第14話
忙しかったんです・・・
人はまばらで、エレベーターに乗るのを戸惑うもの、やってきて直ぐに入るものと様々だ。
時間指定は一応13:00〜14:00入室とされているが、一時間も幅があるのはなんなのだろうか。
俺は一応下見という名目で早く来たわけだが、猶予はあと40分近くある。まあ、ゆっくりしてても仕方ないし、さっさと入るか。
今日やるゲームは戦争ゲーム。
昨日なかったはずの立て札がかけられており、間違うことは無いだろう。
俺と相乗りするやつはおらず、このまま壁に捕まってたらどうなるのだろうかなんて考えてたらいつのまにかついていたようだ。
部屋の構造は以前鬼ごっこにはいる前と変わらない。ただ、変わったところといえば、ディスプレイに映る文字が装備一覧というところだ。
地形は旧市街、チームは4。
初期装備はAK-47とやらにした。名前は聞いたことがあるが、実際見たことは無い。映像でも。友人がサバゲーとやらをやっていたし、知ってることは知っているが、如何せん興味が無いもので。
自分から少し離れたところに装備とバッグ、銃がスポーンした。
一通り装備したが、冗談言えないほど暑いし重い。バッグが携帯式とはいえ、十分つらい。銃に関しては、これ持って走るのか?無理でしょ。
友人の家にあった使われてないダンベルより思いだろこれ。これ持って、走って、打つの?死ねるな...
持って外に出る。というか、持ってないと出れないらしい。これをどう使うのかわからんが、引き金を引けばなんとかなるだろう。
外にでたはいいものの、強い日差し、分厚い服。倒れるっつーの。
さてと。頼もしい仲間さんは...
顔はみたことがある程度の連中の中で、一人だけ見たくない顔があった。
あの女だ。
「やあ。あの時以来だね。あんた、名前は?」
前回のことは全く気にもしていないかのような振る舞いだった。
「あ..」
その言葉を口にしたとき、はと気づいた。この場合もCnameをいわなければいけないのだろうか?
「cryだ。おまえは?」
「prayer。」
気にしてるのは俺だけなのか?
開始までの時間、他の奴らとたわいのない話をしていた。
名前を知ったのはprayer、slenderの二人だけだった。前者はあの女。後者は名前に似つかわしくない体型をしたオタク気質のあるやつだった。
話のほとんどを相槌うつだけで終わらせていたが、それを気に入られたのかなんなのか、友と呼ばれた。性格がまっすぐらしいところを見ると、本気でそう思っているらしい。
開始のカウントダウン。
とりあえず適当なところまで進んでから物陰に潜んで、歩いてる奴を狙撃すればいいんだろうか。
如何せんこれの使い方がわからんもので。slenderは近接だか拡散だか意味不明なことを言っていたが、様は近くの敵に有効なんだろう。slenderの口から100mがどうたら言ってたが、それが近いにはいるのか疑問だ。
開始のブザーがけたたましくなる。それと同時に、俺もゆっくりと歩を進めた。
俺が2歩目を踏み切るかどうか。眼前に広がる廃墟は、見覚えのある天井に変わっていた。