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二話 店、敵、ピンチ、楽

(うわ、こいつは酷ぇ有様)


爆発しないのか不安になる大破した車、まだ食えそうだった食料や読んでみたかった漫画や雑誌は悲惨に飛び散り棚ごと押しつぶされて、器物が壊れるに壊れておりコンビニ店の中はとにかく酷く荒れている。

車体も巻き込んであんなダイナミックお邪魔しますを炸裂すればこうなるわな。


(うーん、生きてる人間が居なくてよかったとでも思えばいいのやら、こんなに散らかしてくれた奴らを恨むべきなのか)


まあ、今はとりあえず飯の確保を優先。食えるものはーと鼻歌歌いながら生き残った食料を探す。

ガラスや破損した器物が足元に撒かれて人間だった頃の柔い体じゃ容易く身を切りそこが深いブーツでもなければ店内を歩くのでさえ少し困難だろうし危険だ。

だけど今の俺の体、蜥蜴人の硬い皮膚の鱗には食い込むことすらできず感触でただ表面上ちょっと尖ってる足場だなーと淡々とした感想を抱きながら肌足で歩ける。


(早速便利だなーこの体、早いし頑丈、うっ、だけど少し鼻が良すぎるな)


嗅覚の能力も上がっており店内で匂う嫌な臭いや腐った食料の放つ腐臭に悩まされるも、その中から嗅ぎ分け保存性の高い携帯食料をゲットした。

店の物を勝手にくすねるとか思わないぞ、今じゃこの町は無法地帯ような自然に近いような訳の分からん弱肉強食の状態になってるようなモンだからな。つまり正当だ。


(うーん、生物系と弁当系の食糧を食いたかったけどグチャグチャで嫌に臭うし止めとくとして、生き残りの雑誌なんかないかなー主に週刊少年モノとか)


探してみるもやはり破れて全滅しているか本棚ごと引き摺った車の下敷きのようだ。退かしてまで読む気はないし諦めてさっさとお暇――ッ


「ゴガァッ!?」


突如襲った謎の衝撃に驚いて反射的に発した悲鳴。背後からの衝撃に俺は吹き飛ばされ車体にぶつかり鈍い音が鳴った。一瞬何が起こったのか理解できず、理解するまでほんの数秒の時間を有した。


(何がって熱っ!)


その間にまたもや何かが俺の身に襲ってくる。今度は熱、いや、炎を!? 店内が一瞬にして火災現場に姿を変える。


(ちょっとー! 炎ってこれ熱あっつ熱いアッチィッ!!)


高熱で燃え盛る炎に身が焼かされる! ヤバッこれピンチ!?

危機的状況に流石にこのままでは死ぬと直感した。すぐこの場から離れようとして炎とは違う別方向に走ろうとして踏み出し、


「ゴバラッ!?」


最初の衝撃よりも何倍もの威力の衝撃に押し出され店外へ吹っ飛んだされた。宙を舞い硬いアスフャルトの地面に落下して勢いで背中を引き摺りながら倒れる。

今度は何が、と定まらない思考で轟々と燃え上がる騒音と熱気が感じる方へ顔を向けるとさっきまで居たコンビニ店が炎上していた。


(あの炎のせいで車か引火物に火がついて爆発したのか?)


全身ミンチになってもおかしくないのに、至近距離までいてよく無事だったな。無事とは言い難いけど爆発で何処も肉体部分を失ってないし頑丈過ぎるだろうこの身体、流石に死ぬかと思ったんだぞ。

だけどこの身体も流石に爆発のダメージは大きい、痛む体に鞭を打ち四肢に力を入れ立ち上がり非難場所を探して視界に入った廃ビルに一気に向かい駆け出す。


風圧が身体に二回くらい掠ったが俺の走力が勝り直撃は当たらず、廃ビルのガラス付き扉をモノともせずぶち破って中に入る。

中には仕事に使っていたと思われる椅子やらパソコンがデッキデスクの上にあり邪魔な物を荒く退かしてデッキデスクを横に倒し即席の頼りなーいバリケードを張り一先ず逃げ込む事と隠れる事に成功する。


(はあ、はあ、死ぬかと思った。人生で一番死ぬかと思った、けどこのままじゃ黒焦げになる……あ、鱗が焦げてる)


焦げた鱗に息を吹きかけ冷やす事を試みる。炎もきつかったがさっきの爆発で背中が一番痛てぇ、苦痛を我慢しながらまずは冷静に正常に思考を巡らせる。

さっきから俺に向けられる風と炎、背中からいきなり強風に身体を打たれて次に炎を俺に向かって投射して焼蜥蜴しようとした。

自然現象とか偶然じゃないのは確実、これは完全に俺を殺す気満々で狙った俺の敵と思われる奴からの攻撃だ。初日からいきなり生命危機のイベント、漫画かよラノベかよと心中叫んだ。


(俺の人生初日の数十分からハードモードでしょーこれ)


あんな化け物や俺みたいな人外が居るんだ、風や炎を出す生物が居ても何ら不思議はないか。人間なら一回二回は死んでそうなモノを受けてよく生きられたな俺。

だけどこのままだと確実に死ぬな、幾ら頑丈で力も強い身体でも限度があるし使いこなせなければ意味がない。

どんな奴だったのかも見てねえしダメージがあるし見た感じヤバい感じの生物だったら勝算は低い、つーかねぇだろうな。

敵情報未知数、戦闘経験無し、負傷状態、うわあこれ素人でも分る程ヤバくない? 脱力して頭を垂れさせる。


(あーくそ、ヤバい、ヤバい、ヤバ過ぎて)



――笑みを抑えきれない



(面白い、面白過ぎて涙出そう)


俺は運が良い向こうからやってくるとは願ってもねえ事だ。ずっと非日常を求めてたんだ、こんなスリルを望んでいたんだ、手に汗握らす死ぬか生きるかの危機的状況に渇望していたんだ俺は。

確かに死ぬのは怖い、それは不定しない。事実さっきの目玉と鳥頭の戦闘の間に隠れて観戦していた、間に入ろうとしても他にも俺のような生物がいたのかという感動とあんな奴らに食い殺されたくないという恐怖で強く行きたい思うのとは別に身体が言うことを聞かず動けなかった。


だけど今は違う、生死の分かれ目に立たされたおかげか、負けっぱなしじゃ終れない性分のせいか、ちょっとだけズレた価値観か、敵と戦う確固たる決意が定まった。

それにまだ謎解きも終ってない、この身体の性能もまだまだ試したい、明確な目的を持っている今、俺は生きていたい、死にたくない理由がある。覚悟が決まり俯いてた顔を上げる。


(さあこの状況、死なずに楽しめるだけ楽しもうか)


取り合えず相手の出方、様子を見る。そしてできるだけの情報を集めて対策を何とか練りこの状況を打破! 気持ちと作戦とは言い難い作戦の整理がついた時に俺の敵と思われる奴が、入る際ぶち破った廃ビルのガラスを踏んだだろう音が俺の耳に静かに届いた。

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