プロローグ
2040年、世間に衝撃、というか、疑問を与えた法律が制定された。
遊戯大学義務進学法。
端的に言うと、国に選ばれた人間は遊戯大学とやらに強制的に入れ。ということだ。
義務化する理由がさっぱりなわけだが、国のお偉いさん方は我々一般人とは違う考え方をしているらしい。
この法律は、まだ法案だったときに与党によってほぼ強制的に可決された、過去数えても少ない通り方をした法律だ。ここで言う「ほぼ強制的」というのは2013年末に可決された法案の通り方と似通っている、というところだ。まあ、反論の着眼点がちと違うわけではあるが。
問題視されたのは、「なぜ義務化するのか」というところだ。当たり前だ。今まで3つしかなかったというのに大学に入ることを義務化、まして国が選んだわずかな人間のみに対してだ。平等なんてあったもんじゃない。国民間に義務の差があらわれること。よく憲法に反しないと判断できたものだ。おかげさまでいまだに議論が続いている。
輪をかけて厄介なのは、それが特定機密保護法に引っかかるということだ。国民はその情報を知ることはおろか、話すこともしてはいけない。ゆえに遊戯大学という単語そのものがタブーとされた。この意味の分からない大学は完全に国の支配下。おまけに情報さえも独占されている。
だが、噂ってものはいつでも聞こえてくるものだ。ネットで見つからずとも、どこからともなくそんな情報ははいってくる。遊戯大学は遊ぶための学校。ゲームを行い脱落した人は早くて数日で帰ってくる。ばかばかしい。いくら国のトップの頭がすごくともそんな適当なことを法律に、まして義務化するわけがない。まったく、人の考え、改め妄想力はすごいものだな。
2047年の春、俺は高校三年になった。特に夢や希望があるわけじゃないが、遊戯大学とやらにかかわるのだけは御免だな。俺は、普通に普通の暮らしをしたいだけだ。イレギュラー、想像だにしない人生はもうこりごりなんだ。