときにたまたま出会い、オレの家を斡旋してもらったりと何かと縁のある男だ。


「あ、こんにちは。リュウガジョウさん、それにリ、リア第四王女様!?」


「お久しぶりです」


 エーミールの挨拶に龍ヶ城が笑顔で言葉を返し、リアは目礼だけを返した。


「というか、何でこの食堂こんなにボロボロなんですか……」


 すでに勇者たちは復活したのか食堂の端でこちらを睨んでいる。十六夜穂華は幸か不幸か未だに眠っているようだ。


 唖然とするエーミールに紆余曲折をいい感じに端折って説明する。


「と、まあ事情は今言った通りだ」


「いや、コントラクトを用意して欲しいっていうのはなんとなく分かったんですけど、何で僕まで?」


「契約に不正が無いか見てもらおうかと」


 コントラクトという魔法道具の存在をいくら書物で聞きかじっているからといってオレは実際の契約をしたことが無い。さすれば、経験者に見てもらいその公正性を見極めてもらうほか無い。


「……はぁ。逃げられそうな雰囲気じゃないですし、一応見届けさせて頂きますけど……」


「エーミールちょろい」


「あなたはもう少し僕に感謝すべきだと思います!!」


「感謝はしてるぞ。態度に出していないだけで」


「はぁ……騎士団様に新しい商談を持ちかけようと、来てみたらこれですよ……」


 騒ぐエーミールからコントラクトを強奪……もとい預かり、食堂の椅子でくつろいでいるアルティに向かう席に座った。

 リアと龍ヶ城が怪訝そうにこちらを窺っているが、いきなり切りかからないのは相手の動向が分からないからだろう。見ればいつの間にかアルティの肌の色が人間のそれに戻っていた。腕や足の変形も見られない。


「十一君、本気で言っているのか? 彼女は魔族。それも僕らの倒すべき宿敵、六将軍なんだよ? そんな相手と取引だなんて……」


 見事に人間に洗脳教育を施された勇者様は、六将軍を敵としかみなせない。


「おいおい、そりゃあ流石に視野が狭いだろ、龍ヶ城。利用できるもんは全部利用すべきだ」


「その考えにはアタシもさんせーい! というか、こんな馬鹿げた戦争さっさとやめちゃえばいいのにね!」


「…………驚いた。六将軍って言うからには戦争賛成、人間許すまじってスタンスなのかと」


「いやいや! 六将軍って別になりたくてなったわけじゃないし! 徴兵制って、言うのかな? 勧誘されて利害が一致したからなっただけ。別に人間にうらみとかないよ? だって所詮動物でしょ?」


 六将軍も別に好き好んで戦争してるってわけじゃないのか……

 彼女の言い分は極論が過ぎるが、戦争が馬鹿らしいというとことには賛同できる。


「ま、戦争が大好きで仕方ないって奴もいるから! ……もう引き下がれないお年寄りもいっぱいいるしね」


 ……この少女、何かとよく見ている。魔族と人間が争う無益さ、その根底にある確執、オレらからするとあほらしいそんな動機で数多くの人が傷ついている。


「さて、与太話もこれぐらいにして、取引と行こうか」


「待ってました!」


「取引内容をこの商人に記してもらうが構わないか?」


「……うん。取引を持ちかけたのはこっちだしね! 別にいいよ!」


 アルティが納得し、改めてこちらに向き直った。


「あの、トイチさん」


「何だ、エーミール。トイレなら後にしろ」


「違いますよ!! 一応、ですね? 確認をしたいんですけど……」


「何だ?」


「こちらの方、今六将軍って仰いませんでした……?」


「言ったな」


「六将軍って言うのは、あの?」


「魔族の新戦力で人間側に甚大な被害をもたらしているあの六将軍だ」


 オレの懇切丁寧な説明にエーミールが遁走しようとしたところをがっちりと捕まえる。


「は、離してください!! まだ、僕は死にたくありません!!」


「ここでお前が死ぬとしたら、それは職務を放棄してアルティの機嫌を損ねたときだな」


 そう言ってアルティを見ると、彼女は何やら悪いことを思いついたようににやりと笑う。


「がおー!」


「ひいっ!!」


 アルティが両手を猫のように上げながら可愛らしく吠えると、エーミールが顔を青ざめさせながら席に戻った。


「こ、こ、これから、そ、双方の取引を仲介させていただくバーミリオン商会所属っ! エ、エーミール・フォトンニアです。こ、公正な取引を達成するべく全霊を尽くすことをここに誓います、はい」


 エーミールが間に立ち、震えながら口上を口にする。


「……では、まずお二人のお名前をお聞かせください」


「はーい! アタシは、アルティ・フレン」


「十一優斗」


「アルティ・フレンさんに、トイチユウトさん……と。では、以下、フレンさんを甲、トイチさんを乙とさせていただきます」


 そう言いながらエーミールが慣れた手つきでコントラクトに書き込んでいく。


「では、契約内容を教えてください」


「アタシは優斗君の魔力が欲しい。その代わりに、アタシの命以外の全てを差し出す」


「へ……?」


 素っ頓狂な声を上げるエーミールにオレが補足する。


「オレがアルティに提供するのはオレ自身の魔力だ。提供量については、そうだな……基本的には毎日、オレの魔力全量に対して三割ってところでどうだ?」


「なるほど。……でも、正確に三割なんて分かるんですか?」


「ああ、正確にきっちり三割測ることのできる手段がある」


「分かりました……アルティさんも構いませんか?」


「うん。あの魔力量なら、三割でも十分! あ、でも一つ。『基本的に』って言ったのはどういう意味?」


 流石によく言葉を聞いている。アルティという少女、何かと言動が馬鹿っぽいが、頭の回転が遅いわけじゃない。


「……ああ、それは簡単だ。今後、オレは旅に出てリスチェリカから長く離れることがあると思う。それに加えて予期せぬ戦闘などで魔力を消費するかもしれない。そんな状況でも、毎日三割持っていかれるのは現実的に不可能なんでね」


 当然の付則だ。あらゆる状況でも魔力を持っていかれるなどありえない。


「なるほどー……うん。いいよ。もし長期に渡ってここから離れたり、他に魔力消費があるなら魔力提供は無くてもいいや」


 アルティは少し悩んだ後にそう頷いた。


「ただし!」


「ん?」


「魔力提供が出来ない日の分の魔力は他の日にきっちりと貰いたいね!」


「……要するにツケってことか」


「そゆこと!」


 なるほどね……魔力提供できなかった日の分は別の日に多めに渡すことでトータルとして魔力提供量が同じになるようにして欲しいと。

 中々に考えている。


「分かった。それで構わない。だが、ツケの分の魔力の提供に期限は設けないことにする。現実的な範囲でお互いに話し合って決める。またその決定にはいかなる拘束力も無いものとする」


「へぇ……じゃあ、魔力を支払わずに死ぬまで逃げ続けるってことも出来るんだ?」


「そこはこちらを信用してもらうしかないな。そうだな……じゃあ、予めツケが発生するとわかっているときはツケの先払いも可能とする。かつ、ツケが存在している状況では最低四割の提供を義務とする。これにもさっきの『基本的に』という付則が付く」


 こうすれば、ツケの支払いを一生逃げ続けるということは無くなる。


「え、いいの、そんな自分に不利なこと言って?」


「オレの優しさがにじみ出てるだろ? ありがたく受け取っとけ」


 アルティは訝しげな視線でこちらを見定めていたが、やがて諦めたのかエーミールに問題ない旨を伝えた。


「加えてもう一つ。これからオレの魔力総量は増え続けるだろう。そうなれば当然お前に提供する魔力の量も増える。だから、これまで言ってきた魔力総量は、契約時点のオレの魔力総量とする。いいな?」


「うん。確かに増えるのは魅力的だけど、今の総量でも十分かな」

 エーミールが付則を書き加えていく。


「では、トイチさんがフレンさんに提供するものは魔力ということでよろしいですね。次に、フレンさんが提供するものですが……」


 そこでエーミールが頬をかいて困り顔を浮かべた。


「うん、アタシの命以外の全部」


「そう言われましても……」


 確かにおかしいと言わざるを得ない。

 オレがたかだか魔力の三割を持っていかれるのに対して、こいつは自らの全てを差し出すと言っているのだ。それはあまりに不釣合いな取引だし、こいつの魂胆が透けて見えない。


「本気で、言ってるのか?」


「あれあれ? 心配してくれてるの? やっさしー! 紳士! 紳士だね! 優斗君ってばかっこいい!」


 軽口でこちらの真面目な問いをいなす。


 ……こいつのこの態度は異常だ。やはり、コントラクトが効かないのか?


「ん、今、コントラクトの有効性が無いんじゃないか、って顔したね?」


「お前、心でも読めんのか……」


「優斗君だから、そんな感じかなぁと!」


 思考を読まれ冷や汗を垂らすが、アルティはそのままの気楽な調子で続けた。


「大丈夫。アタシだってコントラクトが効かないって訳じゃないよ? そもそも、アタシにコントラクトの制約が課されないなら、契約自体が成立しないからね!」


「そうなのか、エーミール」


「ええっと……その、コントラクトの効果が及ばないという人はいないと思いますが……もし仮にいたとしたら、契約成立という魔法の効果も及ばないので……恐らく、双方にコントラクトの罰則は生じないと思います。そもそもこの魔法道具は、人の魔導回路に直接干渉する類のものなので魔力を持った者なら誰でも効果があると思いますよ」


 一理ある。


 契約は成立したのに、罰則だけが生じない、などというのは微妙におかしい。契約の成立、罰則の実行、どちらも魔法道具の効果だ。後者だけを避けられるというのはありえないんじゃないか?


 まあ、そこらへんも大丈夫なようにすればいいのか。


「おっけー。まあ、お前にコントラクトが効こうが効くまいが関係無いような契約書を作ればいいだけだ」


「うわあ…・…! わっるい、顔してる!」


「オレがアルティ・フレンに求めるものは四つだ。一つ、魔族側の情報提供。軍事的内政的文化的な情報を逐一報告すること。二つ、他種族への敵対行動・攻撃など害を為すことの禁止。これは魔族から見た他種族ってことな。もちろん人間を含む。三つ、嘘をつかないこと。四つ、直接的な命の危険が無い範囲でオレの命令に従うこと」


 指折りをしながら要求を出し、「以上」と締めくくった。


「……あれ? 意外と良心的で、びっくり! ……なぁんて、四つ目が怖いね」


「わざわざ長い言葉言って煙に巻こうとしたんだがな」


「あはは! 流石に絶対服従の一文を聞き逃しはしないって!」


「エーミール、追加だ。五つ、以上の条項のうち四つ目を最上位のものとし、競合時には四つ目の条項を優先する」


「あはは! やるねぇ!」


 アルティが堪えきれずに笑う。

 要するにオレの出した命令が最優先で通るわけだ。ま、分かりやすく絶対服従ってわけだな。


「うん、でも、命の危険が無い範囲では、って言うのはこっちの言い分を聞いてくれたのかな?」


「直接的な、な。間接的なものだったらいくらあっても足りやしねぇ。だから、戦場に一人放り出すみたいな常識的に考えて死なせるような命令はしないってわけだ」


「……あはは。優しいね、ホントに」


「だろ? 咽び泣いていいんだぜ?」


 この命令は要するに、絶対に殺さないで有効利用してやる、という意味だ。オレが万が一一時の感情に任せて死なせそうになったとしても、この契約があればそれを阻止できる。こいつはオレを殺せないが、オレもこいつを殺せなくなるわけだ。契約が有効な限りは。

 加えて、アルティは気付いていないようだがこの四つ目の項目には重大なバグがある。それは、これを使えば、オレがアルティに提供した魔力を取り戻すことができるということだ。魔力を提供するとは言ったが、その後の返還についての記述は一切存在しない。つまり、こいつがこちらの不利益になるような使い方をするようであれば、それを直ちにやめさせることができる。


「アタシは、これでいいかなー」


「おいおい……随分とさらっと受け入れるんだな」


 仮にも絶対服従の条項を、こいつはことも無げに受け入れてみせた。諦観にも似た表情を浮かべる彼女に違和感を覚えるも、すぐに喉下を通り過ぎてしまった。


「じゃあ、罰則に行こう!」


「その前にもう一つ付則で付け加えてくれ」


 エーミールが首をかしげて続きを促した。


「オレこと十一優斗は、アルティ・フレンに対して、少なくともオレの道徳観や良心に照らし合わせて、非人道的なことはしないと誓う」


「…………え?」


 アルティがきょとんとした表情を見せる。それは初めて見せる少女の相応な顔だ。


「そのまんまの意味だ。ほら、エーミール付け加えろ」


「はい、喜んで」


 先ほどまで微妙な顔をしていたエーミールがやや笑みを湛えてコントラクトに書き加えた。


「どうしたエーミール、にやけて気持ち悪いぞ?」


「いえいえ、何でもありませんよ」


「何その全部分かってますよみたいな表情。心の底からキモいんだが」


「あの、流石に辛らつじゃないですか?」


 笑みから苦笑に変わったエーミールを視界の端に追いやって未だに呆けているアルティに向き直った。


「何だよアルティ、不満か?」


「え!? い、いや! 不満じゃないよ! うん、不満じゃない! いやー、優しいな! うん、優斗君とても優しい! 惚れちゃいそうだね!」


 テンションは先ほどまでと同じだが目が泳いでいる。


 いや、何、オレがちょっと良識的な提案をしたのがそんなに驚きですか、そうですか。オレ、どんだけ極悪非道の鬼畜だと思われていたんですかね。流石に泣くよ?


 だが、この付則は決してオレの良心によるものではない。無論、良心がないと言えば嘘になるが、基本的には打算に基づくものだ。

 アルティがどういった性格か、オレはその全てを掴めてはいない。だが、彼女が善性の存在であろうが悪性の存在であろうが、この項目には好意を抱くはずだ。善性の存在であれば、相手の良心に応えようとする返報性が期待できるし、悪性の存在であればこの項目がある限り自分は大丈夫だという油断が生まれる。そのどちらもが、オレに有利にはたらく。


 相手は六将軍という得体の知れない存在。これぐらいの心理的負荷はかけさせてもらう。

 無論、こんな打算に基づいた提案は非人道的な行為に含まれる可能性もある。だが、現時点でまだ契約は履行していない。つまり、契約の条項にいくら非人道的な内容が含まれていても、それはこの条項では弾けない。


「じゃ、次は罰則のお話と行こうぜ」


「う、うん! そうだねっ! それがいい、そうしようっ!」


「そうだな……破った際の罰則は……よし思いついた。オレが破った場合は、オレの提案した条項の四つ目の破棄。アルティが破った場合は、オレの魔力提供の義務の停止だ」


「……うーん、ちょっとそっちに有利かな?」


「まあ、それは認める。だが、絶対服従の破棄は十分な罰則だと思うがな。情報提供と交戦の禁止さえ守ってればあとは自由で、魔力提供が受けられるんだぜ?」


 アルティがうなりながら考える。

 もし仮に奴にコントラクトが効かなかったとして、オレに罰則によるダメージは一切無い。


「また、コントラクトの強制力がどちらかに及ばないと分かった時点でこの契約は破棄される」

相手はもしオレにコントラクトが効いていると思わせ続けたいのであれば、契約内容を履行するほか無いというわけだ。


「いやー、いやらしいなぁ……」


 頬を染めながらちらちらと意味ありげな目線を送るアルティ。

 その様子にリアが剣の柄をカチカチと鳴らした。これ絶対機嫌悪いやつだ。

 先ほどからリアも龍ヶ城もオレらの契約を見守る流れになってはいるものの、やはり二人とも魔族という存在に対してよい印象は抱いていない。

 彼らが、妙な真似をしないようにアルティを見張ってもらえるのはありがたいが、やや緊張が過ぎるのも胃に悪い。


「じゃ、こんなもんでいいか?」


「……うん、そうだね。いいんじゃないかな!」


 お互いにバックドアを残したまま、契約内容の確認を終える。オレはアルティに魔力の使い道を制限していないし、アルティはオレに絶対服従の制限を求めていないため、オレの指示によってはこいつはオレの魔力を使うことが出来なくなる。


 アルティも恐らく気づいているはずだ。だが、指摘しないのは利点があるからなのだろう。

 最初からこいつがもふもふ天国などという訳の分からない物を本気で作りたがっているとは思っていない。何か別の魂胆があるはずだ。

 しかし、この契約によって奴は魔力を他種族を害するために利用することが出来ない。つまりは、本当に無害なもふもふ天国とやらを作るしかないわけだ。


「では、お二人の名前をここに」


 エーミールがペンとコントラクトを差し出してくる。

 オレは身振りだけでアルティに先を譲った。彼女は、肩をすくめながらも大人しく名前を書いている。

 意外にも慣れた手つきで書き終えると、オレに紙とペンが回ってくる。見れば、彼女の指の血判も押されている。


 近くで見ても普通の紙にしか見えない。


「……ほらよ」


 名前を書き血判を押すと『魔力感知』が微弱な魔力を紙から感知した。恐らく契約が成立したのだろう。


「……では、エーミール・フォトンニアの名においてここに契約が成立したことを認めさせて頂きます」


 コントラクトが一瞬だけ淡く光り、二枚に分かれた。

 一枚をアルティに渡して、もう一枚はオレが受け取る。


「これからよろしく頼むぜ? 六将軍のアルティさん」


 口の端を歪めて手を差し出すと、アルティも八重歯をむき出しにして笑いながら言った。


「うん、よろしくね。――――だーりん!」


「……は?」


 オレの口から変な声が漏れ、リアの口から悲鳴のような声が漏れた。龍ヶ城とエーミールの口からは音すら漏れない。


「今なんて?」


「もう、何度も言わせないでよ、だーりん?」


「……すまん。オレは異世界から来た人間なんだ。この世界におけるダーリンの意味を履き違えている可能性がある。リア、ダーリンってどういう意味だ?」


「ワタクシに聞かないでくださいませ!?」


「痛った!? 殴らなくても良くない!?」


「トイチさん。ダーリンというのは、女の人が恋人の男性や夫を指して言う愛称ですよ……街中で言っている人を見たら二度見するぐらいには甘ったるくて恥ずかしい言葉ですけど……」


 エーミールが微妙な表情のまま代わりに答えた。


 ……待て待て待て。何でダーリン扱いなんだ。オレが何をしたって言うんだ。


「何でオレがダーリンなんだ。お前と嬉し恥ずかし恋愛イベントなんて起こした覚えは無いぞ」


「えー、だっていっしょにもふもふ天国を作るんでしょ? アタシがだーりんの魔力を使って、魔物を生み出す……ほら、これってつがいの営みなんじゃない? うん、そうだよね! つがいの営み! よってアタシたちは夫婦! ゆえに、だーりん! 愛してるよ、だーりん!」


「嘘つけお前なんだその愉しそうな笑みは!?」


「何ならアタシのこともはにーって呼んでよ!」


 アルティが心底愉快そうにからからと笑う。


 くっそ、こいつ散々からかいやがって……!


「改めてよろしくな、ア・ル・テ・ィ!!」


「つれないなぁ……」


 ケラケラと笑う六将軍の少女に、オレは引きつった笑みを返すばかりだった。


女の子と契約をして夫婦になる(嘘は言ってない)

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