第10話
長い廊下を歩きながら、主要な部屋を見て回る。その間もスーツの男が口を開くことはなく、部屋についてはドアの横に書かれた文字を指し示すだけである。およそ5つほどの部屋を案内された後、ようやくホールへと着いた。ホールの中で待機しろと指示したスーツの男は、休む間もなく通ってきた道を引き返していった。
ホールにはもうすでに何人も人が集まっており、数人で話をしている奴らもいた。しかし、それはごく一部で、ほとんどの奴がその場に黙って突っ立っているだけだ。何をするわけでもなく、ただじっと。
十分程度が経った頃、例のあいつが口を開いた。
「やあ。お待たせお待たせ。文句とかは言わないでね。僕は悪く無いし。あ、そうだ。言わなくちゃいけないことが何個かあったんだ。まず、これからよろしく。んで、チュートリアルで脱落者が出た。隔離鬼ごっこチュートリアルver.>会場03にいたやつ。そいつだけ。あとは、そうだな。まあ、がんばって?質問は受け付けない。じゃ。」
そういってルアラは姿をけし、代わりに自室に戻れという文があらわれた。
隔離鬼ごっこチュートリアルver.>会場03って・・・。俺がいたところだよな・・・。質問は受け付けないといっていたが、脱落の基準はいったい何なのだろうか。まあ、いいか。
呼び出しておいて、散々待たしておいて、ルアラが数十秒話して終わりとか。時間の無駄なんてもんじゃないな。帰る途中、何人かの視線を感じた気がしたが、気にしないで自室へと入った。
自室に入った時に、どこか懐かしいような香りが漂ってきた。机の上にあったのは、見たまんま、中学校の給食。アレンジとかそういうのもなく、まんま給食。ちらと嫌な記憶が浮かび上がったこともあり、口にするのに少々時間を要したが、毒などが入っている様子はなく、いたって普通の、普通に美味しいザ給食だった。
「少し、状況を整理してみるか。」
ベットに背中を預け、今まで起こったことを思い出していた。そのまま眠って翌朝ルアラに起こされることなど知りもせずに。
今回は短かったデス。すんまそん。