表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Duty college  作者: スケトウダラの子
第1章 イレギュラーな人生
8/17

第6話

「じゃあ。やるか?」


「ええ。始めましょう。」

二人は一斉に同じ方向へ走り出した。男の俺が女に速さで負けるのはつらいな。帰宅部なのが原因かもしれない。20メートルほど走るたびに十字路があり、そこで急速に曲がることで若干差を広げられるが、このままでは持ちそうにない。


そこで俺は大広間を目指した。


大広間の手前に、直線40メートルほどの廊下がある。俺と鬼との差は約10メートル。


大広間へと続く廊下に差し掛かった時、俺は勢いよく跳び、そのまま壁を蹴り方向転換することで減速を最小限に抑えた。そのためか差は少々ひらいたが、それでもギリギリだ。俺は大広間の中が見えた瞬間中へと飛び込み、受け身を用いて鬼と対面した。


「残りは…接近戦か。」


鬼はそういうと、懐に向かって飛び込んできた。俺はそれに真正面から向き合い、腕をつかって勢いを受け流した。だが、鬼は体を流されながらも反転して手を伸ばしてきた。こちらも反転する際に手をはじいたが、とっさの行動のため足をもつらせ、その場に倒れてしまった。


鬼がそれを見逃すわけもなく、体勢を立て直し、こちらへと向かってくる。のんきに立ち上がってる暇はない。俺は素早く膝立ちに持ち直し、左足のすねを軸にし、右足で鬼の脚をかっさらう。倒れる鬼を間一髪かわし、両足を地につけ構える。

構えなおしたときにはすでに鬼が襲い掛からんとしていた。


かわせる。俺の頭に一瞬よぎった。だが、この緊迫した状況において、そういった慢心とも取れる考えはときに致命傷を生む。


完璧に間合いを取ってかわしたつもりだったが、鬼の腕は俺の顔の横をとらえた。


その時、周りの世界の全てが回転した。受け身なぞとれるわけもない。肩から上にかけて、もろに衝撃を受けてしまった。すぐさまおぼろげな眼で鬼をとらえるが、次の一手をかわせるわけもない。


「おわりだ!」


そういって一気に間合いを詰めてくる。


「…ああ。おわりだ。」


残り5秒。鬼の手は俺の背中をなぞっていた。


「おまえなら、そうするよな。よかったよ。背中を庇うふりってのは、案外疲れる。」


時計はゲーム終了の合図をした。


「ゲーム終了。お疲れ様。今回のゲームは、人、の勝利です。」


鬼は冷たい目で俺を見ていた。心底悔しいのだろうか。そんな鬼の姿と周りの景色が再びぐるぐると回りだす。景色は黒く歪み、徐々に白くなっていく。そして、全体がゆっくりと小さくなってゆく。いつしかそのちいさな点さえも消え、あたりに漆黒の静寂がおとずれた。


目を開ければそこには、白い天井が見える。だが、温かい雰囲気に包まれている。まわりをみれば、そこは一人部屋のようだ。一般の大学生の一人暮らしにとっては十分広く、家具は軒並み揃っていた。布団に寝かされているあたり、この大学の関係者は変なところで丁寧なようで。


布団から出るとともに、机の上のタブレットが声を上げた。


次話、3つのゲームを紹介します。

1つは隔離鬼ごっこ。残りの二つは、何でしょうね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ