第11話
「女になりたいのか?」
おれの耳に届くその言葉は、どこか陰湿な雰囲気を含んでいた。
「ルアラか。」
どうやら眠ってしまっていたらしい。ここについてのことを考えていた気もするが、もうわすれてしまった。
「女になりたいのかって、どういうことだ?」
「いや、起きないとカットするよって言っても起きなかったから。てっきりねてるフリかと。」
「どういう思考でその答えに至ったのか全くわからん。」
「僕の高貴な考えを理解できるのかい?凡人。」
こいつの声に違和感を覚えなかったわけではないが、僕という割に、随分と女っぽい話し方をする。あえて付け加えておくが、セクシーとか魅惑的な声、話し方をしているのではない。ちっこい女の子が大人っぽい喋り方を頑張ってる感じ。まさしくそんな感じ。
「聞く気もねーよ。それにきっと理解できないから。」
俺はめんどくさいのが嫌いだ。この上なく。意味のない事をやりたがる奴らの思考がわからん。否定はしないが、わからん。
「そう。じゃあ数時間かけて僕の完璧なる思考を理解させてあげよう。」
「マジでやめてくれ。」
こいつの数時間は数十時間な気がする。実際4分は40分と大差ないらしいしな。
「んで、そろそろ慣れた?」
「あ?」
「全てをとは言わないけど、大部分は理解できたでしょ?」
「さっぱり。なんで試験がこんなんばっかなのかおしえてくれや。やる気がでん。」
俺は何かを察した。今まで食い気味で喋っていたのに、試験に関する質問にだけ、明らかに間があった。不自然なほどに。
「教えてもいいけど、数十時間かかるよ?」
「かまわねえ。」
俺は意味のない事をダラダラとやるのは嫌いだ。だが、興味のあるものなら、何十時間だろうがかまわねえ。それが必要だと思うなら、なおさらな。
「本気?・・・あい。」
ルアラは今まで見他ことがないくらいに、正確に言うとみたことがなかったが、静かに話出した。