第8話
「ああ、そうだな。入試から。だったら、まだいい方かもな。」
「君、もしかして頭悪くないの?人並みには働くの?」
ああ。うざすぎる。すごい、笑顔で殴りたい。顔の骨が陥没するまで殴りたい。
「じゃあ俺は俺とでも言ってればいいのか?」
「いや、C nameを名乗って。じゃないとこっちもめんどい。」
「C name?」
「コードネームっていうんだよぉ。英語のスペルはまだ早いと思うから覚えなくていいよ。わかった?さあ、いってみて。こーどねーむって。」
よし。
おれはタブレットを手に取り、電源ボタンを長押しして電源を強制的に落とした。そして画面が真っ黒になったタブレットを机の上に放り投げた。
それからすぐ、タブレットの表面に光がともった。画面にはルアラの顔がでかでかと映っている。そしてすぐに消え、今度は小さく横をむいたルアラが表示される。また消え、またつき、今度はでかでかとドヤ顔をする。なんども、何度も。
数十回繰り返した後、ルアラが突然語りだした。
「いいよ別に。どうせ遊びだったんでしょ。どうせ本命は他にいるんでしょ!行けばいいじゃない。どこの馬の骨とも知らないAIとぺちゃくちゃ楽しくお話すればいいじゃない!」
「さっさとルール説明しろ。」
「はい。」
なんだ。最初からこうすればよかった。
ルアラは説明をはじめたが、相変わらず脱線する。説明は20分ほどになっただろうか。簡潔に言えば5分くらいで済んだろうに。
要約すると、大体こんな感じだろうか。
この入試において、合否の判定はゲームによって行われる。
行われるゲームはあくまで仮想世界のようなもので行うため、実際自分の体への影響はほぼないそうだ。ほぼ、というのは、人の思い込みの影響が出る場合があるからだそうだ。
入試担当の本部が失格者をきめ、のこった10名を地方合格者とし、全国入試への参加を命じられる。失格者は記憶の一部を改ざんし、普通の生活へと戻る。
地方入試で行われるゲームは5つ。これらを繰り返し、段階的に人数を減らす。残りの人数によってゲームが変わる。
最初は3つのゲーム。
受験者に渡されたスケジュールの通りにゲームを行う。
一つ目は戦争ゲーム。二つ目は領主と農奴。三つ目は、隔離鬼ごっこ。
戦争ゲームは、数人で一組とし、チームの生き残りをかけて戦うというもの。銃の種類は決まっていて、確か、M4カービン、AK-47、GOL MANUMとやらの3種。それにスタングレネードと手榴弾。回復キットは現地調達らしい。弾数はめんどくさいからと教えてくれなかったが、有限らしい。
一定時間経過した時点で生き残った人数が最も多いチームのC nameが全員分開示されるらしい。ネットゲームなら名誉かもしれないが、今回の場合は狙われやすくなるのではないだろうか。出る杭は打たれると言うしな。
領主と農奴、これに関しては説明書があるらしく、タブレットに入っているメモを確認すると細かい説明が見れるらしい。
隔離鬼ごっこ。これは大方予想通りだった。鬼、人、半妖に分かれて行う。半妖は鬼と人どちらにもなれる。開始前にどちらの立場から始めるかを選択できる。半妖は時計についているボタンを押すことで立場を変更できる。ただし、変更から10分以内の変更はできない。人と半妖は開始前に紋章を刻む場所を決め、その紋章に鬼が触れると、人は檻に飛ばされる。半妖も同様である。制服の色はそれぞれの立場の色を表す。ステージごとに定められた時間が経過した時点で人数の多い方が勝ちとなる。半妖は終了したときの立場によって勝敗が決する。
そして、すべてのゲームにおいて仲間割れによるペナルティは一切存在しない。
そのことを強く言われた。
各ゲームの詳細、ルールについてまとめたものを説明書として記載しますので、この先に行うゲームを理解するうえで、一度目を通しておくことをお勧めします。